青と新入生
学校始まって2日目から授業、もう少し延ばしても良いと思うんだけど、別に良いか、どうせ全部寝てるんだし。
俺は今日も気持良く寝てるハズだった、3時間目の英語が来るまでは、一時間目はミドリちゃんの体育だから寝るのはお預け、二時間目は時間割の調整で自習、だから起きてフル活用させて貰った。
そして問題の三時間目、英語だから前の10分休みから寝に入った、授業が始まった時には爆睡、でも…………。
ゴツッ!
「〜〜〜〜〜〜〜!?」
声にならない声で悶絶する俺、俺を殴ったモノを見ると英語の分厚い辞書。
そしてそれを持つのは殆ど赤い赤茶の髪の毛のミディアムストレート、そしてインテリ眼鏡、冷めた目で俺を見てる、…………………え?
「コウさん!?」
「先生だ」
「いやいや、何でココにいるんですか?高校に授業参観はないですよ、それとも高校からやり直しとか?」
ゴツッ!
皆は何で笑ってるか分からないけど大爆笑、俺は二回目に殴られたこめかみを必死に抑える事しか出来ない。
「潤間紅、このクラスで英語を教えさせてもらう、チカは俺の妹だがそんなのは関係ない、この学校にいる限りは全員が生徒だ、当然そこのガキもだ」
絶対嘘だ、生徒をガキよばわりする先生なんて聞いた事がない、しかも問答無用で辞書で殴る奴がいるか普通?
しかもコウさんって先生だったんだ、去年までいなかったって事は今年からか、最悪だ。
「ねぇねぇ潤間さん、お兄さんカッコイイね」
「私惚れちゃいそう」
「彼女とかいるのかな?」
コウさんモテてるじゃん、皆コウさんがシスコンとは知らずに、でもココで言ったら確実に殴られるからやめておこう。
「とりあえず、俺はこの学校は始めてだ、全員自己紹介しろ。
ガキ、テメェは罰として全部英語で自己紹介だ、アクセントや文法その他、何か間違えた時点でテメェは1決定だ」
絶対罰じゃねぇ、俺への当て付け以外に考えられない、しかも教師なら教師らしく言葉遣いを考えろ、常に命令口調とは何様だ。
俺は何とか英語の時間をやり過ごした、偏見の嵐を切り抜け四時間目は安らかな睡眠、と思ったら今日はこれで終了。
結局寝れなかった、これじゃあ学校に何しに来たか分からないじゃん、勉強とかいうまともなツッコミはいらないよ、俺にとって学校は睡眠と遊びと部活の場だから。
今日は部活、なんとサッカー部の部長はコガネです、部長とは名ばかりでまとめてるのは俺だけど、まぁ試合中は俺が指示出してるからそれの延長線なんだよな。
真面目な一年はもう部活を一緒にやってる、今年は3人だけ、その中でも一際目立つのがチビ、中性的な顔立ちでかなりのチビ、でも足先のテクニックは上手いんだよな、他はクソだけど。
「名前は?」
俺が後ろから話かけると飛び跳ねて驚いてる、声がキンキンとうるさい、声変わりしたのかよ?
「君のお名前は?」
「わ、……僕の名前は黍野祐希です」
「じゃあチビね、チビ、俺を抜いてみろ」
「チ、チビ?」
「良いから抜け、チビ」
黍野、通称チビは俺に向かって走って来た、抜こうとしたところで俺が体を入れると、軽々と吹っ飛んだ、弱い当たりだな。
「チビ、お前は足先に頼り過ぎだ、もう少し足腰使っていかないと今みたいに簡単に倒されるぞ」
「は、はい!四色先輩でしたっけ?」
「そうだよ」
「僕は体が小さいし力も無いんですけど、どうすれば当たりに負けないようになりますか?」
「あれを見てみな」
俺はゴール前で揉みくちゃになってるコガネを指差した、アイツはスピードがある分当たりは弱い、だからアイツは体を柔らかくして受け流す事を覚えた、かなり苦労してたな。
「力が無いならそれをまともに受けないようにすれば良い、コガネはフォワードだけど力が弱いから受け流す事を覚えた、チビならどうする?」
「ありがとございます!」
そのまま走って行った、アイツ本当に男か?女みたいに声高いし体小さいし、まぁわざわざ男になる理由も無いよな、今や女のサッカーも熱いんだし。
足先のテクニックだけならかなり上手いんだけど他が無いからな、体が強くなれば絶対に化ける、楽しみな奴。
体育館は相変わらず熱い、俺とコガネが体育館に行くとチカ達はミニゲームをやってる、アイツらまた上手くなってる。
「カイ、あの一年と何話してたんだ?」
「あぁ、チビの事?」
「チビ?」
「黍野だからチビ、かなりハマってるだろ?」
コガネは笑いながら確かにと一言、コガネの方見てる時にコガネもこっち見てたからな、笑われてるとでも思ったのかな?
「アイツ当たりが弱いからお前のプレーを見せてた」
「嫌な見本だな、でもチビだっけ?アイツ使えるのか?」
「足先だけならな、他はクソだ、でも何か一つあれば化けると俺はふんだ」
「楽しみだな」
話てると後ろからコテツが来た、当然の事ながらコテツは空手部の部長、ちなみにバレー部はチカが部長、コテツは納得出来るけど何故にチカが部長?
「バレー部はまだ?」
「後少しじゃないの?」
「終わったぞ」
「ツバサ〜!」
コテツが縄の切れた犬みたいにツバサの方に走って行った、ツバサはコテツの方を見ると通例のハグ、飽きないよなコイツら。
「カイ、もう終わるから」
「あぁ、頑張れ部長さん」
「照れるから辞めてよ」
そういえばバレー部の追っかけの男子が増えたな、一年と今年からのファンか、チカ達も苦労が耐えないな。
俺達は嫌でも最上級生になった事を思い知らされた。
次回から主観が変わります、『いきなりお前かよ!』みたいな人です、どうぞ楽しみにしてて下さい。
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