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1話 仮面の魔王と勇者パーティーの最終決戦的な一幕

 後味悪い作品を書きたくて…書いちゃいました♪

 よろしかったら、主人公の行く末を見守ってください。彼が行き着くのはバッドエンドか? その先か…

 作者の厨ニパワー全開でお送り致します。

「魔王、お前を倒す!!!」

「掛かってこい、勇者よ!!!」


《勇者ソウマ・シラヌイ》と仮面を付けた魔王が戦ってる。

 俺、パーティーの回復職の僧侶、《クリストファー・ラスターリューゲ》はそれを後ろから眺める、後衛だから当たり前だよな…


「バカ僧侶、回復魔法!!」


 我がパーティーの剣士ちゃん、《ライザ・セントレイ》が偉そうに俺に指示をだす。

 顔は可愛いのだが、性格は最悪の女。俺はコイツが大嫌いだ。

 傷だらけのくせに偉そうなんだよ。

 偉ぶるなら、俺に頼るな!!


 俺は笑顔の仮面を被り、回復魔法を唱える。


「テラ・ヒール!!」


 上級回復魔法をかけてやる。

 傷が見る見るうちに回復した。

 

 次に回復を要求して来たのは、槍を持った屈強な聖騎士様だ。名前は《アルベルト・ガーランド》。

 ゴツくて、防御力しか取り柄の無い男だが、コイツがここまでダメージを負うとは珍しい。


「クリス殿、すまぬが、回復を頼む」


 ライザに掛けたのと同様の魔法を掛けてやる。

 面倒な仕事だ、本当に。


 魔王が魔物を呼び出した。

 デッカい巨人が2体、山の様にデカいヤツだ。


 そいつらが後衛である俺達の方に向かって来た。

 聖剣片手にソウマが俺に叫ぶ。


「僧侶! そっち行ったぞ、一匹頼む!!」


 テメェーが逃がしたんだろうがぁ!!

 とはいえ、後ろには何故付いて来たのか解らない、現職王女の無口魔法使い…《ディアナ・メイ・エルシオン》様が居る。


 俺はこの姫様を守らねばならん、守らなければ首が飛ぶ…


「Gaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa」


 巨人が吠えた…五月蝿いな…


「……、なに言ってんのか解んねぇーよ…」


 誰も聞いていないのを良いことに、素で呟いてしまった。

 まあ、いいか、誰も聞いていないのだから…


「ジャッジメント・クロス」


 巨人の頭上に、光で出来た巨大な十字架が現れ落下する。

 光属性を帯びた十字架は、巨人の頭を一撃で粉砕した。


 血飛沫が噴水の様に吹き出した。


 俺は悠然と立つ、何度言っても反吐が出る台詞を吐くために…


「これも神のお導のままに、汝に永久の安らぎがあらんことを…」


 教会で決められた文句だ、何の為に言うのか訳が解らん。

 例え魔の物であっても、命を奪うときは言う必要があるのだとか。


 ライザにも、


「あんた、そんなこと言ってる暇があったら回復魔法掛けなさいよ!!」


 と、文句を言われている。

 言い方が気に喰わんが、初めてこの女に同調した瞬間だった。


 こんな台詞に意味は無い、

 それに何が『神』だ…、そんな者は存在しない。


 まぁ、そんなことを大神官の一人である俺が言ったら大事だが…


 ソウマも巨人を倒したようだ。

 

 相変わらず遅せぇ…


 あの勇者は、この期に及んで殺生を躊躇する。

 魔物や人に限らず、生き物を殺す時、一瞬、剣が鈍る。

 それが致命的な隙を産む。


 俺は立場上指摘しないが、ライザや聖騎士様からは何度も指摘されている癖だ。

 最早、治らんだろうな…


 教皇曰く、そこが勇者が勇者たる所以なのだとか…

 俺には関係ないが、俺の邪魔はしないで欲しい。


 …ああ、ほら、魔王はその隙を突いて、勇者の背後に回ったぞ…


 ああ、勇者詰んだな、

 あの距離の魔法は避けれん、

 俺は、田舎の神父に逆戻りかな?


 まるで人事だな…俺は自嘲的な笑みを浮かべている事だろう。


 やめた、のうのうと王国に帰ったら、敵前逃亡で死刑になりかねん…

 そうなると、逃亡の旅に出るか?

 勇者を見殺しにして一人で逃げた僧侶と言うレッテルを貼られて逃亡劇…俺には無理だ…


 俺が勇者の死んだ後の算段を練っていると、

 聖騎士様が勇者の身代わりになり腹に大きな穴を空けた。

 聖騎士に攻撃を防がれた魔王は上空に飛び去る・・・


 馬鹿な男だ・・・

 こんな勇者に命を張る意味など無いと言うのに・・・


 ライザが悲鳴を上げる、

 ソウマは、涙を流し聖剣を握る、

 俺は、必死の形相を『作り』、形だけの治療を施す為に聖騎士に駆け寄る、

 ディアナ様は魔王を牽制する為の魔法を放つ、無表情で・・・


「クリス殿…すみませぬ、我が輩はココまでのようだ…」


 見りゃ解る…

 この深手、俺の魔法ならギリ直せるが、どうすべきか…

 これを直すと俺にも隙が産まれる、

 その隙に、魔王に殺されるのはゴメン被りたい、

 治したら治したで、魔力が枯渇する、

 魔王戦は続行不能となる…


 勘弁してくれ…


 聖騎士様は死にそうな笑顔を俺に向ける、

 王国騎士団騎士団長の甘いマスクは、街娘の憧れの的だ。


「クリス殿…我が輩のことは気になさるな…貴殿は優しい。

 その優しさを…世界の為に使ってくれ…我が輩はもう…むうぅうう。

 最後に…妹をたの…む…」


 事切れた、

 あっけない最後だった、

 最後に、命より大切にしていた妹を俺に託すとは…馬鹿かコイツ…


 ああ、そうか、

 コイツの妹、俺に懐いてたもんな、

 無論、笑顔の仮面を被った俺にだが…


 一応、形だけ弔っておく。

 不思議と悲しみとかは無い。つーか、そういう感情が俺にはあるのだろうか? 疑問だ。

 しかし、まぁ、本当に詰んだな。一人死んだことでチームワークが乱れた…


 まぁ、5人パーティーでチームワークなんざ意識してたのは、前衛3人だけだが…


 ライザは激怒して、魔王に切り掛かり、転移魔法で飛ばされた。

 ディアナ様は、魔王を牽制していたが魔法で一撃入れられ気絶。

 ソウマも善戦したが、仲間の死を引き摺っている時点で負けだ、直に殺される。


 そう思われたが、奇蹟と言うヤツは起こるらしい…

 ソウマの斬撃は魔王を捉え、一撃入れた。

 聖剣の一撃は、魔王にとっては致命傷…人間でいう所の劇薬に等しいと聞く、だが浅いな…


 しかし、これで勝負の行方は決まった、俺は即座にソウマへ回復魔法を準備する。


 俺の存在を思いだした魔王は俺を殺しに来るが、ソウマがそれをさせない。


 ソウマには回復の手段がある、俺と言う優秀な僧侶が…

 この戦い勇者の勝ちだろう…


 俺は晴れて、正式に大神官として向かい入れられ、王都の教会本部で勤めることになるだろう。


 そして俺は上り詰めれる所まで上り…


 この腐った世界の全てを台無しにしてやる…


『その心意気、我は買うぞ?』


「…あん?」


 どこからとも無く聞こえる声、頭に直接流れ込む声、

 ソウマは気付いていない、俺にだけ聞こえる声…


 声の主は魔王か…

 俺に揺さぶりを掛けるつもりか?

 面白い…


(テメェーみたいな、雑魚に買われても嬉しくねぇよ)


『ほう? 我が雑魚か…言うな小僧』


 魔王と勇者の攻防は続く、

 勇者がたまに振り向き、俺の魔法を催促して来る、ウゼェな…

 ちょっとくらい待てや、三流勇者。


(雑魚は雑魚だろう? そんな馬鹿に手こずるようでは、まだまだ、雑魚だ)


『ふっ・・・フハハハハ!!

 恐れ多きも勇者と我が、馬鹿と雑魚か・・・

 小僧、この戦いで我と勇者どちらが勝ったとしても不敬罪は免れぬぞ?』


(心中まで罰せないだろう、

 そんなことしたら、人口の8割は不敬罪で死刑だ)


『小僧・・・、何故、勇者に着く?

 お前の心は限りなく我に近いのに、勇者が勝てば住み難くなるぞ?』


(俺が壊したいのは、勇者が祭り上げられる腐った世界だ

 お前が作り出すただ黒いだけの世界じゃない)


『気に入った、小僧、貴様に世界の半分をやろう』


 なに言い出してんだこの魔王?

 とうとう、頭が沸いたか?


『貴様に半分くれてやる

 我は少し寝る、力が衰えてきた、勇者との戦いは延期したいのだ。

 故に、勇者を異界に飛ばす。

 邪魔をするか否かは貴様に任せよう。


 しかし、我の味方をすれば勇者側の世界…世界の半分は貴様の物だ、好きにするがいい

 統治するための力もくれてやる。


 我も寝るから、世間には勇者と相打ちになったとでも伝えておけ

 さすれば貴様の心配も杞憂に終わる』


 魔王は大きな魔法陣を展開する、

 ソウマは発動を阻止するべく、魔王に切り掛かった、

 しかし、即座に魔法陣は消滅(最初のはデコイか・・・)

 目の前に現れた勇者に、魔王は至近距離から魔力弾を放った…


 ソウマの身体は頑丈だ、その程度では死なない…

 でも、致命的なダメージを負った筈だ、動ける様子は無い。


 魔王は次こそ、巨大な魔法陣を勇者の上に展開する。

 それは転移魔法のようで、形状が少し違う…


 俺は、どっちに着くかこの時決めていた、

 魔王の魔法陣に自信の魔力を供給したのだ。


 ソウマは死にそうな表情で俺に回復魔法を求める、

 俺はそんな勇者に冷ややかな視線を送る…


 ソウマの顔が絶望と失望で塗り尽くされ、異界へと消えた…


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