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第5話

「あ、そうだ!」


ふいに飯塚さんは、ポンと手を叩いた。


「重人は、線路脇のフェンスを跳び越えられなかったんだって? ダメだよそんなんじゃ!」


飯塚さんは、にっこりと笑みを浮かべた。


「最近サボってたし、走り込みと筋トレを再開しよう。頭ばかり使っているのも、心身によろしくない」


その言葉に、竹内といづみは物陰に隠れようとしたが、肩をつかまれる方が早かった。


「よーし。そうと決まったら、早速ランニングだ!」


なぜかコンビニロゴの入った陸上部ジャージに着替えさせられる。


俺たちは夕日の映える河川敷に放り出された。


200m7本と100m3本。40秒間走3回。


背の低いフレキハードルを使って足の回転矯正までやるって、本気でどこの陸上部だ。


槍投げしたり、でっかいボール抱えて走ったり、そんなの聞いてない。


「こんなこと、いつもやってたんですか?」


にこにこと笑顔でハードメニューをこなす飯塚さんは、まさに鬼監督そのものだった。


「昔はね、ほぼ毎日」


平然とそう言った飯塚さんの横顔を見上げる。


いづみの顔はいつも以上に怒っていて、竹内もバテ気味だ。


俺はもうとっくにリタイアしている。


元気なのは飯塚さんだけだった。


体力にも頭の回転速度にもそれなりに自信はあったけど、ここではそんな俺の自尊心は簡単に吹き飛ぶ。


今までの俺の知っていた世界は、何だったんだろうかと思える。


「信じられない」


「ジムもあるだろ。今は忙しくて、なかなか僕は出来ないけど」


そう言った飯塚さんの隣で、俺は夕日に照らされる川面を見つめた。


鉄橋を渡る列車の走行音が響く。

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