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銀の悩み

沖縄の海でチカにまた大きくなったか?と聞かれた、確かにそうだった、どれだけ拒否しても大きくなる私の胸、遂に今のブラまでキツくなってきた。

グラビアアイドル並、むしろそれ以上ある私の胸にあうブラは普通のランジェリーショップにはない、大きめのを扱ってる店に行かないと。

しかも値段が馬鹿にならない、コガネの通帳に振り込まれる生活費、そこから私にくれるおこづかいが悲鳴をあげてる。


私はため息を吐きながらお店に入った、お店には店員と客が一人だけ、あれ、あの人はたしか………。


「あら、ヒノリちゃん、だっけ?」


私は静かに頷いた、そこにいるのは蘭さん、一瞬驚いて胸を見ると確かに大きい、そして蘭さんも私の胸を見てる、そしてお互い苦笑い、何この同志がいた嬉しさは?


「苦労が絶えないね」

「お互い様ですよ」


こんな近くに私の苦労を分かってくれる人がいたなんて、少し嬉しい。


私は蘭さんと一緒に買い物を済ました、本当に笑えないくらい高額、でもキツイの着けてると大きくなっちゃうんだよね。


「高校生には痛い出費よね?」

「はい、服に使うお金がなくなっちゃって……」

「私も仕事柄邪魔でね……」

「「はぁ」」


蘭さんって確か美容師だったような、確かにあの職業は辛そう。


「ちょっとお話しない?お互い聞いてほしい話もあるでしょ?」


多分頷いた私の目は輝いてたと思う、誰にも分かって貰えないような愚痴や辛さ、蘭さんとなら絶対に分けあえる、持つべきものは同志ね。




私達は近くのカフェに入った、やっぱり私達が二人揃うと他人の目を引く、しかも蘭さんは凄く綺麗だし。

椅子に座ると二人共気が緩み肩を回す、蘭さんと目が合って思わず笑みが溢れた。


「凝りますよね?」

「うん、何かヒノリちゃんといると周りを気にしなくて良いから楽よ」

「私もです」


コガネといる時とは違う安心感、蘭さんといると何かを共有してるような安心感がある。


「やっぱりヒノリちゃんとかはまだ大きくなってるの?」

「はい、高校に入って2サイズも上がりました」

「私は3サイズくらい上がったかな?」


胸っていうのは丁度高校生の時に無駄に大きくなる、本当に笑えない事なんだよね、ツバサを見る度に羨ましくなる、こんな脂肪の塊なんてなきゃ良いのに。

蘭さんは身を乗り出して周りに聞こえないくらいの声で話しかけてきた。


「揉まれると大きくならない?」


私は目を丸くして座り直した蘭さんを見る、蘭さんは顔を真っ赤にしながらうつ向いてる、何故か不純とは思えない、切実な悩みだからだと思う。


「そこまでは無いから分からないです」

「…………そう」

「蘭さんは?」

「そ、それは………」


図星だ、それはまぁ死んだと思ってた彼氏に会えば男と女だから………、って私が不純、でも少し羨ましく感じてたりする、コガネはそんな事してくれないから。


「一つ聞いても良いですか?」

「良いわよ」

「同棲してても手を出さない彼氏ってどう思います?」

「ブッ!」


蘭さんは飲んでた紅茶を豪快に吹き出した、私はナプキンで必死に拭いてるけど、蘭さんは顔を真っ赤にしながらゆっくり拭いてる、私何か変な事言ったかな?


「ヒノリちゃん同棲してるの?」

「はい」

「彼氏はコガネ君よね?家とかお金は?」


私は蘭さんにコガネの事を話した、親が代議士という事、家を勘当された事、お金は仕送で生活してる事、そして私が誰にも言えなかった同棲してる理由。

初めて他人に話した事もあったから少し心の荷が降りた、コガネやチカにも話せなかった事もある。


「大変なのね」

「私が選んだ事ですから」

「でも色々困る事もあるでしょ?」

「そういう時は兄に頼んでます」


ヤバい、本題からズレて私の身の上話になってる、確かに誰かに知ってほしかった事だけどそれじゃない、コガネの事だよ。


「それで彼氏が手を出さないのはどうですか?」

「自分から仕掛けなきゃ無理じゃないかな?コガネ君は優しそうだし、そういうのに臆病なところがあるんじゃない?」

「でも、不純な女とか思われたら………」

「同棲は不純じゃないの?」


うっ、耳が痛い、確かに今頃不純云々を言ってる自分はどうかと思う、恐らくそこら辺の高校生よりもよっぽど不純なんだから、でもやっぱり同棲とコレとは大きな違いが。


「でも目の前に大きなスイカがあるのに食べないカブトムシがいるなんて………」


例えが物凄い不純、でもチカやカイが蘭さんには悪魔が住んでるって言ってた、これも悪魔の片鱗とか?こんな不純な悪魔もいるんだ。


「自分から仕掛けてみるしか無いんじゃない?」

「でもそれじゃあ………」

「こんな大きな胸して何言ってるの、私達には誰にも負けない武器があるんだから」


蘭さんはいつもそうやって樹々下さんを誘惑してるの?でもやっぱりそれくらいやらなきゃいけないのかな、コガネは一生自分からやってくれなそうだし。


「わかりました、頑張ってみます、それともう一つ聞いて良いですか?」

「良いわよ」

「彼氏以外に、気になる人がいるんです」


また私は変な事言ってる、蘭さんだって困ってる顔をしてるよ、でも今の私には胸の事よりも大事な事かもしれない。


「好きじゃないんですよ、でもコガネがいなかったらってたまに思うんです」

「それは好きなのよ」


また短刀直入に、蘭さんって案外キツイ人だな、でもそこまでズバッと言ってくれた方が楽かもしれない。


「でもコガネの方が好きなんですよ」

「分かるわよ、でも、他の人の事も好きなんでしょ?」

「……………はい」

「好きな人を忘れるか、コガネ君を忘れるかね」


好きな人はカイ、今の状態でカイを忘れる事は出来ない、かと言ってコガネのいない毎日は想像出来ない、だから悩んででるのに。


「人間って何かを失うまではその大切さに気付かないものよ、そして失ってからは遅い、切り捨てる勇気がなきゃ、大切なモノを失うわよ」


簡単な事なのに、カイを切り捨てれば簡単に終わるのに、そんな簡単な事が出来ない、コガネは絶対に失っちゃいけないって分かってる、でもカイにしか埋められない穴があった、それだけの事なのかもしれない。


「私とユキ君も幼馴染みなの、だからユキ君がいなくなった時は本当にショックだった、幼馴染みって繋がりが強すぎて、存在が大きすぎて気付かないのかもしれない、でも本当にいなくなった時は辛いものよ」


蘭さんは樹々下さんを一回失ってる、でも私は少し離れただけで知った気になってた。

カイを心の中から追い出さなきゃ、カイはコガネに無いモノを持ってる、だからそれに憧れてるだけなんだ、私にカイは必要ない。






コガネ、私は好きな人すら一つに定められないダメな女です、でもね、愛してるのはコガネ一人だけだよ。

なんと70話まで行ってしまいました!自分でも書いててビックリしてます、でもまだまだ続きます!

ラストに向かって徐々に話が進みますので、どうか最後までお付き合い下さい。

各々のエンディングを用意してます、ちなみにコテツとツバサやコガネとヒノリはまだ完結してません、その点でもお楽しみ下さい。

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