表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/117

第4話

「そこからかよ。遅すぎ」


竹内はムッとした表情を見せる。


「お前、人の話ちゃんと聞いてる?」


「聞いてるよ!」


「なんでここに到着した時から、それをやってない」


「だって!」


「『だって』じゃねー」


火災発生を知らせるサイレンが鳴り響く。


停止した電車のドアは開いたままだ。


ホームと車両の隙間から、いづみが顔を出す。


銀の薄っぺらいトロッコをホームに置いた。


「回収成功」


飯塚さんの横顔に笑みが宿る。


彼女にそっと手を差し伸ばし、助け起こした。


「さ、引き上げるぞ」


俺のポケットで端末が振動する。


異常を感知した時のアラームだ。


画面には『空気検査結果:可燃性ガス』の文字が浮かんでいる。


竹内は相変わらずスマホを掲げたままだ。


「え?」


気づいた時には遅かった。


視界は炎に包まれる。


「ちょ……」


炎が照りつける。


熱と混乱で呼吸もできない。


シューという異音がどこからか聞こえる。


白煙の立ち上るなか、一瞬の視界が開けた。


口元に固いマスクが当てられる。


それを押しつけた見知らぬ誰かの手は、再び白煙に消えた。


「何してる。行くぞ」


目の前に、竹内が立っている。


いつの間にかキャップをかぶり、マスクをしていた。


「……。行くぞ」


炎はすぐに消え去った。


最初の爆発が起こった所だけが、黒く焼け焦げている。


俺はあてがわれた防護マスクをきちんと装着し直す。


()()の駅員たちが駆け降りてきた。


「急いで避難してください!」


駅員の制服を着た飯塚さんの手が、俺の肩に乗った。


「こちらです。案内します」


いづみと竹内もいる。


階段を上がり、改札を抜ける。


乗客たちは全て地上に追いやられていて、通路に人影はない。


飯塚さんは駅員の制服を脱ぐと、それを無人の駅舎に放り込んだ。


「出るぞ」


竹内といづみは無言でうなずく。


俺は一歩を踏み出した。


「重人、こっちだ」


「わんこチェック」


竹内からの指示に、イラッとはしたが素直に従った。


目の前の地上へ向かう階段下には、先ほどと同じ成分の可燃性ガスが溜まっている。


「こっちだ」


長い地下道を、別出口に向かって走る。


先頭を走る飯塚さんは、ふいに足を止めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ