14話「お金」
冒険者組合で身分証となるものを発行してもらったあと、宿で休んだスケルたち。
アインが疲れて部屋に着くなり寝てしまったのでスケルはそのまま部屋を見張っていた。いつ誰が襲ってくるやもしれないし。それに実は組合でやった火の球でかなり魔力持って行かれてたし。
そして翌日の早朝。
目覚めたアインと手を繋ぎながらスケルは防具を売っている店へと向かっていた。
スケルの目的は強くなることだ。人間は防具をつけることで何故か物凄い力を手に入れている。それの謎を解き明かしたい、そうスケルは考えたのだ。
それに今は骨の上からローブを纏っているだけだ。肩や腰など掴まれでもしたらすぐにバレる。それを隠すにも防具はいいと考えたのだ。
ルンルンと気分の良さそうなアインの手を引きスケルは徐々に明るさがましてくる空の下歩いていた。
「ねえスケル〜。アインたちどこ行くの〜?」
(私たちは今防具を売っている店を目指している)
「ぼーぐ?そえ、なあに?」
(体を守るための道具だ。それと着ることで強くなれる)
「え?!つおくなえるの?!しゅごい!アインもほしー!」
(ああ、アインにも買ってやるからな)
「ほんと!?やったー!」
こんな風に会話をしながらスケルたちは防具の売っている店へと向かっていた。
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「え?こんだけで防具を売れ?無理だ無理だ。こんなんだとただの服も怪しいぞ」
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「スケル〜、おかねないの?」
(…………そうらしいな)
防具屋で何も買えなかったスケルたちは若干重い足取りで宿へと向かっていた。
スケルは、防具というものの価値を甘く見過ぎていた、と反省する。
ちなみに現在のスケルの持ち金は銅貨十五枚である。宿屋素泊まりで三泊分だ。
そういうわけでスケルはどうするか考えた。
考えて、考えて、当たり前のことに気が付いた。
スケルは宿へと向けていた歩みを止め、方向を変更した。
アインが急な方向転換にわたたっと態勢を崩すが、そこは流石獣人、難なく持ち直してスケルを不思議そうに見上げる。
(よし、冒険者組合に行くぞ。身分の証明ばかりで仕事というものが出来るのを忘れていたな)
「おしごとすうの?アインもお手伝いすうねー!」
アインの向日葵のような笑顔に頷き返し、スケルは冒険者組合へと向かった。
冒険者組合の扉を開けるとまた室内にいる者の視線が集まった。今回は前回と違って攻撃的だが。そろそろ朝も終わり依頼を受けた冒険者たちが出て行ったのかあまり人数は多くない。
スケルは乱雑に置かれている丸テーブルと椅子を適当に避けながら入り口正面奥のカウンターへと歩いていく。アインは攻撃的な視線が怖いのかスケルのピッタリ後ろを歩いている。何故かピトッと張り付くようなことはせず、裾を握って近くを歩くだけだが、布の向こうは骨であるスケルには好都合だ。
そしてカウンターまで来たスケルはやや体を乗り出し受付に顔を寄せる。
受付は昨日の騒動を知っているのか僅かに怯えたように身を引いたが、職業柄そういうことに慣れておりすぐに堂々たる佇まいになった。
ちょうどそのときにスケルは念話を使う。
(仕事がしたい。こんなに近くなのは精神感応を使っていると思われずに小さい声で話しているだけと勘違いさせるためだ)
「……はい、分かりました。依頼は初めてですか?依頼は貴方から見て右手の方向にありますのでそこからとっていただければ。しかし読めない方には代わりに読んでもらうこともできま…………」
(魔物の討伐の依頼をやりたい。適当に見繕ってくれ)
スケルが顔を近づけた理由と要件を伝えると、受付は理解し返答するが、説明の途中でそれを遮って端的に伝えるスケル。
受付はしばし困ったような顔で考えるが、やがてカウンターの下から一枚の紙を取り出した。
「これはあちらの掲示板のものの原本です。そして内容は骸骨の討伐です。場所はこの町の東にある墓地です。骸骨の階級は十位と低いですが、たまに、群れて襲ってくる骸骨軍団がいるので気をつけてください。あとないと思われますが、墓地は悪意が溜まりやすい場所なので極たまに骸骨剣士などが出現する可能性もあります。お気をつけください」
(分かった)
スケルは骸骨なら何体も倒したことから自信を持って即答した。
それにしても骸骨を倒すだけでお金がもらえるとは、楽なものだな。
スケルはそんなことを考えながら冒険者組合を後にした。




