意外ともたつく僕
魔術の勉強はどこまで進んだのでしょうか?
僕はロゼワイン様との魔法の研究にハマってしまい気がつけば5年の歳月が過ぎ去っていた。
潜水艦に関わる技術開発のタイムテーブルもそのくらいのゆとりのある期間を持たせてあったから帳尻はあっているので大丈夫なんだ!
バランタインから子供扱いを受け続けたのが影響しているのか?僕はすっかり子供言葉に慣れ親しんでしまったんだ。
造船所のナポレオンさんのところへ行くとだいぶ僕の潜水艦、魔術式潜水艦は組み立てられていた。素晴らしい!!
『おう!オーナーじゃないか?それにしてもおめえの書いた設計図通りに組み立てちゃいるがよ?なんで隔壁っていうのが何層にもあるんだい?』
あー!防水隔壁のことか!
『ナポレオンさん、潜水艦は基本的に水中を航行するでしょ?もしも岩礁なんかにぶつかったら穴が開くよね?だけど隔壁で浸水を最小限に抑えられれば沈没はまぬがれるんだよ。』
考え込むナポレオンさん。
『まあ、なんだか良くわからねえが必要なものなんだな?よし!いよいよ魔術エンジンの搭載作業を始めるぞ!』
僕のワクワク感は最高潮を迎える!
『えい!えい!おー!』
あ、しまった!戦国時代の勝鬨の癖が抜けてない。まあ、いいか!
クレーンで吊るされた魔術エンジンが僕の潜水艦に丁寧に据え付けれていく。職人たちは細心の注意をはらって作業を進めていく。
無事に取り付けが完了したようだ。
魔術エンジンにシャフトが2本取り付けられてスクリューも設置された。
くうううう!!!たまらん!!!工業美を堪能しなくちゃ!
『ナポレオンさん!テストでエンジン回しますよー!』
『おう!景気良くやってくれ!』
『いきまーす!崇高なる神であらせられる火之神フォアローゼスよ!その貴き深紅の花のような炎をここに顕現させたまえー!』
《メラメラ~メラメラ~ゴオオオオオ!!》
魔術エンジンに魔法の火がごうごうと燃え盛っている!!魔法の火のメリットは酸素を使わないことだ。熱量だけを放出してくれる魔法の火は潜水艦のような密閉空間にはもってこいのひなのだ!
エンジン内部に循環している液体は聖なる儀式で清められた魔法水である。水の聖霊と火之神は相克の関係にあるのだが、工業的な技術力で難題を乗り越えて、ここに共存している。
ヒューーーーン!!
魔法水が高温になり蒸発してタービンを回す!魔術エンジンに連結したシャシーがゆっくりと回転し始める。すると同期してスクリューも回り始めたのだった!!
それはそれは滑らかな動きだった。
『ナポレオンさん!回転数あげるよー!』
『おう!ぶん回してやれやー!』
僕は魔法の技術を駆使して火之神フォアローゼスとシンクロしていく!
『崇高なる火之神フォアローゼスよ!その真の深紅の焔を顕現させたまえー!!』
《ブワボボボボーーー!!》
まさしく美しく咲く大輪の花のような焔がエンジンないで踊っているようだ!!
スクリューの回転数は極限まで高まった!!
各所に精密なベアリングを使用しており実に滑らかで美しく高速回転をしている。
意外ともたついたけどもう少しで信長さまにお会いすることが出来る!
僕は高揚感に包まれてとても幸せだった。
魔法の技術が右左やアルベルトに伝わったら?
絶対に大変なことが起きそうですよね!
ジャックの推測は当たるのか?そもそもちゃんと織田信長の元へ辿り着くことが出来るのか!?