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第4話

「天命の使い方か。こればっかりは少しずつ慣れていくより、仕方がないね」


飯塚さんは静かに微笑んだ。


「いいことを教えてあげよう」


ディスプレイに、先日の行動記録が表示される。


「地下鉄の駅前から、ここまでの帰還競争をしただろう。どうして他のみんなの方が早かったのか、その謎は解いてみたかい?」


俺の行動履歴は、電車の路線をたどっている。


竹内のは普通に一般道を走っていた。


いづみと飯塚さんのは……。


「僕といづみのに関しては、後回しにしよう。まずは竹内くんのからだね」


その日の竹内の行動記録がクローズアップされる。


画面には移動速度まで記録されていた。


最初は徒歩。


その後は車に乗り換えているけど、それにしても速い。


「この移動速度の速さは、どうしてだと思う?」


夜8時の時間帯だ。


都内の幹線道路はどこも混んでいるはずなのに、スピードが全く落ちていない。


「普通なら、車で行くより電車で移動した方が速い。そう思うのはどうして?」


「渋滞があるから」


「そう。だけど、竹内くんのはそうはなっていない」


飯塚さんの指先は、軽やかにステップする。


「交通局のシステムを操作しているからだよ。信号機の点灯時間を調整し、渋滞を解消させ自分の進路を全て青に変化させる」


平均移動速度56.7km/hというのは、一般道ではあり得ない。


「幹線道路こそ使いやすい技だ。そしてこういった大きな道を使う方が、便利で速い」


交通量の変化を時系列で見ると、確かに側道は竹内のために渋滞させられていた。


飯塚さんはふっと微笑む。


「IT技術全般に関しては、竹内は部隊でもトップクラスだよ。プログラミングの早さとコードの正確さは、隊長のお墨付きだ」


その言葉に、彼は頬を赤らめる。


そんな姿を、俺は初めて目にした。


「まずはここからだね。車で移動することは多いから、この簡易設定を自分で組むといい。プログラムを作るのは、得意だろ?」


「はい!」


飯塚さんは、そうでなくても穏やかな顔に、さらに柔らかすぎる表情を浮かべて微笑む。


「飯塚さんの二つ名はな、『電子の魔術師』だ。ある意味この天命を使いこなしているのは、この世界で隊長と飯塚さんだけかもしれないな」


竹内も両腕を組み、うんうんと何度もうなずいている。


本日の講義はこれでおしまい。


飯塚さんが電子の魔術師なら、俺はその魔術師の弟子ということだ。


竹内が一番弟子なのかもしれないけど、負けるわけにはいかない。


自作の端末と天命とはすでにリンクさせてある。


俺だってポケットサイズの端末で、この天命を使いこなしてみせる。


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