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青は3年

俺達は最上級生になった、全員ダブる事もなく無事に3年。

俺は最近、髪の毛を結んでない、だから肩に髪の毛が掛ってる、理由は気分。

アオミは歯科医師になるべく大学に進学した、出来る女は医者になるモノらしいよ。


「お兄ちゃん!早く学校行こう!」


コイツは妹のツバサ、セミロングの髪の毛で相変わらず茶色い、これは自毛なんだって。

アオミは電車に乗って大学に行くタメに朝はいない、だからこれからの朝は俺とツバサだけ。



チカの家のインターホンを鳴らすと慌ててるチカの足音が聞こえる、俺の家は14階でチカの家は10階、だから2年の頃は毎朝俺とツバサが迎えに来てる。


「お待たせ!財布が見付からなくてずっと探してたんだ」

「それは良いけど髪留め付きっぱだよ」


チカはメイクをした後のままで髪の毛に髪留めが付いてる、それを外すと見事なアシンメトリーになった、短い所は殆ど前髪が無く、長い所は顎に掛かるくらいの極端なアシンメトリー、後ろの方はとても短く髪の毛は寝きって無い。


「早く行こうよ!遅刻しちゃうよ」

「そうだな、行くか、チカ」

「うん」


俺はチカの手を掴んでエレベーターに向かった、コウさんは仕事で朝が早いらしくいない、何の仕事をしてるのかは聞いた事ないし。



いつもの通学路には着慣れてない制服と、まだぎこちないネクタイをキチッとした新入生達。

俺は最初からナメた格好してたけどね、一年の頃からあんまり変わってないな俺。


「皆はんまいど!」


後ろから俺らを追い越して前に出てきたのはコテツ、自毛のスパイラルに黄色のメッシュをいれてる、コイツも中身は何も変わってないな、そんなに人は変われるモノでもないか。


「コテツ、今日早いんじゃないのか?仕事初日だろ」

「そやで、ちょっと寝坊してもうた、わいは急ぐさかい、クラス見といてな!」


コテツは走って行った、コテツの仕事とは生徒会、しかも生徒会長、この学校の通例としてはイケメンが生徒会長らしいけど、コテツがやりたいとか言い出したから俺とコガネが推薦人に回って逃げた、その結果殆どの票を集め生徒会長に。

そこまでは良しとしよう、アイツ教師受けが良いから生徒会役員を全部自分で決めやがった、副会長はチカ、執行部はコガネとツバサ、庶務雑務が俺とヒノリ、庶務雑務とは主に全てをやる、言わば生徒会長よりも忙しい役職、こんなアバウトな名前だから忙しくてしょうがない。



例の如く体育館前に張り出されたクラス表、生徒の山でとても中に入れるようなもんじゃない。

そんな群れのすぐ側のベンチにコガネとヒノリがいた、相変わらずコガネには誰も近寄ろうとしない、その分ラブレターとかの量は異常なんだけど。


「コガネ、見れた?」

「見れるわけないだろ」

「それもそうだな」


金髪を逆立ててるのがコガネ、右側だけかりあげてツーブロックにしてる、剃り込みが入ってて近寄り難さ倍増、ピアスの量も両耳に一個ずつ増えてる。

ヒノリは長い髪の毛は変わらないけど、前髪を上げて髪留めで留めてる、右耳にはピアスが一つ、実はコガネとお揃い、この事を知ってるのは俺らだけ。

ある程度空いてきたから俺らも見に行く事にした、去年は見事に全員違うクラスになったからな、それもかなり低い確率だよな。


「ヤッター!僕コテツと一緒だ」

「俺はチカちゃんと一緒か」

「ヒノリと俺はまた一緒」

「待って、皆一緒だよ」

「「「「嘘!?」」」」


俺は何回も見直した、確かに全員一緒だ、コレってかなりの奇跡だよな、一年間のお預けの分が回ってきたんだな。



俺らのクラスは1組、俺ら5人が一緒にクラスに入ると歓声にも似た声が湧いた、チカと一緒のクラスか、これで不安な事が無くなった。

俺の席は出席番号順だとまたコガネの隣、しかも奇跡的にコガネの後ろにコテツ、カ行がメチャクチャ多い。


「あんた達!静かにしなさい、今日からあんた達の担任になった三芝翠ミシバミドリだ!覚悟しろ!」

「「「ミドリちゃ〜ん」」」


この先生か、ミドリちゃんの愛称で人気の先生、俺的にもこの先生は嫌いじゃない、若いし話が通じるから。


「五百蔵!四色!潤間!春日!鷲鷹!後は今いない烏丸!コイツらは私が集めた、厄介な奴らはバラバラにするよりまとめた方が良いからな」


堂々と公言しやがった、別に集まれたからそれだけで良いんだよね、どんな理由でも関係無いし。


「五百蔵寝るな!」

バシッ!


ミドリちゃんの靴が飛んできた、チョークでも無ければ出席簿で殴る訳でもない、靴とはまた斬新な。

でも何をしてもコガネを怒らしたのには変わりない、コガネは机を蹴って前に出た、ミドリちゃんに覆い被さるように黒板に手を付く。


「五百蔵君、怖いよ、先生をいじめないで」


ミドリちゃんは上目使いの甘えた声で言った、コガネは力が抜けて顔を真っ赤にして帰って来た。


「まだまだだな若造、私に喧嘩を売るなんて100年早い!」

「チッ!言ってろ」


コガネはふてくされて椅子に背を預けた、ミドリちゃん強し、男の扱い方を十分理解してるな。

チカは机に顔を埋めて机を叩きながら大爆笑してる、そりゃさすがに笑い過ぎでしょ、コガネの顔が茹で蛸みたいになってるし。


『あ〜あ〜、もう付いてるん?』


テレビ画面にコテツが映った、こういう全校系はテレビ放送な通例。


『どうも、生徒会長の烏丸や、新入生の皆はんどうもおめでとう、これからの学校生活頑張ってや』


いつものように愛想良く挨拶してる、ある意味コテツが生徒会長で正解かもな、何か裏がありそうだけど。


『とりあえず、今までの学校行事は行う、それと今年から新しい行事が始まるで、今までミスコンはあった、今年からは男のコンテストも始める。

それと今の世の中オタクは煙たがられる存在や、でもわいは嫌いやない、例えばや、カッコイイ奴らばっかりがオタクやったらどうや?それなら広く受け入れられると思うねん、ちゅう事でコスプレコンテストも開催する、男のミスコンは文化祭、コスプレコンテストは後夜祭でやるで、どっちも豪華賞品があるから皆、応募してぇや』


それが狙いか、コテツは俺らをそのメチャクチャコンテストに出させて賞品総取りするつもりだな。

しかも生徒会長の権限を使って本当に豪華賞品を出すつもりなんだろうな、不本意だけどその豪華賞品が気になる。


俺らの高校3年は、このコテツの大々的な宣言で幕を開けた、波乱だけの最後の高校生活が。

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