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閉じられた脳内図書館  作者: 既忘草
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このスキル、使ってみた。

「さて、もう体は起こせるかな?少し調べていたが君は、この世界の人ではないようだね。お腹はすいているならおいで。ご馳走するよ、ゆっくり話をしよう。」

ルルにそう言われゆっくりと体を起こし、腹の包帯をはずしあらわになる傷跡を見る。深そうだが痛みはない。なぜこの傷があるのかは、やはり思い出せない。


ルルの待つリビングへ歩くと、キッチンで女性がトントンと料理をしている。試しにちょいと解析のスキルを使ってみる。彼女はメルという名前らしい。水魔法が使えるのか、ふむふむ。なるほどなんて便利なんだこのスキル。他にも色々な情報があったが、これはちょっと見ないことにしよう。


テーブルには様々が料理が並んでいて、どれもとても美味しそう……には見えなかった。ルルは魔物用のごはんを運びながら欠伸をしていた。

「ブールーフの肉は好きかい?美味そうだろう。彼女を紹介するよ。メル、こちらへおいで。」


うげぇ、見た感じ原型が残って無さそうだ。匂いは良い感じだが期待はしないでおこう。申し訳ない。


「やぁ、メルはメルだよ。たんまり作ったからオカワリしてね?」

この見た目ではあまり気が進まないが……とりあえず飯がある事に感謝をするべきか。


いただきます。と合掌すると、2人の視線がこちらへ集中する。この世界にはいただきますという伝統は無いのかと尋ねると、過去にも思い当たる所があるみたいだ。


「サムはもしかして……いや、きっとそうだ。あの勇者と同じ世界からこちらに来たのだろう。そうじゃないと辻褄が合わない。着ていた服もあの本と似た雰囲気がある」

ルルがぶつぶつとなにかを呟きながら一冊の本を持ち出し、ページをめくっていく。そこには一人の女が描かれていた。


「このひとがさっき話してた勇者だよ。名前は確かここに……あった、彼女はナツミと名乗っていたよ。」

それ以来の異世界からの人間は一人も居なかったらしいが、よく見るとこの描かれている勇者ナツミはとんでもない服を着ていた。


普通は勇者と言えば鎧、少なくともローブかなにかだろうに、描かれているこの服には、ダメージ加工のジーパンとバッチリ日本語で”生まれ変わったらニートする”と書かれていたパーカー。しかもこの本には、勇者ナツミのこの服の言葉の意味は世界平和を意味すると言っているとつづられていた。


とんだ間違いだ……。すぐさま訂正してやりたいところだがこれは数百年の伝説だ。俺一人でそれが出来るとは限らないし、面倒くさいことになりそうだから諦めることにした。得体の知れない肉に手を伸ばし、一口を頬張る。


おや、かなり美味なようだ。


しばらくして食事が終わり、リハビリと能力の使用がてら外に出てみることにした。するとまだ一人では危ないと声が聞こえ、振り向くとルルが小走りで向かってきた。


村から離れた、木々の無い空き地へと出る。ためしにこのなにもかもが謎のスキルのクローズを使ってみたいところだが、実験対象が何も無い。どうやってこれを理解できるだろう。


その時不意に目に入ったそれは、こちらに気付くと目を大きくしながら感じ取れるほどの殺意を向けて襲いかかってきた。


スキル使用。目の前の飛んでくる殺意より早く、解析した情報が脳内へと入り込む。こいつがブールーフというものか。四足歩行で頭に1本の小さな角と、ぬるぬるとした毛で覆われた身。レベルは31、備考情報には勝率が一割未満と書かれている。レベルが高い時点で察しは付いていたが、逃げるにはもう遅いしこんな時にかぎって近くにルルがいない。ええいままよ!これを使うしかないか!


……スキル使用。クローズを実行しました。

不定期だけど、応援してください。

思いだせたらまた書きます。

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