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第5話

一見、壁紙の継ぎ目にしか見えないラインがある。


俺は竹内を後ろに下がらせた。


壁の一部をコンコンと叩く。


これは仕掛け扉だ。


そもそもこの都庁自体が、巨大な忍者屋敷のごとく三層構造になっている。


壁の足元を軽く蹴ってみる。


下じゃないなら上だ。


俺は胸ポケットからメジャーのフリしたスティックを取り出すと、天井付近を叩く。


音が違う。


下に落ちないのなら横だ。


壁を押し込むと一部がへこんだ。


簡単に開けられないと思ったら、交差させ回転する仕組みだ。


斜め上にそっと滑らせる。


白い壁はぐるりと開き、ついに都庁ロボ操縦席は現れた。


「やった! 隊長に報告だ」


竹内が片手をあげる。


同じように手をあげると、それはパチンと合わさった。


操縦席に座ったとたん、指示が入る。


「都庁ロボを起動させろ。こちらが先に主導権を握る。向こうに起動され、コントロールされてしまう前に、操縦を覚えろ。万が一起動した場合には、手動操縦で押さえこめ」


無茶過ぎる命令にもほどがある。


確かに、操縦方法をチラリと見たことくらいはある。


だけどそれは、飯塚さんが書き換えてしまう前のものだ。


操縦桿を握りしめる。


「お前、分かるのか?」


「分かるわけないだろ」


とは答えたものの、竹内は迷うことなく電源を入れ、次々と計器を立ち上げる。


「旧式の操縦方法くらいは知ってる。隊長が送ってくれてたのを見てたからな」


言葉に詰まる。


竹内はそんな俺をにらんだ。


「ぶっつけ本番でやりながら覚えるのは、お前の得意技じゃないか」


フンという冷ややかな鼻息が聞こえる。


俺はヘッドセットを装着した。


「やれと言われたら、やるんだろ?」


「隊長、飯塚さんは?」


「03のことは気にするな。今は目の前のことに集中しろ」


プツリと通信は切られた。


「ホント、お前は人の神経を逆なでするのが得意だよな」


竹内はいつも俺に呆れている。

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