玄の恋
只今マミコをアオミちゃん宅に輸送中、って言っても俺も軽くお呼ばれしてるんだよね、カイ君がたまには飯でも一緒に、だってさ、しかもアオミちゃんじゃなくてカイ君が作ってくれるんだよ、意外だよね。
さっきから『アオミちゃん』って連呼してるけど会うの始めてなんだ、いつもマンションまで送って終わりだから見たこと無かった、マミコ曰く物凄い綺麗らしいけど、俺って仕事柄可愛い人綺麗な人は見飽きてるんだよね、ココだけの話モデルとかも手掛けた事あるんだよね、その時は綺麗とは思ったけど少し幻滅、だって騒ぐ程でもないんだもん。
着くとマミコに先導されるまま中に入った、ココに高校生の頃から住んでるんだから凄い、コレも仕事柄あんまり他人の素性は気にならないんだけど、ここまで立派なマンションに住んでる何て何してるの?
コウでも生活安定して金をやっとの思いで貯めてココに引っ越したんだぞ、それが女子高生に軽々と。
14階に着くとマミコは迷わず進む、そして目的の部屋の前に行くとインターホンを押した、中から騒がしい音と共にドアが開く。
「あっ、マミコさん!待ってましたよ」
小さな女の子、話ぶりから言ってアオミちゃんじゃなさそうだな、噂の妹の方か。
「コレがマミコさんのお兄ちゃん?」
マミコは無言で頷いた、妹さんは俺の顔をマジマジと見てる、目に星が入ってるよ。
「…………カッコイイ」
「アハハハ、ありがとう」
「モテます?」
「仕事柄かなりね」
「あら、自分で言っちゃうんだ」
「嘘とか謙遜とか好きじゃないから、事実はそのまま話すよ」
「それもカッコイイ、まぁお兄ちゃんには敵わないけど」
これも話に聞いたまんま、でも妹さんにも彼氏がいるんだよね、そこら辺は謎だなぁ。
俺らは家に入ると真っ先にマミコが走って行った、無邪気な妹を見てると兄として嬉しいよね、マミコは手話で何か話てる、青い髪の毛の女の子と、やっぱり遺伝子だね。
そして青い髪の毛の女の子と俺の目が合った。
「……………………」
嘘だ、何も言葉が出ない、前代未聞の可愛さだ、この可愛さはそこら辺の雌とは桁が違う、ってか惚れた。
慌てて後ろを向いてる俺にカイ君が歩み寄って来た。
「どうしたんですか?飯出来てますよ」
俺はカイ君の首に腕を回して引き寄せた、ちなみに髪の毛サラサラだな、切りがいがありそう。
「ねぇ、あれがお姉さん?」
「そうですけど」
「ホントにただの大学生?学生モデルとかミスユニバースとかじゃないの?」
「どうしたんですか?もしかして惚れました?」
「一目惚れって始めてしたよ、人間って一目で惚れられるんだね」
カイ君は固まってる、そんなにお姉さん盗られるのが嫌なのかな?でももう遅いよ、俺は気になったモノは全部手に入れないと気が済まないからね、例えそれが地位名誉女に至るまで、全てをね。
「どうしたのカイ?そちらは…………ハヤさんでしたっけ?」
早くも奇襲攻撃、軽く舞い上がってるよ俺。
「そうだよ、始めまして」
俺は自然と笑みになり挨拶した、あれ?アオミちゃんが固まってる、もしかして髪型引かれたかな。
「髪の毛変?」
「い、いや!違います、ご飯冷めちゃうから早く食べないと!」
やっぱり引かれたよ、もうドレッドも見納めかな、案外気に入ってたんだけどなぁ、でもアオミちゃんをゲットするためならお坊さんにでもなるよ!
俺達は席についた、にしても凄い料理だな、家庭的な料理って大好きなんだよね、とりあえず肉じゃがから…………。
「あっ、この肉じゃが超美味い、カイ君凄いねぇ」
「肉じゃがはアオミが作ったんですよ」
「ホントに!?アオミちゃんが作ったの?」
「はい」
凄い、料理も上手くて美人で、歯科大学に通う秀才で、才色兼備プラス家庭的って最強だよ、もうダメ、アオミちゃんから抜けられないよ。
「この玉子焼きも私が作ったんです、良かったら食べて下さい」
「………………、あぁヤバい、超美味いよ、泣きそう」
アオミちゃん、君は何処まで俺のタイプなんだよ、今までみんなには『ハードルが高い』とか『そんな女はいない』とか言われて来たけど、いるよココに。
「アオミちゃんモテるでしょ?彼氏とかいるの?」
「いませんよ、世の中の男なんて高が知れてます」
それって俺も?でも大丈夫だ、どんなに醜くてもアオミちゃんを惚れさせてみせる、どんなに無様でも俺はアオミちゃんをモノにする、今決めた。
「じゃあアオミちゃんは好きな人がいないんだ」
「………………はい」
「ゴホッ!ゲホッ!ゲホッ!」
カイ君が何故かむせてる、そんなにアオミちゃんに好きな人がいない事がビックリしたのかな?
「勿体無いなぁ、女の子って恋をすればもっと可愛くなるのに。
女の子って凄いんだよ、恋するだけで見違えるくらいに可愛くなるんだから、そこに俺のテクニックが加われば鬼に金棒だよ、アオミちゃんにもそういう風になってほしいなぁ」
アオミちゃんは顔を真っ赤にしてる、今度は可愛い、俺がもっと可愛くしてあげるよ、いつか絶対に俺に恋させてやる。
コレが俺の始めてのマジな恋、今まで彼女はシオリ一人だけだった、でも、惚れたのは始めて、絶対に掴んでみせるよ。