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第8章 第1話

乗り込んだ電車のつり革につかまり、俺はその振動に完全に身を任せていた。


端末にメッセージが入る。


母さんからだ。


『8時過ぎたわよ。まだ帰ってこないの?』


『急に夜バイトの子が来られなくなっちゃって、後の時間も入るようになった。もう先に寝てていいよ』


『晩ご飯はどうするのよ』


『帰ったら食べるから、置いといて』


そう返事をして、端末をしまう。


『明日の朝、帰ったら』と、打とうとしてやめたのは、ちょっとした予感のようなもの。


車窓に流れる夜景はいつも、俺とは無関係にキラキラと輝いている。


コンビニ支部にたどり着く。


20時34分。


悪くないタイムだ。


てゆーか、このルート以外で早く帰れるとしたら、車でぶっ飛ばすか空を飛ぶ以外にあり得ない。


店に入ると、働いている店員は全てアンドロイド店員だった。


相変わらず客はいない。


地下の秘密基地へと潜り込んだ。


「遅っそい!」


上部のコンビニ店舗より、信じられないくらいの空間がそこに広がっている。


あの上物はなんなんだろうと、こういう時には未だに慣れない。


司令台の前に設置されたテーブルで、先に戻っていた3人は食事を始めていた。


上から持ってきたのであろう弁当が一つ、手つかずのまま置かれてある。


俺はそこに腰を下ろした。


「まさか、普通に電車乗って帰って来たんじゃないでしょうね」


いづみは食事中でもいつも、甘い紅茶を飲む。


中華だろうと和食だろうとお構いなしだ。


「空でも飛んできたんですか?」


「は? 空を飛んだかですって?」


彼女の発する冷気で、間違いなくいつか絶対にきっとそのうち俺は風邪を引く。


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