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第2話

「で、これが終わったら潜水艦と戦車の操縦だ。安心しろ。難しい順に並べてあるから、ここさえクリアできれば他はすぐに何とかなる」


彼は賞味期限切れのフルーツ・オレを、ストローからチュっと吸った。


「さっさと始めるぞ。出動命令は待ってはくれない」


午前中はみっちり戦闘機の操縦訓練を受け、昼休みをはさんでからは部隊のシステムについてのレクチャーがあった。


「愛称は『天命』。誰が名付けたか知らんが、すんげー名前だろ?」


竹内はそう言った。


「だけどまぁ、そう名付けたくなった気持ちも分からなくはないんだ」


今日も飯塚さんはいない。


午前中にちょっとだけ俺の訓練の様子をのぞいてから、すぐに出て行ってしまった。


いづみは一人で黙々と何かを板金溶接している。


この「天命」とは、部隊が使用しているネットワークシステムのことだ。


日本国内のあらゆる情報網に侵入し、干渉することができる。


この天命の運用にあたっては、本部のなかでもさらに優秀な人材を集めた特任チームが、専門的に管理運営していた。


「ここの専門チームは異常だ。はっきり言って頭がおかしい連中しか集まっていない」


竹内は言う。


「俺も隊員の端くれだからな、普通に使ってるしハッキングもするよね。だけど、乗っ取りは出来ないんだよ。どうしてるんだ? 常にデータの一部を書き換えて更新中みたいな状態で、一定していないんだ」


「なんでハッキングすんの?」


「使用許可は隊員ごとに与えられ、履歴も残る。許可さえ下りれば自由にあらゆるシステムに侵入して、操作することを許してる」


竹内は悔しそうに唇を噛んだ。


「だけど、コントロールはできない」


「だからさ、なんでわざわざハッキングする必要が?」


「不安定なのに安定した運用、まさに『天命』という名にふさわしい」


なんかもう、どうでもよくなってきた。

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