無色のカナコ3
マミコが学校を辞めてから私は更に男に走った、アオミは毎日のように心配をかけたけど、何も無い私なりに男に走るしか無かった。
アオミは弟が同じ学校にいたらしいし、寮にはマミコがいないから一人になる時間が多すぎた。
そして遂に人生最悪の事件が起きてしまった。
私はバイト帰りに一人で遊びたくなり、少し寄り道をしてから帰ろうと思った。
同年代の人がいっぱいいて、埋もれてる自分が寂しさまでも埋めてくれた。
この時の私は誰かに声をかけられれば着いて行ってしまうほど孤独だった、アオミがいるのに満たされない心、それは恋を出来ずに男を快楽の道具にしか考えられなくなったからかもしれない。
それが始まったのもマミコがいなくなったから、アオミ同様ズタズタに切り裂かれた私の心は、弟が見付かったアオミとは違い、肉体的快楽に走っていた。
そして街を歩いてる私に話しかけてくれる人、埋もれた私を見付けてくれた、それだけで喜ぶ程今は人が恋しい。
「君、これから暇?」
目的は分かる、そして夜のナンパに引っ掛かる浅はかな女は私しかいない、だって私馬鹿だもん。
「暇だよ」
「じゃあこれから遊ぼうよ」
「楽しいの?」
「最高にね」
「暇だし、良いよ」
アオミにバレたら怒られるだろうな、もしかしたらまた泣かしちゃうかも。
でもね、普通の事じゃこの心は癒されない、それを忘れるくらい頭を空っぽにしてくれないとダメになってる。
確かに何も言わずにヤる事には同意したけど、最初に向かった先がホテル、ココまで分かり易いとなると、私もかなり馬鹿な女に見られてるんだね。
男の人は私の腰に手を当てながらホテルに入った、何度か来た事があるから分かるけど、パネルのボタンを押しもせずにエレベーターに乗った、まぁホテルも色々だし、大丈夫だよね?
部屋のドアを開けると、背中を押して無理矢理部屋に押し込んだ、フラフラになりながら入り、顔を上げると先ほどとは違う男の人が3人もいる。
「ま、間違えたの?」
「ハハハ!馬鹿な女が引っ掛かったな」
「しかも可愛い、胸は小さいけど我慢するか」
一人が私の胸を揉みながらニヤニヤしてる、私は腕を叩いて一歩下がると、ココまで連れてきた人に後ろから取り押さえられた。
「嫌!やめて!」
私の悲痛な叫びも通じず、前にいた一人が私のシャツをブラごと捲り上げ、直接私の胸に触れてくる。
「いや、いや、いやいや」
「小さい割には柔らかいぞ」
「お前ばっかりじゃなくて俺にも貸せよ」
男の人は代わる代わる私の胸を揉む、この状況は馬鹿でも分かる、今から私は4人の男に犯される、女として最高に汚れる、そう思った瞬間に涙が流れ出し、何故か頭の中で何度もアオミに謝ってた。
私が泣いてると男達は面白がり、スカートの中にまで手を入れ始めた、腰をくねらせて拒否するけど、気持悪い快楽からは逃れられない。
「イヤアアアァァァァ!」
バチン!
私が目一杯叫ぶと思いっきり叩かれた、その衝撃にビックリしていると、無理矢理ベッドに押し倒された。
嫌がる私を無視して股に無理矢理‘男の人’が侵入してくる、初めての時より痛い、ろくに快楽を得ないまま入れられたから当然だけど、こんなのいや。
「嫌、辞めて、痛いよ」
「うるせぇ、すぐに悦ぶだから黙ってろ」
そのまま男の人は自分の欲望だけで前後する、私の歯を食い縛る程の痛みなど知るよしもなく、一人だけで快楽に浸る。
周りにいる人は笑いながら私の体を触る、その光景に恐怖すら感じた。
「イキそうだ」
「中に入れちまえよ」
「イヤァ!それだけはダメ!お願い、辞めて!」
男の人は私の願いなど聞く耳を持たず、快楽に溺れて、私の中に出してしまった、奥に押し込む様に出来るだけ腰を密着させて。
放心状態の私をよそに男の人達は流れ出すモノを見ながら笑ってる。
そして僅かに聞こえた電子音、それは携帯の写メのシャッター音だと気付いた時には全員にカメラを向けられていた。
「いや!辞めてよ、何してるの!?」
「しょうがねぇな、見られるのが嫌なら、俺が見えないように隠してやるよ」
そして他の人が入れてきた、私は徐々に快楽を感じつつあるこの体が憎くて堪らず、溢れる涙と共に唇を噛むことしか出来なかった。
その後も4人は代わる代わる私の中に出してきた、文字通り汚れきった動けない私の体をメモリに収め、律義にホテルの料金だけ置いて出て行った。
涙の止まらない私は携帯を探した、体は思うように動かないけど、今の私にはアオミと繋がる携帯が欲しかった。
携帯をバッグから取り出し、私同様汚れたベッドに横たわると、アオミに電話をかけた。
『もしもし、どうしたの?』
「…………………」
『カナコ、返事しなさいよ』
「…………………」
『イタズラ電話なら非通知で掛なさいよ』
「…………………」
『用が無いなら切るわよ』
「……………けて」
『はい?』
「アオミ、助けて」
泣いてる私と呼び出し場所がホテルという事でアオミすぐに来た、ドアに鍵を掛けて無かったらしく、アオミは物凄い勢いで入って来ると、裸で汚れてる私を見て崩れ落ちた。
「…………犯されちゃった」
「あんた、もしかして中に?」
「嫌がったんだよ、でも、でもね、お願い聞いてくれなかった」
アオミは泣きながら立ち上がると、私の上半身を起こし、男の液体が付いた‘汚い’私を‘綺麗な’アオミが抱き上げた。
「汚れちゃうよ」
「知らないわよ!…………早く洗うわよ」
アオミはそのままバスルームに入った、シャワーを出すとまずは私の体を洗い流す、アオミは洋服を着てびしょびしょになりながら、手で石鹸を伸ばして体を洗う。
そしてシャワーを持つと、私の股の間に水流を当てる、そして中から指で液体を引きずり出してる。
「あ、アオミ、きた、汚いよ」
「し、知らない、わよ」
アオミも泣いてる、傷付いてるのは私だけだと思ってた、でも、アオミも傷付いてるんだ。
アオミは私の全ての汚れを自分の手で落としてくれた、服はびしょびしょになり、手が汚れても私の事を守ってくれた。
どうしてココまでしてアオミが私の事を守ってくれるのかは分からない、でも、私の中で誰よりも大切な人になってた。
まるで、恋人のように………。
その後4人の男はどうなったか分からない、ナンパしてきた人の電話番号を知ってたからアオミに教えたら、誰かに電話してその番号を教えてた、アオミの様々な情報網は怖くて聞くに聞けない、友達いないって言ってたのにね。
アオミ曰く、4人は当然の報いを受けてもらったらしい、本当に怖い。
そんな事件も私の傷口に塩を塗る事しか出来なかった、アオミへの信頼は何よりも強いモノになったけど、私の心は更に歪んだ。
今付き合ってるのは会社員、しかもその彼は妻子持ち、つまり私は高校生で愛人になったんだ。
しかもその彼、私とベッドに入る度にお金くれるんだよ、月に何度も会えないけど、お金を貰えるから我慢してた。
そして、その行為が援交だと知った時、私の心は最悪の方向へと歪み始めた。
会社員との愛人関係から私は援交にはまっていた、お金もくれるし優しく快楽も与えてくれる、そんな一石二鳥な関係辞められる訳ないよ。
「あんた最近お金の羽振りが良いわね」
「バイト頑張ってるからね」
「ふ〜ん、それなら良いんだけど」
アオミに奢りまくってた私に疑問を持ったアオミだけど、援交する時はバイトって言ってるからあながち嘘じゃないんだよね。
私はアオミと別れた後援交に向かった、私でもこんな生活歪んでるのは分かる、でも今の私を癒せるのはお金と快楽とアオミだけ、アオミは弟がいるからお金と快楽に走った、ただそれだけのこと。
たった一夜だけおじさんに愛想を振り撒く、愛想を振り撒くのは私の得意な事だから簡単な事、ベッドの中では何も考えなければ済む、私って本当に馬鹿な女だよね。
待ち合わせ場所にはスーツを着たおじさんが立ってる、私は笑顔で近寄るとおじさんと腕を組んだ。
少し高い声で喋れば酔ってないのに顔を真っ赤にする、男に遊ばれてきた私にとってはこれも快楽だった。
「あんた何してるの?」
私は聞き慣れた声に振り返ると、そこには怖い顔をするアオミがいた、私は明らかに動揺する私に近寄るアオミ、そして心配するおじさん。
「怪しいと思って着いてきてみれば、これがあんたの言ってたバイト?」
「あ、アオミ、これは………」
「まぁいいわよ、バイト頑張ってね」
アオミは怖い顔のまま私に背を向けて歩いて行った、お金よりも快楽よりもアオミ、私はおじさんの手を振りほどいてアオミを追った。
「アオミ、ゴメンなさい、嘘をついてたのは謝るから」
「男で遊ぶのは嫌いじゃないわよ、男で遊ぶ女は嫌いだけどね」
「ゴメン、アオミ、私にはアオミしかいないの!」
「別に私よりも友達いるじゃない」
「ダメなの、アオミじゃなきゃ嫌なの」
泣きながらすがりつく私をアオミは突き放し、冷たくあしらってくる、どんな時でも味方してくれたアオミが突き放す、それが何よりも悲しかった。
「知らないわよ、あんたはもう少しましな女だと思ってた」
「お願い、嫌わないでよ」
私はアオミを離すまいとアオミの腕を確りと掴んだのに、思いっきり突き飛ばされた、背を向けたアオミは本当に怖い。
「本当に馬鹿な女ね」
「そうだね」
「浅はかで男のいい玩具」
「そうだね」
「だから…………」
振り返ったアオミは泣いてた、何度アオミを私のせいで泣かしたんだろう、あんなに強いアオミは私の事ではすぐ泣く、それだけアオミを傷付けてたんだ。
「私がいなきゃあんたもっとダメになる」
「アオミ?」
「もうあんたを野放しにはしないよ、あんたがウザイと思うくらい一緒にいてあげる」
「アオミぃ〜!」
私は思いっきりアオミに抱きついてた、街中というのも全く無視して、今の私の喜びを伝えたかった。
「アオミ、大好き」
「んん!」
私はアオミにキスをした、それは本当の心、いつも守ってくれるアオミに恋してた、女同士にも関わらず、本気で好きだった。
「あんた馬鹿でしょ」
「初めてだった?」
「残念ながら違うわよ」
「ちぇ、つまんない」
大好きなアオミ、大切なアオミ、私にはアオミしかいません、イタイ女って言われても馬鹿な女って言われてもいい、アオミとなら絶対に傷付かないから。
私の恋はアオミが全て、高校生活でボロボロの私を綺麗なアオミは包んでくれた、大好きだよ、アオミ。
カナコの番外編もやっと終わりました、《青と赤の白黒テレビ》っぽくなかったですが、アオミのブラコン以外の一面も見せたかったですし、マミコとアオミの親友は大事だと思い書きました。
受け入れられるかどうかは不安ですが、書きたかった内の一つなので読んでいただいて本当にありがとうございます。
今後も《青と赤の白黒テレビ》をよろしくお願いします。