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青とコスプレ

後夜祭、夜になり校庭では大きな焚き火、ってか既にキャンプファイヤーの域にまで達した炎、そしてステージではコテツが後夜祭を仕切ってる。

恒例らしい告白タイム、俺やコガネ、ヒノリやチカ、ツバサはどんだけステージに上がったかは分からない、ほぼ全員が速攻断ってる、俺は若干楽しみながら長々とやってるんだけどね。



そしてメインイベント?のコスプレコンテスト、案の定俺らもエントリーされてた、コガネもココまで来たら諦めてやるらしい。


とりあえず先に俺から特設更衣室に入った、コテツが中に差し入れたのは和服、そして刀の玩具、なんとなく何をやらせたいか分かった。


「ちゃんと髪結んでや」


やっぱり、俺は和服を着て腰に刀を刺す、そして髪の毛を後ろで結わえれば侍に大変身、コテツも考えたな、確かにコレもソフトなコスプレだ。


「次はコガネはんや」

「俺はなんだ?カイが侍なら騎士とか?」


なんだ、案外楽しんでるじゃん、まぁ俺のがソフトだっから安心したんだろうな、それにコテツの場合何がなんでもやらせそうだし。


「中にもう入れといたで」

「そう、じゃあ、待ってろよ」


コガネは更衣室に入って行った、そして何故かコテツはクスクス笑ってる。

コガネはあっという間に出てきた、そして困り顔をしてる。


「おい、コレ間違って無いか?」

「いや、それでええんやで」

「いやでも―――」

「フルウィッグもあるさかい、着替えてや、………着替えへんかったら」


コテツは指の関節をボキボキ鳴らしてる、コガネの顔は青ざめて更衣室の中に入って行った、そして中からは無理が連呼されてる。


そしてコガネのガサゴソという音がなくなり、静寂が訪れる、暫くの沈黙。


「………ありえねぇ」

「着れましたか?」

「ダメだ!コレで表出るくらいなら死ぬ!」


その瞬間コテツが更衣室を開けた、俺は思いっきり吹き出し、大笑いしてるとみるみるコガネの顔が赤くなる。


「メイク隊入って来てや」

「おい!何だよそれ!?」


コテツはコガネを椅子に座らせると動けないように縛りつけた、そしてコテツが顔を押さえ付けると、女の子達がメイク道具を取り出し、コガネの顔を描いていく。


「やめろおおおぉぉぉ!」




コガネの悲鳴をよそにコスプレコンテストを始まった、次々にコスプレした奴らがステージに上がる度に歓声が聞こえる、さすがコテツって感じだな、これはかなりの成功だ。

そしてコテツのテンションが最高潮に達した時、メインイベントが始まった。

俺達生徒会がコスプレしてステージに上がる、普通の生徒にとったら楽しいんだろうな。


「まずは誰もが好きな、潤間千夏はんや!」


チカが壇上に上がる、真っ白な胴着に真っ赤な袴、それは神社でよくアルバイトしてる巫女さんだ、赤だから本当にチカに似合う。

コテツは誰にどんなもの(コスプレ)が似合うとか天才的だな、特に俺の後ろで抜け殻になってるコガネとか。

チカは壇上で野郎共に満面の笑みを振り撒いてる、下の女の子も若干が憧れの眼差しを送ってるし、ボーイッシュだからストライクゾーンに入り易いんだな。


チカがコテツの後ろにある椅子に座ると、コテツがマイクを持って前に出る。

そしてまだかまだかと待ち望む野郎共、そしてその後ろの方には俺ら待ちと思われる女子達、本当に生徒会って人気なんだな。


「次はたまらへんでぇ、春日氷乃梨はんや!」


男子が雪崩のように壇上に向かってる、そしてヒノリはゆっくりと壇上に上がった。

確かにコレはヤバい、スカートタイプのスーツにはだけたYシャツ、そしてハイヒールにメガネ、コレは家庭教師だ。

そして何より谷間まで見えてるから男達は我先にとすがりつく、ヒノリはしゃがんで一人の男子の鼻の頭を人差し指で小突いた、それにより沸き上がる歓声、ヒノリも乗り気だな。

ヒノリはチカの隣に座ると足を組んだ、それで更に歓声が沸き上がる、コレをコガネが見てなくて良かったな、多分キレるか鼻血出して倒れるかだろうな。


「次はマニアにはたまらへん、鷲鷹翼はんや!」


ツバサは壇上に駆け上がる、その瞬間今までに無いくらいの歓声があがる。

ツバサの服は一言で言うとメイド服、でも文化祭で使ってたようなもんじゃない、それよりも断然派手になり、本当にコスプレ仕様のメイド服。

それが似合うんだから怖い、そこまで着こなせるツバサを尊敬するよ、それともコテツの見る目があるのか?

どちらにしろ、王道をココまで引き立たせるツバサに乾杯だな。

ツバサはヒノリの隣に勢いよく座ると、満面の笑みで男子達に手を振った、この気さくさもウケるんだろうな。


「次は男子生徒会の番やで」


その瞬間女子と男子のポジションが入れ替わった、この分かりやすさはどうなのよ?まぁ少し期待しててくれる事が嬉しかったりするんだけどね。


「まずはラストサムライ、四色海はんや!」


俺はコテツに言われた通りに目に力を入れて壇上に上がった、でもコレはサムライってよりは浪人だよな、まぁ我ながら似合ってるから良いんだけど。

俺はコレもコテツに言われた通りに玩具の刀に肘をかけた、そしてそのままクールに椅子に座る、コレがコテツの言われたシナリオ、それを俺は完遂した。

俺のは比較的楽だから良いけど、コガネのはヤバいだろうな、アイツのはある意味暴れられないし、どういう風に振る舞うのか楽しみだな。


「次は新境地に達した、五百蔵黄金はんや!」


歓声が上がるがコガネは出てこない、まぁそりゃそうだろうな、俺は荒れで外に出たくない、ってか何でアイツはアレを着たんだよ?

そして待合室からコガネとアシスタントの生徒の声が聞こえた、コガネの努声と懇願、そんなのを無視して思いっきり突き飛ばされながら壇上に上がった。

真っ赤な顔をしたコガネをよそに盛り上がる会場、女子だけではなく男子までが興奮してる。

コガネが会場の歓声を集めたコスプレ、それは真っ黒なゴスロリ、ただでさえ顔が白いコガネに化粧をして黒いロリータの服、そして金色のカツラ。

こんなにコガネが可愛くなるとは思わなかった、真っ白な顔を赤くしてる、男とは思えない、ってか手前で騒いでる女より女だ。


「こ、コテツ、帰って良いか?」

「ダメやで」


コテツの即答、俺らのコスプレがただの変装に思えるくらいの変わり方だ。


「コガネはん可愛いなぁ」

「俺にそんな趣味は無い」

「あとそこに立ってるとパンツ見えるで」


コガネはスカートを抑えて一歩下がった、その動作で男から歓声があがる、いつも平気とか言ってるのに、こんな時だけ恥ずかしいのかよ。

そしてそれにより男の視線がコガネのスカートに集まる、サッカーやってるとは思えないくらい細い足だな、それにもともと体毛が薄いから様になってる。


「おい、俺はもう座るぞ」

「ダメやで、これから撮影会や、…………こん中から一人だけ撮影したい人選んでや」


ココまでやっといて多数決とはコガネにとっては拷問だな。


「じゃあまずはコガネはん!コガネはんが良い人!」


9割近くの人が手を挙げた、なんか当然の結果というか、とりあえずコガネ、ご愁傷様。


「残念やったな、コガネはん」

「て、テメェ……」


コガネは腰の辺りで拳を握ってる、そして一斉に携帯カメラの嵐、可哀想なコガネ。

暫くするとコガネはある事に気付いた、男子のカメラがスカートに向けられてる事を、コガネはそれを確認すると顔を真っ赤にしながらスカートを抑えた。


「良いのかヒノリ?アイツモテモテだぞ」

「可愛すぎてムカつく、何か私が負けた気分」


彼氏のコガネに対抗意識を抱いてどうする、まぁ女の子からしたら男のコガネがあんだけ可愛かったら嫌だろうな。




コスプレコンテストも終わり、男のミスコンや普通のミスコン、そしてコスプレコンテストのグランプリ発表。

ミスコンはヒノリ、男のミスコンは奇跡的に俺、そしてコスプレコンテストは断トツでコガネの優勝。

でもコテツは俺が優勝した事が納得出来ないらしい、それは一芸で俺が何をやったか思い出せないから。


「カイはんは何やったんや!?」

「そんな口では言えないな」

「お兄ちゃんのは本当に凄かったよ」

「ツバサ教えてぇや、全然思い出せへん」

「さすがアタシの彼氏って感じだったな」

「俺が女なら確実に惚れてるな」

「コガネがそう言う理由、私も分かるよ」

「はよ教えてやぁ!」


コテツ、分からないなら教えないよ、あれは秘策中の秘策、それに2度とやらないだろうし言わない。






こういうコンテストってのもたまには楽しいかもな、そんな容姿なんて他人に自慢するような事じゃないけど、楽しいから良いか。

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