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第2話

ディスプレイに映し出されたのは、いわゆる匿名交流サイトの書き込みだった。


「本部が追っているのは、あくまで天命に乗り込んできた足跡だ。民間のログまでは追っていない。追っている余裕がない」


「これを追いかけていけば、リアルな居場所が分かるかもしれないってことか」


「そうだ。IPアドレスから実際の居所が分かる。天命の性能をつかって、俺たちは本部の逆サイドからログを追うんだ」


竹内と目が合う。


「手伝ってくれないか」


それは狩りをするような気分だった。


狩猟採集生活。


何もないデジタルの荒野を彷徨い、その痕跡を地道に追いかける。


見つけたと思ったら見当違いだったり、気がつけば全く違う所にたどり着いたりしていた。


日は沈み、また登ることを繰り返す。


本部は繰り返される天命への不正アクセス防衛に手一杯だった。


普段からそんなことはやり慣れてはいたが、今はハッカーサイドに飯塚さんがいる。


特定の許可制ネットサロンに、その手口を全て漏らしていた。


「飯塚さんは、世界中のハッカーたちをランダムに自分の仲間にしたっていうことか」


「そうだ。技術力もバラバラ、組織化もされていない世界中のハッカーたちが、今や好き勝手に天命を攻撃している」


IF03。


「もしさん」と呼ばれるそのアカウントを特定することは、不可能に等しかった。


それでも書き込みの内容から推測して、飯塚さんであることは疑いようはない。


俺はコンビニに泊まり込むようになり、竹内の顔ははっきりとやつれ始めた。


二人の打ち込むキーボードの音だけが地下に響く。

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