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青と秘密

コテツの奴、いつかぶっ殺す、アイツは自分が楽するために俺とヒノリに仕事を押し付けやがって。


ヒノリとコガネはあの喧嘩以来更に仲が良くなってる、雨降って地固まるとはこの事だな。

二人の仲の良さは俺達でも付け入る隙が無いくらい、多分片方が死んだらもう片方も死ぬだろうな、双子とかつがいみたいに。


今は生徒会の仕事で文化祭のポスター貼り、ミスコンやらイケメンコンテストやらコスプレコンテストやら、コテツもよくこれだけ思いついたな。

俺とヒノリは手分けして貼ってる、こんな事やってるくらいなら部活行きたいのに。

一年の階は人が少なく静かに貼れる、その時だった、空き教室からチビ子が出てきた。


「チビ子、こんな所で何してんの?」

「ゲッ、タイミング悪すぎ」

「ハルぅ!シャツが無いんだけど」

「何だ、チビもいるんだ、いくら双子だからって男と女だろ、着替えくらい別々にしろよ」


俺はそういって、何故か引き止めようとするチビ子を振り払って空き教室に入った、そこには上半身がブラだけのチビが、……………ブラ?


「し、四色先輩?」

「お前、そういう趣味があったの?」

「馬鹿か!?」

ゴツン!


チビ子に思いっきり後頭部を殴られた、チカよりは痛くないから幸いだ。

それより問題はチビだ、いくら俺がこの現実を拒否しようとしても、目の前に必死にブラを隠そうとしてる泣きそうなチビを見れば高速で頭に思い浮かぶ方程式、チビ≠男、チビ=女。


「あ、あの、その、この、え〜と、それで、うん〜と―――」

「うるせぇからもう喋るな!ほら、シャツ」


チビ子はシャツをチビの顔に投げた、チビはそれを慌てて着るとチビ子の後ろに隠れる。

まさかとは思ってたけど本当に本当だったとは、でも俺的には趣味であってくれた方が精神的に楽なんだけど。


「み、見ました?」

「見過ぎた」

「変態が!」

「良いんだよハル、僕が言わなかったのがいけないんだし」


別にこんなガキのブラ見たところでちっとも興奮しないし、それに何で俺は気付かなかったんだよ、コガネは何となく本能では気付いてそうだし。


「いつからホルモン異常が始まったの?」


まだ受け入れようとしない俺、いきなり『僕は女の子です』とか言われてはいそうですかとは言えないだろ。


「テメェも受け入れる努力をしろ!ユウは、黍野祐希は正真正銘私の双子の姉!女なんだよ!」

「ゴメンなさい、でも、僕が………、私が女の子だって知ったらみんなから仲間外れにされると思って………。

それに、………それに――」

「ユウは中学生の頃に一回襲われかけてるんだよ、サッカー部の女マネもいない時に、一人こうやって着替えてる所に先輩の部員が来て、………私が助けたから良かったけど、高校でそれが無いとは限らないだろ、これがユウが高校でサッカーをするために出した結論だ」


一番部活で近くにいた俺が気付けなかったなんて、いや、色んな事を感じていながらも俺は認めようとしなかったのかも、いくらで推理できた。

チビは一人で頑張ってたのか、それに………、俺チビが男だと思ってたから女の子にはあり得ない事しまくってたし、最悪だ。


「別に俺は女がサッカーをやる事には反対しない、チビのそういう事情があったからってのも認める、でも何で俺やコガネにも言ってくれなかった?」

「ユウはお前がこの事を知ったら女として扱われると思ったからだ、男相手にサッカーをやるためにはそれなりの練習をしなきゃいけない、お前はユウが女だって知ってたら手を抜いただろ?」


言い返せない、俺はいくら部活と割りきっても女の子を吹っ飛ばす事は出来ない、今まではチビが男だと思ってたから人一倍キツくしてたけど、女の子にそんな事は出来ない。


「お願いです、私サッカーが好きなんです、だから今まで通りにお願いします」

「今まで通りってのは無理かな、チビが女の子だって分かっちゃったから、プレー中にあんな事やこんな事―――」

「したら私がお前をぶっ殺すぞ!ちなみにユウを襲おうとした奴は足の骨を折ってやった」


恐っ、多分チビ子の事だから椅子とかで思いっきり殴ったんだろうな、しかも容赦なく、冗談抜きでチビに悪戯したら殺されそう。

口には出さないけど、この事がバレて一番後悔してんのは俺だよ、知らなければ吹っ飛ばす事も出来た、でもチビがいつものように傷を作るごとに俺の心も締め付けられる、チビの希望を叶えるためなら我慢するけど、夢なら覚めてほしい。


「今まで通りに練習するよ、だから早くグランドに行け、遅刻したら部長さんがキレるぞ」

「は、はい!」


チビは満面の笑みで教室を出ていった、初めて女として見る女のチビの笑み、それが俺の心を余計に苦しめる。


「悪いな」

「何でチビ子が?」

「辛いのはユウでも私でも無いのは分かってる、お前が一番辛いんだろ?」

「分かってるじゃん」

「でもユウのために頼む、ユウはお前が本気で教えてくれるって毎日私に自慢してくるんだ、だからユウのためだと思って心を鬼にしてくれ。

それに………、ユウがお前の事話てる時、凄い良い笑顔してるんだ、私はもう一つ同じ笑顔を知ってる、そのためにも頑張れ」


もう一つの笑顔、多分チカの事だろ、恋する女の顔か、チビを男のように扱ってればチカにチビの事がバレても疑われない、そういう事だろ、でも誰かの笑顔を守る度に俺の心は万力で潰されそうになる。

俺はいつまでチビの前で気丈に振る舞い続けられる?多分、チビが涙を見せたらそれ以上はできなくなるだろ、それまでチビが我慢してくれれば、俺は鬼でいられる。




俺はまだ気付いていなかった、パンドラの箱は俺だけを見てない事に。

これからサッカー部が急激に動きます、とりあえず次回は懐かしのキャラを出しますが、サッカー部の方もよろしくお願いします。

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