二話 キラキラナキミ
そのコートの中では一番目立っていて、凄くキラキラしててかっこよかった。
ボールに好かれ、誰よりもサッカーを楽しんでいる。
高校1年生の春、初めてフェンスの外から彼を見て一瞬で心惹かれた。
一目惚れだった。
それからずっと話しかけるチャンスを伺ってたけど結局何もなく。
2年生になって諦めかけていた時に運良く席替えがあった。
なんとか窓際のサッカーコートの見える位置になり、彼の姿がこれから毎日、毎日見れるとー
「女共キャーキャーうるせー....」
直様....
「見間違い、かな」
胸の前でギュッとした手が、少し震えてた。
..............
教室に戻ると紗江達が来ていた。
私の友達、紗江・梨乃・菜々の仲良しグループ。
「菜々早いねー!おはよ!」
紗江と梨乃は笑顔で手を振った。
「菜々どしたの?何か元気ない?」
梨乃は私の顔を覗きこんだ。
2人にはまだ、先輩の事を話していない。思いきって話してみようか。
..........
「あ〜あの罪な王子様ね。有名よね〜」
紗江は頬杖をついてる。
「さ、紗江知ってるの⁈」
「知ってるも何も有名人過ぎない?知らない人いないでしょ」
そんなに有名なんだ...
「菜々もしかして気になってるの?」
梨乃はいつもするどい。当たって顔が赤くなる。
「え、えと...」
「やめといた方がいいよ、ろくな噂聞かないから」
梨乃は冷静な声で続ける。
「....菜々は顔かわいいんだから、もっと他に良い奴選べるよ」
「そうよ、 あれはヤバイぞぉ〜。最近特に荒れてるらしいからね」
2人に気圧されて何も言い返せなかった。
やっぱり駄目なのかな。
しちゃいけない恋だったのかな。
私に声をかけてくれた....
『ありがとね』
あの日の記憶を、また思い出した。