第2話(2)
一矢が麻美の部屋から嶋村家のスタジオに行った日だ。
「あの日、妃名さんと会ってて。……で……」
言葉を選ぶように途切らせたところで、オーダーした料理が運ばれてきた。箸に手を伸ばしながら続きを待つ。
「……最初から話すとね、俺って、妃名さんの親に心象悪いんですよ」
「はー。何で?」
「バンドやってるから」
「はあ?」
これはまた随分と古風な親だ。……いや、そうでもないのだろうか。何せ自分は半ば親がいないようなものだし、自分の周囲も大概わけのわからない生活を送っている人間ばかりだから、そういう品行方正な生活がイマイチ読めない。
「だから、俺から電話とかかけても妃名さんに繋いでくれないわけですよ」
味噌汁のお椀に手を伸ばしながら、武人がぼやくように言う。
「バンドなんてやってる奴は大抵異性関係がだらしないに決まってる、ウチの妃名に軽い気持ちでちょっかいかけてもらっちゃ困る、とまあこういう態度で」
「はあ」
自分ならそう言われてもしみじみ納得するしかないが。
ついつい食事をする手を止めて武人の話を聞いてしまっていた自分に気がついて、一矢も天丼の丼に手を伸ばした。
「あんまりそれが続くし、妃名さんは携帯って持ってないし、俺が電話しても親が繋いでくれないもんだから妃名さんにしてみると俺が連絡くれないってことになるし」
「でも向こうから武人の携帯にかけさせりゃいいんじゃないの?」
「それはそうなんですけど、俺だって大概繋がらないでしょ」
「ああ……」
スタジオに籠もっている時は携帯なんてかかってきても気づかないことが多い。気づいたとしても演奏している最中だったら「ちょっとごめん」と言うわけには当然いかない。そして後で掛け直しても後の祭りと言うわけだ。
「はあ〜……」
「で、頭来て、俺も向こうの親に言っちゃったんですよね」
「何て?」
「先入観を持つのは勝手だけど、バンドをやってるって印象と俺そのものは全然別問題だし、あんたらの先入観と俺は何の関係もないんですけどって」
「……」
「大体その先入観だってどこで得たものなのか怪しいでしょ。あんたらの周囲で実際そういう問題のある人がいたのか、いたとしたらそれが俺個人とどう関係があるのか、バンドをやってる人間が異性関係が乱れてるって言うけど、それは実際問題統計としてどんくらいの確率で、俺がその『乱れている』方に属される根拠とやらを教えてくれって話ですよ」
「……」
「下らないんですよね。俺自身には会ったこともない、電話で妃名さんを出してくれって頼んだだけの会話で、俺自身に判断つけるのは時期尚早ってもんじゃないんですか。大体俺、妃名さんと会ってて親に怒られるような真似、させたことないです。帰る時間だって早いし、深夜になれば俺だって電話に出られるだろうけど、10時以降は電話は駄目って言われてるって聞いてるから遅い時間に電話だってさせないし」
淡々と話す割には言い方が辛辣だ。相当ストレスがたまっているのだろう。ついつい唖然と、またも食事をする手を止めてしまう。その間もさすが食欲旺盛な思春期である武人は着々と自分の皿を綺麗にしながら、続けた。
「ああ、もちろんそんな言い方はしてないですよ。失礼になる言い方はしてないつもりです。言ってる中身は失礼だったかもしれないけど。でも、電話かけるたびに俺自身に全く身に覚えのないことをぎゃあぎゃあ言われてりゃ、俺だって勘弁してよって気になってきますよ。それにそれほどおかしなことを言ってるつもりもないし。それをおかしいと感じるんだったらあんたらが大概おかしいんでしょうって話でしょ。そう思いません?」
「はあ……」
「で、話は戻るんですけど、こないだ妃名さんと会ったんですよ」
「ああ、うん……」
最初に言っていた話に戻ったようだ。はっと我に返って、海老の天麩羅にかじりつく。
「そしたらもう、畳み掛けるように責めるわけですよね。俺を。せっかく付き合うことになったって、こんなの付き合ってるって言えないって」
「あー……。実際、どんくらい会ってんの?」
「週に1回会ってりゃましな方じゃないですか」
「……つまり、それ以下なわけだ。で、電話も出来てない」
「そう」
それは……高校生の女の子なら文句のひとつも言いたくなるかもしれないが、武人の言い分もわからなくはない。何せ、学校以外で武人を束縛している時間はこちらにも責任がある。
「で、クリスマスも正月も会ってない」
「クリスマスはスタジオでしょ。正月は、こっちもスタジオだったけど、そもそも妃名さんだって出られやしないですよ」
「……じゃあ相互責任じゃないの」
「でしょ。でも向こうからすれば俺が冷たいわけですよ」
「……」
「ごちそうさまでした」
話しながらもきっちり食べ終えた武人が箸をおく。しまった、完全に置いていかれてしまった。慌てて食事を続ける一矢の前で、武人はのんびりと水のグラスを取り上げた。
「そんでもう泣かれちゃうし。俺、何やってんだろって気分になりました」
「まあー……そんだけ武人のことが好きだってことでしょ?会いたいのに会えないなんて可愛いワガママじゃないですか」
「そうですかぁ?」
とりあえず妃名のフォローをする一矢に、武人が顔を顰める。
「こっちだって手詰まりですよ。親に言いたいこと言っちゃったから電話なんか二度と取り次いでくれないし、事務所決まっちゃったから今まで以上に本腰入れてバンド活動するだろうし、これ以上時間もなくなるだろうし、それ言ったらまた泣いちゃうし」
「うーん」
「どうしたらいいのかなぁ……俺」
水のグラスを片手に、頬杖をついて悩ましげなため息を落とす。ともかくも天丼を片付けながら、ふと根本的なことが気になった。
「ところでさ」
「はい」
「武人は彼女のこと、好きなの?」
「……」
一瞬虚を突かれたように黙り込んだ武人は、はあっとまたもため息を落とした。
「何だか良くわかんないですよ」
「それって物凄く基本的な問題じゃないの?」
「そりゃそうかもしれないけど、そもそもが俺、彼女のことを良く知らないし、知りたいと思う気持ちはあったけど、良く知ってちゃんと好きだと思う前にこんなんですからね。妃名さんだってそもそも俺のことをどんだけわかって好きなのか、疑問さえ覚え始めてますよ」
「……そりゃあ重症やねぇ」
武人とその彼女の妃名は、そもそも学校が確か違う。電車の中で良く見かける武人に惚れ込んで彼女からアプローチしてきたのだから、元々知らない同士なのだ。それで恋愛を始めるのがおかしいとは言わないが、以前から友人であるとかそう言った関係よりは、長いスタンスで考えなければもめやすいことはもめやすい。
「……好きになりたいな、とは思ったんです」
「うん」
「そりゃあ最初は何の根拠もないのかもしれないけど、好きになってくれればそれは素直に嬉しいし、話していて良い人だなって思って、感じ良くて、可愛いなって思ったりも、するし」
「ほうほう」
「……だから、壊したいとは思ってない。うまくいきたいと思ってますよ。だけど、どうして良いかわかんないですよ。時間を作ってくれないって言うけど、ないもんはないんです。物理的に存在しないもんは、出せない」
「……あんたのそういう言い方も悪いんじゃないの」
「事実です。遠まわしに言って変な誤解招いて後で一層もめても困りますもん。俺はバンドの方に割く時間を減らすつもりはないですからね。ことは既に俺個人の問題じゃないし、そもそも俺自身割きたくない。足りないくらいです。それでも、その中で何とか妃名さんと会う時間を作ろうとしてる俺の努力は完ムシで責められると、俺自身もう処置のしようがない」
「……ごちそうさまでした」
ようやく食べ終えて、箸をおく。先ほどの女の子が空いた皿を下げに来たので、ついでに温かいお茶を頼んで煙草をくわえた。
「でも、うまくいかせたいんでしょ?」
「……そう思ってるから、悩んでるんじゃないですか」
武人が悩むと言うのも、言ってはなんだが意外である。一矢から見て武人は、少々年齢に不釣合いなくらい冷静でドライな感性の持ち主だ。まともに恋愛で悩んでいる辺り、安堵してしまう自分に「オマエは武人の父親か」と突っ込みを入れたくなる。
「親がブロックに入ってるってのは、妃名ちゃんに話した?」
「話しましたよ。でも『じゃあバンドやめて』ですからね。話にならない」
「……」
そう来るか。それはまた予想外の展開だ。
「それは困るなぁ〜……」
「妃名さんにしてみれば、親の心象が悪いのはバンドが悪いのであって、それをやめさえすれば全部解決なんですよ。時間も出来る、親の心象も良くなる。万事おっけー」
「……」
「お互いがそれぞれに生きていて、それぞれ生まれも趣味も育ちも今の環境も、もちろん性別も……何もかもが違うんですから、それさえ含めて『じゃあどうするのがベストなのか』を探らなきゃ、どうにもなんないんじゃないんですかね。相手に自分の要求を押し付けるだけじゃ、何の解決にもならないし、そんなことで築く人間関係なんか遠くないうちに亀裂が出来るに決まってる」
彼女の考え方が若いなあ……と、ついオヤジ気分でくわえた煙草の先に火をつけた。特にまだ高校生の女の子だから尚更そうなのだろう。恋愛が彼女の世界の全てだ。彼女の恋する世界に武人がいるのであって、武人自身の背景は今のところ彼女にはあまり関係がない。だから、極端な話を言ってしまえば武人の背景は、いらない。
それで彼女を責めるのは、それはそれでまた可哀想な気がする。視野が狭いのは彼女のせいではない。年齢と経験値の浅さがそうさせるのであって、こうもドライに割り切っている武人の方が多分少しおかしいのだろう。考え方が大人過ぎる。
他の同級生が恋愛だの明日の宿題だのに現を抜かしている間に、既に将来を定めてしまっている……手を抜いていられない状況に身を置いてしまっていることが問題なんだろうが。
「一矢さん、そういうこと、ないですか?」
「俺ぇ?」
ウェイトレスが運んできたお茶を受け取りながら、武人の問いかけに頓狂な声を上げてしまった。あるもないも、そもそも武人と違ってそんなことを言われる筋合いの相手がいない。
「ありようがないでしょが」
「そうなんですか?特定じゃないって言ったって、良く会う人とかいるでしょ?」
「良く会う人は時間が合うから会うのであって、合わないものを無理矢理合わせてでも会いたい人がいるわけじゃない」
「ああ……物理的な都合が優先なんですね。いいなあ、それ。楽そうで」
「……あんまりオススメはせんよ」
自分が武人の悪影響になっては困る。苦笑いを浮かべる一矢の返答に、武人は実直そうな目を上げた。
そもそも、相談する相手がよろしくない。狭い世界で言えばメンバーの和希は恋愛において武人と同レベルの立場にいるからともかく、啓一郎辺りだったら最も真っ当な恋愛経験を踏んで来ているだろうに、寄りによって和希とは逆の意味で真っ当と言えない自分にまともなアドバイスが出来るとは思えない。
「そうかなあ。会いたい時に会う、それがベストですよね」
「そりゃそうだろうけどさ、会えない時でも会いたくなるから、何かを削ってでも会おうとするんじゃないですか」
「俺にバンドの時間は削れない」
「……逆にさ」
煙草の背を叩いて、灰皿に灰を落とす。
「会えない時間が気持ちを育てるってのも、ありでしょ」
「それって不思議な現象ですよね。会えなきゃ好きになれる理由がない」
「……あんたのその端的な考え方を何とかしなさい。情緒とゆーものがだなあ」
「いや、わかりますよ。制限されると反動が返るわけですよね。でもそれって、そもそも制限をキツく感じる程度の基本があってこそでしょ?制限をより強く不満に感じるから反動が大きくなる。こっちはそれ以前ですもん」
「それって情緒?凄い理屈の話してない?」
「量子力学の世界ですね」
「そうしてるのはあんたでしょが」
それていく話にがっくりしながら灰皿に煙草を押し付ける。くすくす笑う武人の笑顔に、それでも少し、安堵する。笑顔が出るうちは、大丈夫だろう。
何のアドバイスにも参考にもなれていないが、そもそも恋愛は理屈の世界じゃない。解が存在するわけではないし、自分で探らなければならないことも多い。他人の意見が参考になることもあるが、あくまで参考であって自分の解は自分で見つけるしかない。
「ともかくも、お話し合いが足りないんじゃないの?会えないってのはそれこそもう物理的な問題だから何とも出来ないけどさ……」
言いながら湯飲みに手を伸ばしていると、新しい客が店に入ってくるのが見えた。何となく顔を上げて、そのまま視線を留める。
「お話し合いねえ……一矢さん?」
「さーちゃん。お疲れぇ」
マネージャーの佐山だ。今事務所を出たのだろうか。一矢の声に佐山がこちらを向いた。武人も背後を振り返る。
「あ、お疲れ様です」
「お疲れー。メシ?これから?終わったとこ?」
「終わったとこ。座れば?」
「んじゃあお邪魔しようかなあ」
どことなく人の良さそうな凡庸な顔に笑みを浮かべて、佐山が歩いてきた。手近な武人の隣の椅子を引きながら、近付いてきたウェイトレスに「生姜焼きー」とオーダーする。良く来るのか顔なじみと言う雰囲気だ。
「あの後仕事してたの?」
「うん。俺もまだブレインって来たばっかりだから、いろいろ勝手がわかんなくってね。……ああ、別に不安にならないでいーよ。マネージャー歴はそれなりにあるから」
佐山は以前、別の事務所でアイドルのマネージメントをしていたと聞いている。今回、Grand Crossがブレインに所属するに当たって移籍してきたのだそうだ。その辺りの『オトナの事情』とやらは、一矢も良く知らない。が、確か同じ事務所のBlowin'と言う人気バンドのマネージャーも前はどこか違うところにいたと言う話を聞いたし、業界内での移動は結構多いものなのかもしれない。
「2人?残りの2人は?」
ウェイトレスが運んできた水のグラスを受け取って、それを口に運びながら佐山が首を傾げた。
「帰ったんじゃない?」
「あ、そう。何話してたの?お邪魔じゃなかった?」
「べっつにぃ。武人の恋愛相談」
「一矢さんッッッ」
からかうように言った一矢に、武人が赤くなって怒鳴った。佐山が吹き出す。
「へえ。ああ、武人くん、若いもんねー。高校生かー。いいなー、楽しいよねー」
「……楽しくないです、別に」
「片想い?」
「違います」
「あ、そうなの?付き合ってんだ?今の若いコって付き合うの早いよねー」
「さーちゃん、言ってることがおっさん……」
「だって俺、もう25だもん。あ、今度6か。武人くんと10年違えばおっさんでしょ……」
25か。しかしこうして見ると若いなあと言う気がしてしまう。アーティストのマネージメントなんて大変な仕事だ。その若さでヘッドハンティングされると言うのは凄いことじゃないだろうか。
「さーちゃんって何年くらいマネージャーやってんの」
「俺?えー……何年かなあ……。最初はー……17かな?高校をドロップアウトして、今はもうなくなっちゃったバンドだけど、そのバンドのマネージャーやったのが最初で」
「じゅうななあッ!?」
「うん、そう」
とくればマネージャー歴は既に10年近いわけだ。おっとりしたその顔からは高校中退などと言う、一矢と同じ学歴を辿っているとは思えない。意外とハードなものを背負っているのかもしれない。
「武人、人生経験豊富なお兄さんがここにいらっしゃるから、いろいろ相談してみたら?」
「何かこう……シュールな話とか聞けそうですね」
「……やめてよ、ないよ別に何も」
「あ、そうだ」
良い匂いを上げて運ばれてきた生姜焼き定食に箸を割りながら苦笑いをする佐山に、一矢はふと声を上げた。
「さーちゃん、ウチの事務所に『キョウコ』ちゃんってコ、いる?」
「『キョウコ』ちゃん?」
「一矢さん、早速引っ掛けてるんですか?」
「違わい」
あれを引っ掛けると言うのであれば、かれこれ1年ほど前に遡ってしまう。
「あれかなあ……女の子、少ないから。Opheriaのコじゃないの?」
「おふぇーりあ?」
「うん。ギターのコが確かそんな名前じゃなかったかな。大橋京子とか言ったと思うよ」
意外である。ギタリストだとは思いも寄らなかった。
ふうん……とひとりごちる一矢に、佐山は何も気づかない何気ない表情で続ける。
「それこそ、さっき紹介した紫乃ちゃんが良く知ってると思うよ。何か聞きたいことがあったら聞いてみれば?」
「え?……仲、良いんだ?」
やはり、と意味もなくぎくりとしていると、佐山はつけあわせのきゅうりを口に放り込みながら屈託なく頷いて答えた。
「うん。紫乃ちゃんって前に、そのOpheriaのサポートキーボーディストだったから」
◆ ◇ ◆
Grand Crossのファーストシングルのレコーディングには1月半ばから入ることになっている。その日まで事務所のスタジオに毎日足を運び、音を作ったり、合わせたり、打ち合わせをしたりする。
打ち合わせはともかく、音を出すのなら嶋村家のスタジオでいーじゃんと一矢なんかは思ったりするが、啓一郎がどうやらそこに抵抗があるようだ。メンバーでなくなる人物にいつまでも甘えるわけにはいかない、と言うことだろう。とは言え、啓一郎に想いを寄せていると一矢が認識しているひとりが美保だったりする辺り、「メンバーじゃなくなるんだから行った方が喜ぶんじゃないの?」と言う気もしなくはない。
いや……行かない方が適切なのだろうか。彼女の脱退の理由は、表立っては「結婚する」と言うことになっているのだから、変に気持ちをかき乱すことになりかねない。
社長令嬢である美保は、いわゆる『政略結婚』とでも言うのか、ご両親がお決めになったご婚約者とご婚姻なさるらしい。
しかし、である。
上流社会のことは良くわからないが、一矢から見ていると美保の脱退の根本的な要因は「要は諦めがつかないからでしょ?」と言うことになる。そばにいる人間への想いを絶つことは、なかなか難しい。それはわからなくはない。振り向かない啓一郎のそばにいるのが、多分つらかったのだろう。
(紫乃じゃん)
レコーディングが開始されるその日、珍しく集合時間の30分近く前にブレインに到着することに成功した一矢は、事務所のドアに手を掛けかけたところで思わず動きを止めた。
ブレインの事務所は、3階建ての小さな自社ビルの中にある。出入り口のドアはガラス張りで、中が透けて見え、中に入ってすぐには煙草が吸える小さなロビーと称される空間があった。通路沿いに置かれている飲み物と煙草の自販機に隠れて奥の方のソファなどは見えないが、手前のソファは僅かに見える。
長い黒髪が揺れるのが、見えた。
Grand Crossのシングルでコーラスをやる関係で、あれから2度ほど、紫乃とは顔をあわせている。言葉を交わしてみれば馴染みやすく、さばさばした彼女の性格は思った通りのようだ。