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第5話

きっちり15分26秒後、車は小さな無人駅の前に止まった。


竹内は端末を見ながら無言で歩き出し、いづみはグイと顎で指す。


線路脇の、古びたトタン小屋に踏み込んだ。


ここにも同じノートPCとサーバーが一つ、1067mm狭軌の幅に合わせて作られた、高さ15㎝、在来線走行可能な薄っぺらいトロッコが山と積まれている。


「どういうこと?」


「重人、初期チェックしてないぞ。基本を早速忘れんな」


そういう竹内は、常に自分の端末をいじり続けていて、回りも何も見ちゃいない。


「わんこ置いて来たし!」


「なくても出来る方法あんだろ」


いづみはパソコンをのぞき込む。


俺は仕方なく自分の端末に検索をかける。


「大規模な輸送システムを共同運営している組織があるってこと?」


「在来線にただ乗りだ」


竹内は俺を振り返った。


「有毒ガスと生体反応チェック、出来た?」


「この時点でそんなもんないって分かってんだろ!」


「口答えはアウトよ」


そう言ったいづみの指先は、パソコンのキーボードを叩いている。


「次の輸送が設定されているわ」


「ついて行く?」


「無理よ。電車の下に張り付いて動くようになっているもの」


カタリとトロッコが動き出す。


それはレールを伝い床下に消えた。


「じゃ、普通にその電車に乗るか」


「磯部くん、中を撮影しといて」


カメラを起動している間に、二人は小屋を出て行く。


「ちょ、待てって!」


俺は置いて行かれそうになるのを、そこから出る直前に一枚、中を撮影した。


二人は線路脇のフェンスを軽々と跳び越え、ホームの端に立つ。


「そ、そんなジャンプ力、どこにあんの?」


竹内はどうやって、端末画面だけを見ながら外を歩いているんだろう。


「駅のホームには監視カメラがついてるからね。まぁ後で侵入して消してもいいんだけど。人目がないなら面倒な手間かけるより、飛びこえた方が早いってゆーか……」


「出来ないならさっさと改札から回ってきなさい。電車来るわよ」


改札口は目の前だ。


駅に向かって走る。


すぐ近くまでやって来た電車走行音が聞こえてきた。


どんな田舎でも、IC乗車券が使えるのはありがたい。


何とか飛び乗った10両編成の車内は、ガラガラだった。


二人の姿を求めて歩き出す。


確か先頭車両の方にいたはずだ。


端末にメッセージが届く。

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