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玄とクリスマス

とうとう来たよ聖夜!クリスマス!この日のタメに生きてたって言ったら過言だけど、アオミのタメに仕事を休んだのは確かだよ、物凄い怒られたけどね、でもアオミのタメなら説教なんて温い温い。


俺はアオミを迎えにマンションの前に来てる、このマンションも通いなれたなぁ、最短ルートも覚えたし混む道も覚えた、こと細かく説明出来るよ。

ハンドルに寄りかかりながら待ってるとアオミが出てきた、本当に可愛いなぁ、今日は大人っぽくて更に可愛いや。


「ゴメンなさい、待った」

「うん、待ったよ」

「普通待ってないよとか言うよね?」

「だって嘘嫌いだもん」


そんな下らない嘘をいちいち吐きたくないよ、相手が良くても俺が許せない。

アオミは呆れながらも助手席に乗った、車高が高いからいつもやっとって感じで乗ってるんだよね、乗りやすいようにスポーツカーとかにしようかな。


俺はとりあえず車を走らせた、まだ時間があるし早く迎えに来すぎちゃったからドライブで暇つぶし、隣にアオミがいれば車走らせてるだけで満足だよ。


「そういえばツバサの進路が決まったのよ」

「本当に!?良かったねぇ、進学?」


ツバサちゃんは俺の時期妹だからね、なんかその妹って言葉をマミコ以外に使うのも新鮮だなぁ。

でもツバサちゃんが妹なら嬉しいよ、俺の周りにはアオミとかマミコみたいに冷たい人しかいないからさ、ツバサちゃんみたいにノリがいい人いないんだよね。


「ツバサ声優にスカウトされたんだって」

「凄いね!声優にスカウトされたんだ!」

「そ、そんなに驚かなくても良いんじゃない?」


アオミが顔を引きつらせてる、でも俺みたいにいろんな人のスタイリングしてると、いろんな業界事情が知れちゃうんだよね。


「声優のスカウトなんて聞いた事がないよ、それに今の声優界は一握りの人達の独占状態なんだよね、だからスカウトする程欲しいって事は才能が認められたんだろうね」


さすが俺の時期妹だ、やっぱりスケールが違うよ、ってか四色の兄妹はおかしいよ、アオミは2ヶ月勉強して歯科医大受かっちゃうし、カイ君は虎の穴と言われた料理学校に受かっちゃうし、ツバサちゃんは前代未聞の声優スカウト。

考えただけで才能溢れる兄妹だなぁ、そこまでだと俺までうらやましくなってきた。




日もすっかり落ちてきた頃、俺はやっと目的地に向かった。

目的地はちょっと有名なホテル、別にそんな変な意味じゃなくて、ただレストランがあるからだよ、アオミもそれには気付いてるだろうし。


ロビーはやっぱり馬鹿みたいに派手、アオミもビックリしてるくらい派手、さすがって感じのホテルだなぁ。


「こんな所で食べるの?」

「そうだよ」

「高いよね?」

「そうだけど大丈夫だよ、俺こう見えてもお金持ちだから」

「確かにお金持ってるようには見えない」


アオミもズバリ言うねぇ、正直お金はかなり貯めてあるんだよね、俺とアオミの将来のために、って最近妄想の一人歩きが多いな、もう少し自重しないと馬鹿見るよ。


ホテルの最上階にあるレストラン、本当に馬鹿みたいに高そうなオーラ出てるんだよね。


「本当に大丈夫なの?」

「大丈夫だよ、味は確かだから」

「そっちの心配じゃないんだけど…………、それに来た事あるんだ」

「うん、女優さんに何回か連れて来られた」


見え見えなんだよね、女優さん達が俺を誘うのって絶対にホテル、部屋を予約してるとか言って俺を引きずり込もうとする、必死さが滲出てて滑稽なんだよね。


「どんな女優と来たの?」

「一寸木静子とか柳川晴美とか立川利奈とか?」

「どれもこれも凄い女優じゃない」


アオミは呆れてる、でも俺にとったら所詮は女優、俺の中で女なのはアオミだけだからね、更に女優達が滑稽に見えるよ。


レストランの中は薄暗くて俺の好きな雰囲気、いつも明るくしてるとたまにはこういう暗い所にいたくなるんだよね。

窓際の夜景の見える定番の席にキャンドル、こんな高い所から夜景見れるだけじゃなくて、アオミと一緒に食事出来るなんて俺にしたら最高の贅沢だよ。


「綺麗、東京も上から見れば綺麗な街なのにね」

「綺麗なものなんてそんなものだよ、近くで見て綺麗なのなんてアオミくらいだって」

「はぁ、嬉しいけどオーバー過ぎよ」

「俺は嘘を吐けないんだよ、俺の言う事は全部本当」


アオミは珍しく顔を真っ赤にしてる、こんだけ薄暗いのに分かるんだから相当赤いんだろうな。

でもそういうアオミが可愛くてしょうがないんだよ、早く俺だけのアオミになってほしいんだけど、アオミが俺を受け入れてくれないとね。




コースの食事が次々と運ばれて来る、俺は車があるから飲めないけど、ワインとかあったらあうんだろうな。

アオミもおいしいとか言って食べてくれるし、かなり満足だよ。


「そういえばカイとチカがずいぶん前に美味しいお店見付けたんだって、ハヤさん今度行ってみない?」

「……………………」

「な、何、固まってるの?」


俺はフォークとナイフを持ったまま固まってた、もう涙を堪えるので精一杯だよ、これは歴史的一日だよ、だって、だって…………


「………アオミが誘ってくれたぁ」

「はい?」

「始めてアオミが俺の事を誘ってくれた!嘘じゃないよね?本当の事だよね!?」

「そんな大袈裟な、別に私だって恩返しくらいしたいわよ」

「ありがとうー!アオミ大好きだよ!」


この場でアオミに抱きつきたいけど、流石にお店がお店だからそんな事は出来ないよ、俺にだってそれなりの常識ってものがあるけどね。


「そういえばカイ君と言えばチカ嬢だよ」

「チカがどうかしたの?」

「チカ嬢最近元気ないよ、家に行くと何かとため息ばっかりだし、コウとはひたすら英語で話てるんだよ、勉強も何か英語だらけでなにやってるか分からないし。

カイ君とアオミに勉強見てもらえば?って言ったんだけど頑に拒否されちゃった、やっぱりお兄ちゃんが先生だから必要ないんだろうね」


アオミは回転の速い頭で何かを考えてる、やっぱり考えてるのは俺よりもアオミだよね。

アオミは可愛い顔で必死に何かを考えてる、確かに時期妹の一大事?だからね、まぁ俺にとってもチカ嬢は可愛い存在だから。


「何か分かった?」

「全然、多分カイが知ってるんだから気にしなくても良いんじゃない?」

「それもそうだね、チカ嬢の事はカイ君に任せてれば安心だね」


カイ君は高校生だけど大人びてるからね、チカ嬢の事もコウよりもよく分かってるし、怖いくらい頭良いから解決策も思い浮かぶ、本当に良い男だよ。


「そのせいか分からないけど最近カイがそっけないのよね」

「忙しいからしょうがないんじゃない?」

「ツバサも仕事仕事だし、私の事かまってくれるのハヤさんだけになっちゃった」


それだ!流石カイ君、知ってか知らずかアオミは俺のもとに来る、そして俺がさりげなくアオミの寂しさを埋めてあげれば、自然とアオミは俺のもとに来てくれる、俺って悪い男だなぁ。


「悲しかったらメール入れてよ、暇があったら駆け付けてあげるから」


電話でも良いんだけど、あえてメールにしたのはアオミに気を使わせないため、俺だって少しは学習してるんだから。


「迷惑にならない程度にね」

「俺からしたらアオミよりも仕事の方が迷惑だよ、アオミとの時間を削られて」

「それがハヤさんのお仕事でしょ?」

「アオミのタメなら仕事なんていらないよ」


アオミはまた呆れてる、まぁこうやってアオミと食事出来るのも仕事のお陰だし、色々仕事に助けられてるからね、だから辞められないんだよ。




食事も終わって俺の完璧計画の一つ、ドライブのタメに地下の駐車場を歩いてる。

隣にいるアオミは気持ちテンションが高いし、後はプレゼントを渡すだけ、アオミの喜ぶ顔が目に浮かぶよ。


俺はアオミよりも早く車の前に行くと、助手席のドアに手をかけた、でも何かアオミに悪戯したくなってきちゃった。

俺は振り返るとアオミを笑顔で見る、アオミは首を傾げて俺の事を見てる。


「どうした―――」


俺はアオミが言い切る前に、アオミの華奢な体を抱き締めた、アオミは驚きながら可愛い声をあげてる。


「大好きだよ、アオミ」

「…………………」


あれ?反応がないな、アオミなら冗談半分で怒りながら押し返してくれると思ったのに。


「アオミ?」


俺はゆっくりとアオミを離すと、アオミの目には涙が溜ってた、俺は気が動転して情無い動きしてるよ。


「ゴメン、嫌だったよね?」

「ち、違うの、ハヤさんが悪いんじゃない」

「でも泣いてるじゃん?俺のせいだよ」

「ただ、昔の事を思いだしちゃって」













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