たけちくんのピーマン戦争
私が三歳の頃はピーマンだろうが何だろうが全て食べていたそうです(笑)
たけちくんはピーマンが大嫌い。怒ったお母さんよりも大嫌いです。
そして今日の夜ご飯は…………?
「あらやだ、ピーマンがたくさんのこってるわ!」
たけちくんピーンチ!
たけちくんは慌ててお母さんに話し掛けました。
「お父さんと、もしもししたい!」
「あらあら、ちょっと待っててねー?」
お母さんがたけちくんに電話を渡しました。
「もしもし、お父さんですか!?」
「もしもし、お父さんです」
たけちくんは部屋の隅でコソコソと、電話に向かって話し掛けました。
「お父さんはピーマン好き?」
「好きだぞぉ」
「今日ピーマン食べる?」
「青椒肉絲が良いなぁ」
「分かった。お母さんに伝えとくね」
たけちくんはお母さんに電話を渡すと「お父さんが、ちんじゃおろーすー? がいいって言ってたよ?」
「あらぁ、そう?」
たけちくんはピーマンの危機を脱しました。
そして、夜になり、たけちくんがお風呂から上がると、お母さんが電話をしていました。
「ええっ? 帰れなくなったの!?」
なんと、たけちくんのお父さんが家に帰れなくなってしまったのです!
たけちくんピーンチ!
「仕方ないから、ピーマンはたけちに食べてもらおうかな♡」
たけちくんに無慈悲な死刑宣告がなされました。
しかし、ここで引き下がるたけちくんではありません。
「お母さん! ボク、お肉をピーマンに入れたいな!」
「ピーマンの肉詰めかぁ。良いね!」
たけちくんは大嫌いなピーマンに、大好きなお肉をぶつける作戦に出ました。
「めしあがれ♡」
ピーマンの肉詰めがたけちくんの前にたくさんとありました。
「お母さんお片付けしてくるから、食べててね」
「はーい」
お母さんが台所へと向かうと、たけちくんはピーマンの肉詰めからピーマンを剥がしました。
「ポチ! ポチ!」
窓を開け、犬のポチにピーマンをあげるたけちくん。これでたけちくんの完全勝利です!
「ご馳走さまでした!」
「あら! 全部食べれたの!? 偉いねぇ!!」
たけちくんは褒められてご機嫌です。
次の日──
「ポチー、朝ご飯よ~……あら?」
お母さんがポチにご飯をあげようとしたとき、地面に落ちていたピーマンを見付けました。ポチは昨日のピーマンを食べなかったのです。
たけちくんは死刑になりました。