好き
6年生になった。
私の視線の先には、真白がいる。
一年経ったが、真白を見ると心が落ち着かなくてどうしようもない。
振り返った真白と目が合った。
急いでそらして、天井とにらめっこ。
バレたかな?見てたの。
そう思ったら、ひどく顔が熱くなるのを感じた。何やってるんだ私。
天井を見たまま悶えていると、肩を叩かれた。
「高槻」
真白だ。
「久々じゃん」
「だね…」
ヤバイ!心臓がおかしいほどに脈打ってる!
「顔赤くない?」
「え゛!?」
焦って顔を覆う。もう最悪だ。
「可愛い」
「…」
耳を疑った。
今、何て?
沈黙を破るように、チャイムが鳴る。
「じゃーな」
去って行く真白に、何も言えずに、ただ硬直する。
聞き間違い?だよね、きっと。
しかし、それは聞き間違いじゃなかったのだ。
その日からの真白の態度は、明らかに前とは変わっていた。
「高槻!何読んでんの?」
「チョーップ!!」
「あ、痛かった?ごめん!ほんとにごめん!」
「一回でいいから、好きって言って?」
それはもう、まるでストーカーのように、私につきまとい、アピールしてくる。
周りの友達も呆れた目で見ながら、美梨大変だねーなんて言ってきて。
私は、分からなくなってしまった。
真白には、好きよりももっとずっと大切な気持ちを持っていたはずなのに。きっと。
それが今はどうだろう。
真白は私のことが好きで、それで私は?
どうだろう。
わからない。
何を信じるのが正しい?
昔の大切な感情?
今の混沌とした気持ち?
そして思った。
もしかして、"真白に恋している自分"に恋していた…?
好きよりも大切な感情。
それは、自分に陶酔して感じたものだった…?
わからない。
誰か、正しい答えを教えて。
お願いだから。
好きって、何?