序章
この世に必要なもの、それは『お金』である。世の中には硬貨、紙幣、電子マネーなど様々なお金の形があり、円やドル、ユーロなどそれぞれの国にお金の単位はある。だが、お金の本質は紙幣などではない。紙幣とはただの紙であり、燃やしてもなんの不便もない。お金の本質とはその形ではなく、その価値そのものなのである。
そして、その『お金』は全てを決める。野球好きがプロ野球選手になれるのも、ただの物好きがその道の専門家になれるのも、全てはお金あってのものである。お金がなければその道のプロになることは不可能であろう。それに必要な大学に入るためのお金、研究費など様々な面でお金が必要となる。
お金がなければ、野球好きは将来、社会人野球をするか、プロ野球を見るだけになるかもしれない。物好きはそれを趣味の一つとするか、もやはそれには触れないかもしれない。
お金があるとないのとでは、これほどまでに差が出てしまうのだ。お金とは自身の将来を決めるものであり、その人間の価値をも決める。
つまりお金は必要不可欠で、あって困るものではないのだ。
お金はいつの世も世界の中心にあった。
突然だが、この世界には『お金』の種類がもう一つある。今まで説明してきた『お金』は物と交換できるものだが、もう一種類の『お金』とは『命』と交換できるものだ。
『命』はものの一つではあるが、物ではない。人の目には決して映ることのないものだ。
『時は金なり』という諺がある。英語に訳すと『Time is money』だ。この諺が示しているように、時間はお金であり、お金は時間である。
つまりお金は人生であり、命であると同時に、命はお金なのである。
どうやってもこの理を覆すことはできない。その理に侵された世界がこの世界の裏側なのである。
とある大企業はこの不景気の中、どこからそんな資金が出てきたのか不思議に思ったことはないだろうか。色んな子会社や株主の資金援助もあるであろう。しかし、本当に足りるのだろうか。
噂によると裏世界で命をお金に換えているらしい。この話が噂であるのには理由がある。
実のところ、本当のことはほとんどの人間が知らない。それは裏世界に入れるものはごく一部の人間だけだからだ。命をお金に換えるということで、若い人間が多くいるらしい。
この裏世界のことをそこの住人は『金命世界』と呼んでいる。




