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青と飲み会

何か流れで打ち上げする事になった、俺とコガネとチビとクリコ、メチャクチャなメンツだよな。

コガネとクリコはヤケに打ち解けてる、女の子が大の苦手なのにクリコだけは最初から話したし、あだ名を付けたのもコガネだし、女じゃないとか言ってたから本当なのかもな。

逆にチビとは絡みづらそう、やっぱり男っぽく無いから?


「クリコ、何処行くの?」

「お酒の飲める所です!」

「お、お酒飲むの!?」

「チビダメなのか?俺は最初から飲むつもりだったんだけどな」


コガネが飲もうと思ってた、チビが飲むのを否定するのも分かる、クリコが飲みに行くのを勧めたのが意外。


「でも、俺ら制服だぞ」

「そうだよクリコ、僕達にはお酒くれないって」

「どうなんだクリコ?」

「私が抜かってる訳無いじゃないですか!コレから行くのは私の息が掛った店です、お酒もタバコも全然OKですよ!」


息が掛ったって、まぁ俺もコガネも酒は大丈夫だし、誘ったのはクリコだからクリコも飲めるだろ、問題はチビだ、コイツ飲めるのか?



クリコに案内されたのは居酒屋、路地を一本入った隠れ家的な所、人はあんまりいないけど大丈夫なのか?


「おっちゃん久しぶり!」

「おうリコちゃん!今日は男付きかい?」

「違いますよ!部活の先輩と………、オマケです」

「僕はオマケじゃないよ!」


俺らは二人を無視して畳に座った、クリコが知ってる店だから安心して飲めるな、いつもはチカがいるからセーブしなきゃいけないからあんまり飲まないけど、今回は気にする事は無い。


「リコちゃんサッカー部のマネージャーになったのかい?」

「そうだよ、試験で合格してやっとなれたんだから」

「良かったな、これでヤコちゃんとの――――」

「おっちゃん!その事はダメ」


何かあるらしいけど気にする事じゃないか。

俺らは乾杯で始めた、コガネは一気に飲むとお代わりと一言、クリコはまぁ順調に飲んでる、チビは…………、恐る恐るって感じだな。


「チビちゃん、もっと飲まなきゃつまらないよ!」

「僕始めてなんだよ」

「知らないわよ!ほら飲んで飲んで!」


クリコは無理矢理チビに飲ましてる、コガネはその光景に大爆笑、あ、この肉じゃが美味い、それにこの魚の煮付けも。


「カイ、食ってばっかりいないで飲めよ」

「だって美味いからさ」

「四色先輩は食いしん坊ですね」

「勉強の一貫だ」

「勉強?」

「コイツ料理オタクだからな」


クリコとチビが口を揃えて意外と言った、確かに意外と言っちゃ意外だけど、これが俺の趣味なんです、最近本気で料理人になろうかと考えてる。


「五百蔵先輩、全然酔いませんね」

「慣れてるからな」

「それに比べてチビちゃんは…………」

「ぶぉくは男だ!みんな女って言うけどおときょにょこなんだよぉ!」

「誰もチビちゃんの事女の子なんて言って無いよ」


酔うの早いな、クリコがさっき無理矢理飲ましてたからか?

やっぱりチビって自分の容姿の事気にしてるんだ、まぁ気にするだろうな、可愛い男って感じだもんな。


「チビって本当に男か?」

「何を言うんでしゅか五百蔵しぇんぱい!僕は正真正銘のおときょでぇす」

「こんなナヨナヨした男の子じゃモテないよ」

「うるしゃい!僕はしゃっかー一筋だ!」


かなり酔ってるな、顔も真っ赤だしフラフラしてるし、体が小さいから酔いも回り易いとか?


「僕はじぇったいにれぎゅらーになって今までバカにしたやちゅらを見返すんだ……………」

バタン


そのままチビは寝た、これなら寝てくれた方が楽だな、コイツの愚痴に付き合ってたら夜が明けるって。


「あ〜あ、チビちゃん寝ちゃった」

「だらしねぇな」

「お前らがそうやって煽るからだろ、特にクリコ、コイツ飲んだ事無いんだから無理させるな」

「えへ!四色先輩に怒られちゃった」

「クリコは楽しく飲もうとしただけなのにな」

「五百蔵先輩は分かってくれます?」

「おう」


コイツら本当に意気投合してるな、クリコは本格的に女として見られてないぞ、相手にその気が無いとはいえ可哀想だな。

にしてもチビの寝顔はホント男じゃねぇよ、ここまで来ると女で生きた方が良いんじゃないかと錯覚するくらい。


「それにしても二人共偉いですよね、部をまとめて居残り練習して部員の練習着洗って、普通しませんよ」

「暇だから」

「違うだろ、コガネはこんな格好してるけど誰よりもサッカーの事が好きだから、今日キレたのもサッカーをナメてるのが許せなかったからだ、全部好きな事のタメだからやってるんだよ、俺はその手伝い」


コガネは顔を真っ赤にして酒を飲んでる、そりゃ3年間の殆ど会ってたら何となく分かるって。


「そういうのカッコイイです、皆にも見習って欲しいな、それに四色先輩と五百蔵先輩って夫婦みたいですね」


二人で大爆笑、俺とコガネが夫婦なんて新説だな、コガネがホモって言われた事はあったけど夫婦は始めてだ。


「関白な五百蔵先輩をせっせと四色先輩がサポートして、良いコンビですよ」

「サポートっていうかコガネの尻拭いだな」


どれだけ俺がコガネの尻拭いをした事か、先輩と部内で喧嘩したり、ミニゲーム中に喧嘩したり、後輩が生意気だって喧嘩したり、……………喧嘩ばっかりだな。


「四色先輩も五百蔵先輩も第一印象と全然違いますね、四色先輩はクールに見えて案外楽しいし、五百蔵先輩は外見とは全然違ってひた向きだし」


でも見た目通り喧嘩っ早いけどね、最近は後輩が増えて更にピリピリしてるし。


「何か他の女の子より一歩リードしちゃった」

「リードも何もクリコはマネージャーだろ、それに俺とカイには彼女がいるし」

「第一コガネは巨乳好きだし」

「それって私が貧乳だって言いたいんですか!?」

「俺は巨乳が好きな訳じゃない、ヒノが好きなんだ」


サラッとヒノリへの愛を囁くな、クリコはキャーキャー騒いでるし、コイツら地味に相性良いんじゃねぇの?




打ち上げもお開きにして解散、クリコの家とコガネの家の方向が同じだから一緒に帰らせた、俺は酔いつぶれたチビの宅配。

幸いにも居酒屋からそんなに遠くないからありがたい、俺の背中で爆睡してる、コレがチカなら襲ったりしちゃうんだけどな、って何考えてるんだよ俺。


チビの家に着いた、いたって普通の一軒家、俺は門のインターホンを押した、中からはチビと同じくらいの男の子が出てくる、弟か。


「何ですか?こんな遅くに」


明らかに不機嫌を撒き散らしてる、チビも女とか言われて弟にイジメられてるんだろうな。


「お兄さんをお届けに参りました」

「兄?あぁ、そいつか」


そいつよばわりだよ、どんだけ仲が悪いんだよコイツは、まぁ思春期の兄弟は喧嘩相手みたいなモノだから。


「うわっ!ユウ酒臭い」

「そういう事だから弟君、親御さんには俺がスパルタしすぎた事にしといて」

「弟だぁ?私は女だぞ」


…………………、ヤベェ、一瞬思考回路が止まった、コレが女の子?確かに女の子って言われればそうかもしれないけど、どう見ても意気がったガキにしか見えない。


「嘘だと思うならホレ」

「おい!ば、バカ!」


弟もといチビ妹は俺の手を胸に押し当てて来た、不覚にも顔を真っ赤にする俺、確かに胸がある。


「何ガキの胸で興奮してるんだよ、あんたも一発くらいヤッた事あるんだろ?いちいち胸くらいで騒ぐな」

「あんた‘も’?」

「う、うるせぇ!いちいちそこで騒ぐな!とりあえずコイツの言い訳は私がしとく、あんたは帰れ」

「はいはい、頼んだよマセガキ」


最近のガキは進んでるね、でもまぁチビ兄妹は楽しいな、明らかに女顔の兄に、明らかに男の妹、それならチビの中性的顔も納得出来る。

俺は多少心拍数の上がった血圧を抑えながら帰った、ホントに中学生に一本取られるとは不覚だ。

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