母へのお願い
第六天魔王!御館さま!信長さまに会いたい!
ただその一念だけでジャックは果敢に人生に挑むのであった!
僕は脱兎のごとく家へ帰ると母であるバランタインへ土下座をして体を震わせてお願い事をする。
『あら?いったいどうしたのよ愛しのジャック?』
『父さんの残した資料と財産を使わせてください!お願いです!たった一度のわがままだと思って僕のお願い事を聞いて下さい!母さん!』
バランタインはきょとんとした顔で僕を見詰めて考え事をしている。
そして、はぁと大きく息を吐くと。
『で?愛しのジャック・ジュニアくん?いったい何をするつもりなのかしら?』
『父さんの残した潜水樽を改良して、全く新しい潜水艦というものを製作して、僕は父の無念を晴らすべく深海へと向かうんだ!』
バランタインはあの悲しみと悪夢が甦ったかのようにフラフラと身体をぐらつかせリビングのテーブルに手つき何とか身を支えるのであった。
『蛙の子は蛙。冒険者、研究者の父さんの血を引くジャックですものね。いつかはこんな日が来るとは思っていたわ。いいわよ!母さんも協力するわ!』
母さんは涙目の奥にキラキラと希望の光を宿した様な瞳で僕を見詰めている。
『で?母さん、父さんの残した遺産は金銭的にいくらくらいあるのかな?それによって実現化出来る事業規模が全く変わってくるんだよ!』
『ちょっと資料を持ってくるわね?』
母であるバランタインには口が裂けても言えない!御館さまに会いに行くために潜水艦のプロジェクトを立ち上げたなんて!!
『はい、どうぞ。あなたの使える資産一覧表よ』
『ありがとう母さん!』
僕は一覧表を左さらさらと流し読みする。
金銭的には五億ズブロッカか、ズブロッカとはこの王国での通貨の単位だよ。
だいたい何でも資材、造船所などは揃えられそうだな?でも不思議だよな?なんでこれだけ資産があって、父さんは樽なんかで潜水しようとしたんだ?
『母さん!ちょっと聞いていい?父さんはどうしてこれだけお金があって樽なんかで潜水しようとしたの?』
『あの頃はお金がなかったのよ。これは母さんが先物取引とか株式投資で増やした資産なのよ。だから大切に使ってね。』
なにこの投資家資質は??
まあいいや!やれることがやれればそれで良いさ!
僕は大人たち。これから巻き込む予定の大人たちへの信頼を得るために発明事業を起こすことに決めていた。
利家の知識と資料は頭に入っている。
これは生活環境向上から初めて来年の今頃には潜水艦が完成しているか?製作段階に入っているかの状況を作ろう!そう決めた。
この村落はまだ井戸をバケツで汲み上げてるからポンプを作ろう。どうせ潜水艦には必要不可欠な機器になる。
お魚を船から引き上げる時にまだ手作業なので蒸気機関を発明しよう。
他にも色々あるぞ??
これはいっそのこと鉄工所と造船所を買い取った方が色々都合良さそうだな!
早速鉄工所のオーナーである、メーカーズ・マークに会いに行ってから、造船所のオーナーのナポレオンさんに商談を持ちかけよう!
こうして僕は思い立ったが吉日とも言うように、企画して構成して。
その作戦行動を実施するのであった。
それは投資家である母のバランタインの想定を大きく上回るスピードとスケールだった。
果たしてジャックの思惑通りに計画は進められるのか?
少年ジャックの活躍に乞うご期待!
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