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第2話

「何が違うのよ。私の昼休みだって、そんなに長くないんだからね」


「もう飯は食ったから……」


「じゃあちょっとそこのコーヒーショップでいいから、付き合いなさい」


「美希ちゃん!」


俺のその声に、姉は振り返った。


「美希ちゃん。悪いんだけど、行かなくちゃいけないんだ」


姉貴のことを名前で呼ぶなんて、いつぐらいぶりだろう。


「行くって、どこ」


「都庁」


自分とそっくりな顔が、俺を見上げている。


世話好きで気の強い姉ちゃんの後ろをついて歩いていれば、子供の頃は何の不安もなかった。


「だから、都庁のどこよ」


俺は安心しきってその後ろを歩いていた。


だけど、今は違う。


「それは言えない。もしこの先に何かが起こったとしても、俺のことは大丈夫だから、安心して。父さんと母さんにも心配するなって、ちゃんと伝えて」


「……は?」


「じゃ!」


もし都庁ロボが動き出し、俺たちの部隊が表沙汰になったら、どんな騒ぎが待っているだろう。


自分たちの信じていた世界が変わる。


日常が、常識が変わる。


世界が今までと全く違って見えるようになる。


もしかしたらそれを、人は『革命』と呼ぶのかもしれない。


「ちょ、待ちなさい重人!」


走り出したすねに強い衝撃が加わる。


俺はその場に盛大に転んだ。


つまずいたのは、隊長の足だった。


「どこでチンタラしてるかと思ったら、ナンパしてんのか。遅刻だぞ」


「ち、違いますよ。ねーちゃんです!」


「あぁ、そうか」


警備員の制服を着た隊長は、表情を何一つ変えることなく帽子を取り、丁寧に頭を下げた。


「初めまして」


浅黒く精悍な顔は、姉の顔をのぞき込んだ。

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