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赤と双子妹

アタシは大変な事に気付いた、カイと同じクラスになってもあんまり変わらないって事に。

中学校の頃もそうだったけど、カイってずっと寝てるんだよね(それでもテストはトップ、ずるいよな)、だからあんまり話さないんだよ。

カイもコガネも寝顔は可愛いんだよな、最近は部活も忙しいらしいし、でも昨日は飲みに行ったとか言ってたから二日酔い?カイとコガネに限ってそんな事ないよな。


「四色先輩いますかぁ!」


3年の教室に平気で入って来た1年生…………ってあの顔見覚えがある。


「ハルちゃぁぁぁん!」

「うわっ、鷲鷹先輩?何でココに?」

「僕だけじゃないよ、ヒノノもチカチカもいる、ホラ」


ツバサはアタシとヒノリの方を指差した、黍野遥希キビノハルキ、男の子みたいな女の子でバレー部の一年生、性格とか言葉は自分で言うのもなんだけどアタシより酷い、もう男の子そのもの。


「カイ捜してるの?」

「そうだし早く離れて」

「カイはそこで寝てるよ」


ツバサが指差すとハルキはそこに歩いて行った、カイと何で知り合いなんだろ?

ハルキはカイの隣に立つと頭を殴った、クラスが静まりかえる、力的にはコテツが出来るけど誰も怖くてやろうとしない、むしろカイを殴れるのは兄貴くらいなのに。


「………ってぇな」

「あぁ?あんた誰に口きいてんの?」


うわぁ、ただでさえ1年生というハンデがあるのに上から言ってる、もうアタシにも抑えきれないって、周りの人はコテツとコガネ以外みんな避けてる。


「それはテメェだろ!」


胸ぐらを掴んで立ち上がった、あぁなったら女の子でも殴っちゃうよ。

ハルキの表情は変わらずに堂々と見上げてる、今何か言った、声が小さくて分からなかったけど、昨日の何とかって言ったような気がする。


「それならお前も同じ事だろ」

「良いのかなぁ?…………」


今度は耳打ちした、その瞬間カイの顔が青ざめて椅子に座った、あれ?殴らないの?てか魔法の呪文でも唱えたのかな?


「で、用は何だ?」

「ユウは今日休んでるから部活に行けないって」

「ユウ?……………チビの事?」

「まぁそうだろ、ちゃんと言ったからな」


ハルキが帰ろうとした時にカイはハルキの後ろ手を掴んだ、ハルキも凄いなぁ、同じ歳でも怖くて敬語使う人がいるのに、ハルキは普通にタメ口、二人の間に何が?

もしかして愛人!?カイはボーイッシュ好きとか?アタシも多少女の子っぽく無いところがあるから、否定しきれないよ。


「お前わざわざこんな事言うタメに高校まで来たのか?」

「はぁ?あんた馬鹿だろ、制服みろ制服!ココの生徒だっつぅの」

「でもチビは高一だぞ、お前妹だろ?」

「あんた本格的に馬鹿だな!私とユウは双子だよ!ふ・た・ご!」


カイが驚いて固まってる、ハルキって双子なんだ、それよりもカイに馬鹿を連呼してる方がアタシはビックリだけど。


「珍しいな、男と女の双子ってのも」

「男?……………あぁ、そこら辺はユウから聞け」

「何を?」

「いいから、とりあえず私は戻るぞ、伝えたからな!」


嵐は去って行った、その瞬間みんながカイの所に集まったけど、アタシはその群れを掻き分けてカイまで辿り着いた。


「カイ!ハルキとはどういう関係なんの!?愛人とか?」

「馬鹿じゃねぇの、チビコは俺の後輩の双子の妹」

「チビコ?」

「そう、アイツら黍野だから兄がチビ、妹がチビコ」


何だ、そんな遠い関係なんだ、でもそれならなんでカイはあんなに弱かったの?殴られても馬鹿を連呼されても殴らなかったし、コガネ辺りだったら今頃大喧嘩してるぞ。


「何で殴らなかったの?弱みでも握られた?」

「昨日チビに飲ませ過ぎちゃってそれを校長に言うぞって脅されたから」


そっか、それなら仕方ないよな、無理矢理飲ませたのは良くないけど、何もなかったんだから良しとするか。




学校も終った放課後、いつものように部活が行われてる、アタシは部長って立場があんまり好きじゃないんだよな。

アタシ達3人から部長を選ぶ事になったんだけど、ツバサは一緒に遊んじゃうから却下になって、ヒノリは寡黙過ぎるから却下、消去法でアタシが部長になった。

しかも満場一致で、これは絶対に誰かの策略だよ、アタシが部長なんて。


「どうしたんですか潤間先輩?」

「あぁチビコか」

「チビコ?」

「カイが兄がチビだから妹のハルキはチビコだって」

「アイツ〜、調子乗りやがって」


アタシから言わせたらハルキの方が調子乗ってるけどな、でもまぁ良いか、何か傍観者の立場も楽しいし。


「潤間先輩、四色先輩の抱き心地はどうでした?」

「だ、抱き心地?」

「ヤッたんですってね、アイツがボロってくれましたよ」


何してるんだよカイ、ヒノリ達以外にはバレずに来てたのに。


「初体験の感想は?」

「変な事聞くな」

「あれぇ、顔が真っ赤ですよ、ねぇ?どうだったんですか?」

「あ、ちょ、ちょっとハルキ!やめ、辞めて!」


ハルキがアタシの胸を揉み始めた、ハルキの目付きが女子高生を狙うおやじの目になってる。


「い、言うから!辞めて!」

「しょうがないですね」

「……………ビックリした」

「ですよねぇ!」


ちょっと待って、今のは聞き捨てならないな、今の口ぶりは確実に墓穴を掘ったよな、アタシの耳は誤魔化せないよ。


「ハルキどうだった?」

「そりゃもう、緊張と……………」

「ハルキも乙女じゃないんだ」

「な、内緒にしてくださいよ!」

「お互い弱みを握ってるからね」


最近の若い子は進んでるねぇ、あっ、今ちょっと爺っぽかった、今後は気をつけよ。


「で、誰と?」

「前の彼氏ですよ」

「へぇ、マセてるんだね」


ハルキは顔を真っ赤にしてる、いつもこうだったら女の子っぽくて可愛いのに、勿体無いな。


「チカチカ!ハルちゃん!ミニゲームやるからコッチに来て!」


ツバサに呼ばれたからハルキと一緒にコートに入った。

勉強も部活も恋愛も、全部頑張ってこそ女の子ってもんでしょ、今のアタシは恋愛に傾き過ぎてるけどね。

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