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11話 飛んでいる魔物の落とし方

 外道成分少なめ…

 他のパーティーメンバーの見せ場となっております。

 他のパーティーと組んでると、どうしても僧侶がなかなか戦闘させてもらえない(彼自身は多分前衛でも余裕なのに、多分、させてもらえない)のが悩みです。

 

 もう、お気づきかもですがリュウジパーティーは武闘派です…なので、主人公が前に出る正当な理由が…まぁ、出なくても外道さを爆発させる予定ですが(キリ

 人間の最も強大な敵は《魔王》と呼ばれる化け物だった。しかし、それが勇者によって倒された事になっている今、人間の最も強大な敵は《魔族》となるだろう。

 魔族…長年、人間と争っていた存在だ。

 

 これは何処かの本で読んだ事だが、ヤツ等《魔族》と《魔物》との線引きは結構曖昧らしい。

 多くの一般人が『人形をした、人間では無い、人間に仇なす世界連盟に加入してない種族が、魔族』という認識だ。しかしそれは正しい認識では無いと俺は言える。

 

 例えば魔物の中に《ドローマン》という腐れ泥人形が居る。コイツは人形をした泥の魔物だ、しかしコイツは魔族と言うより魔物と言った方が良い。ただ、徘徊し人を襲う存在がコイツだ。人形の形態を持っているだけで魔族では無い。魔法連盟でもドローマンを魔物とカテゴライズしている。

 

 そして逆に人間から掛け離れた見た目の者達を魔族とする場合もある。

 例えば、《リザードマン》などが良い例だ。ヤツ等の見た目は、ただの二足歩行のトカゲでしかない。しかし、魔法連盟ではヤツ等を魔族としている。

 さらにもう1つ例を挙げるなら、同じ半分人間の形態をとっていたとしても、《魚人族》と《ハルピュイア》では、《魔族》と《魔物》に分けられる。


 では、線引きは何処にあるのか?

 これは六神教会と魔法連盟は認めてはいないことだが…ある程度、知性のある魔物を魔族と呼んでいるのでは無いだろうか?


 だとしたら…人間と魔族の線引きは何処にあるのだろうか?

 魔物とて、人間と同じ生き物であることは変わりない。そのことについては、六神教会も認めている。何故なら、命を奪うとき言う文句を、魔物を殺すときに言う事を定めているからだ。

 勿論、六神教会や魔法連盟などが定める線引きはある…しかし、そこでは『邪悪な存在が魔族』となっている。なんと曖昧な事か。人間なのに邪悪な者は魔族と言うことなのだろうか?

 解らなくなる…どうでも良い事なのだろうが…

 魔王の言葉が思いだされる。


『我は、貴様が実は魔族であっても驚かんだろうな!!』


 下らない…

 魔王と喋り過ぎて、なにかしら感化されちまったのか?

 しかし…俺と魔族との違いって何だろうな? 自分で言うのもなんだが、俺は邪悪だぞ?

 なら少なくとも俺は、人間と名乗る事が烏滸がましい存在だろうな。


 レオナルドに連れられて、ディアナと一緒に来た場所は、まるで地獄の様な場所だった。

 俺の居た部屋から北側に位置するホテルのエントランス。豪華な装飾のなされた、高級ホテルに相応しいきらびやかななエントランスは、俺の見慣れた光景…戦場になっている。

 高級ホテルの外壁は崩れ、五月蝿い笑い声を上げて無数のハルピュイアが吹雪と共に飛来し、それに騎士が応戦する。

 断末魔を叫ぶ兵士が一人…ハルピュイアに身体を引き裂かれ死んだ…

 吹雪いてるにも関わらず、吹雪が入っているにも関わらず燃え盛る炎…流血で赤く染まる雪…

 

 俺はその光景に何処か安らぎを感じている…

 ああ、そうだよ、どうせ俺は外道だよ。


 そんな戦場に見慣れた姿があった。

 アンジェリカ・シルバーランド…魔族に恐れられる銀髪の魔剣士は、風の魔法で足場を作り、地上で戦うのと変わり無く飛来するハルピュイアを切り刻む。流石の一言だな…

 彼女の持つのは、特別な製法で鍛えられたバスターソード…ライザちゃんが《紅い愚者の刃》と呼んでいた剣だ。特別な名前の付く武器は例外無く強力だ、特別な能力を持つモノである場合が多い。まぁ、俺は持ち合わせていないが…

 

 そしてもう一人…上階のエントランスに最強のパーティーのメンバーが居た。

 ジョン・カリスト・ハント…奴は気怠そうに魔法を発動させる。


「ファイヤー・アロー!!!」


 魔力で作られた炎の矢がハルピュイアに突き刺さる。しかし、ソコで終わらない。

 矢を放ったジョンは右手で矢をコントロールし貫通させ、突き抜けた矢で次なる獲物を狙う…

 そして、まるで生き物の様に動く炎の矢は、違う所を飛んでいたハルピュイアに突き刺さった。

 ジョンがニヤリと笑うのが俺には見えた…


「…バースト!!!」


 ジョンがそう唱えるのと同時に、ハルピュイアに突き刺さった炎の矢は派手に爆発した。

 その爆風は凄まじく、近くを飛んでいたハルピュイアは悉く壁に吹き飛ばされる…

 

 爆風がこっちにも来たのがすこぶる鬱陶しい。

 爆散したハルピュイアの肉片が俺の前に落ちて来た…本当に鬱陶しい。

 絶対に、近くで戦うヤツの事を考えていないよな?

 

 実際、風の足場の上で戦っていたアンジェリカは足を蹌踉めかせ隙を作っていた。

 そこに攻撃を仕掛けようと飛んで来るハルピュイア…


 面倒だが仕方ないか…ここで怪我されても困るヤツだ…

 右手で魔力を溜め、魔力で光の矢を作る…


「セント・アロー!!!」


 そう唱えると、光の矢がハルピュイアに向かって放たれた。

《セント・アロー》は、先程ジョンの放った《ファイヤー・アロー》の聖属性版のような魔法だ。

 光の矢は、見事、ハルピュイアの羽を射抜いた。その後、矢は貫通し壁に突き刺さり消滅する。

 通常のセント・アローはこれほど高威力では無い。聖属性の魔法であるため、有効的なダメージを与える事は出来るが、如何せん威力に欠けるのだ。普通の人間が放てば、たとえ羽といえど、貫通など出来ないだろう。しかし、俺は神の加護とやらで聖属性全般が《無駄》に強化されている。故に無駄に高い威力を発揮出来る訳だ。

 だが、俺のコントロールが悪い。無駄に威力が高いため、狙いが定まり難くなっているのだ。今回も急所を射抜けてない。故に、致命傷は与えてない。

 しかし、アンジェリカが体勢を立て直すには十分だったらしい。体勢を立て直したアンジェリカが、ハルピュイアの腹部を剣で突き刺し止めを刺した。

 

 その後、アンジェリカは俺の方に視線を向けると、無言で頭を下げて来た。礼はいいから戦え。

 アンジェリカは直に次のハルピュイアに剣を向ける。


 それにしても…軽くジョンを睨んでやる。

 しかし、奴はこちらには一切気を向けておらず、ただ喜々としてハルピュイアに向けて魔法を放ち続けていた…溜め息が出て来る。

 成る程な、《最強》とか言われている理由が分かった気がした…

 まぁ、どうでもいい。俺の邪魔をしなければ。

 そう言えばルナが居ないな? 何処に行っているのだろう?

 まぁ、それもどうでもいいことか…

 


 先程の件で少し苦手意識が産まれたディアナに指示を出す。

 大丈夫、コイツは覚えてない筈だ。


「ディアナさん、ハルピュイアを魔法で落としてください。

 レオナルドさんは、負傷した兵士を後ろに下がらせて。後で私が治療致します」


「解った…」

「了解しました、クリス殿」


 直に返答する二人。

 レオナルドは、剣を抜き仲間の元へと走って行ったが。

 ディアナに関しては、俺が言うよりも速く魔法の準備に取りかかっていた。

 ディアナの周りに魔力で出来た小さな球体が幾つも浮かび。数瞬後には魔力が、火花を飛ばす電気に代わり、電撃のサンダー・ボールへと変貌する。

 客観的に見ると、美少女の周りに小さい《サンダー・ボール》が無数に浮かぶ光景は幻想的とも言える。

 まぁ、先程の一件で俺はコイツが苦手なのだが…


「…サンダー・ボール」


 蚊の鳴くような声でそう唱えると、電撃の球はゆっくりと動きだして上昇し、ハルピュイアが飛び回る付近の高さで静止した。

 ジョンは、突如現れた電気の球に驚いたようだが。ソレがディアナの放った魔法だと気付くと鼻で笑った。


「おいおい、姫様ぁ? こんなチンケな電気球で何が出来るんだぁ?」


 そんな言葉を発する馬鹿を見上げながら、俺は思う…『俺はディアナが苦手だが、コイツの魔法はお前みたいな馬鹿より上なんだよ』、と…

 

 一瞬、上から大きな火花が飛び散り。焦げた臭いを発しながら何かが落ちて来た。ソレは、ディアナの浮かべたサンダー・ボールに接触し、感電して落ちて来たハルピュイアだ。

 そして視線を上げると、エントランスの天上のいたるところで無数の火花が飛び散っていた…

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