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碧と肝試し

残ったのは僕とお兄ちゃんだけになっちゃった、お兄ちゃんとペアになれれば良いんだけどなぁ。

コテツ大丈夫かな、ヒノノに迷惑かけてなければ良いんだけど、それは無理だよね、ゴメンねヒノノ、僕の代わりにコテツを、今度お詫びでジャンボデラックスかき氷奢ってあげる、と心の中で言ってみたりする。

校長も良いように使われてるよね、コテツが好き放題出来るのは校長がこんなだからだよ、そのお陰で僕達も色々楽しませて貰ってるけどね。


「次、鷲鷹翼」


わぁ、僕だ、嬉しい、お兄ちゃんになれお兄ちゃんになれ、と強く願ってみたりする。


「何してるんだよ?」

「お兄ちゃんとならないかなって」

「必然的に俺とツバサだぞ」

「何で!?僕のお兄ちゃんへの愛が通じたの?」

「馬鹿だろ、もう俺らしか残ってないからだよ」


あっ、本当だ、全然気付かなかった、残り物には福があるって本当だね、肝試しはお兄ちゃんが一番頼れるよ、コテツには悪いけどコテツは僕が楽しめないんだもん、コガネんはうるさいとかやかましいとか言って怒られそうだからお兄ちゃんが一番。

校長は最後なのに律義に引いてるよ、相手は当然お兄ちゃん、夜の山で怖がったフリをして唇を奪っちゃえ!ってそんな事したらお兄ちゃんにもチカチカにも嫌われちゃうからやらないよ。


「ホラ、行くぞ」

「は〜い!」


僕はお兄ちゃんの腕を抱いた、コテツのお陰でこうやってても不思議に思われないもんね。

でもまだ夜の山は怖い、1年の頃のあの思い出が蘇ってくる、あの時はしゃぎ過ぎた僕は落ちちゃったんだよね、幸い木に当たって止まったけど気を失ってその場で木に倒れて、気付いたら夜になってた、怖くて叫んでも誰も反応してくれなくて、泣いてたらコテツの声が聞こえた、僕が必死に呼んだらコテツは僕の事をちゃんと助けてくれたんだよ、その後安心してコテツの背中で眠っちゃったけど、あの時のコテツの温もりは一生忘れない、だってコテツがいなきゃ僕死んでたんだもん。


「怖いの?」

「ちょっとね」

「俺がいるから安心しろ」

「キャー!お兄ちゃんカッコイイ!」

「分かったから抱きつくな!誰かに見られたらどうする?」


あっ、確かに、一応生徒がお化けやってるから僕達二人だけじゃないのか、気をつけなきゃ。

お兄ちゃんが崖側に行って僕に安全な方をあるかせてくれた、でもお化けが出るとしたらコッチ側だよね、ホラ、出てきた。


「キャハハハ!」

「ツバサ、笑ってやるな」

「何で?楽しいのに笑っちゃいけないの?」

「多少ビックリしといてやれよ」


何でかな、僕は楽しいからただ純粋に笑っただけなのに、お化け役の人も悲しそうに帰って行った、楽しんであげたんだから喜んでもらわなきゃ困るよ。


「ツバサ、そんなに肝試しが楽しいの?」

「面白いよ!お化けが出てくるんだよ」

「変な奴」


お兄ちゃんに変な奴って言われた、少しショックだな、お兄ちゃんは僕の事分かってくれると思ったのに。


「膨れるなツバサ、可愛い顔が台無しだろ」

「今可愛いって言った!?」

「あぁ、可愛い俺の妹の顔が台無しになるから笑ってろってね」

「キャー!嬉しい!」


お兄ちゃんに可愛いって言われた、僕のこと可愛いだって、嬉しい、しかも笑ってろだって、お兄ちゃんのお願いなら何でも聞いちゃうよ。


「キャハハハ!またお化けだ」

「ツバサ、驚けって言っただろ」

「そっか、…………キャー!これでどう?」

「やっぱり楽しんで良いよ」


お化け役の人はさっきよりも悲しそうに帰って行った、何で?ちゃんと驚いてあげたのに何でそんなに悲しい顔するの?僕が悪い事したみたいじゃん。


「あぁ、つまんねぇ」

「そう?楽しいよ」

「ツバサがおかしいんだよ」


お兄ちゃん酷い!僕はおかしくないよ、僕は怒ってお兄ちゃんから一歩離れた、あれ?でも足がつかない、もしかしてコッチも崖?また僕落ちちゃうの?


「ツバサ!」


足が着かない、僕落ちてるんだ、でも何か落ちてるってより、浮いてる?


「ツバサ、危ないからよそ見するな」

「えっ?」


僕の腕をお兄ちゃんが掴んでる、脇の下辺りを持ってお兄ちゃんは片手で僕を持ち上げてる、凄い凄い!何か楽しい!


「騒ぐなツバサ!落とすぞ」

「お兄ちゃん凄い、片手で僕を持ち上げるなんて」

「ツバサが軽いからだよ」


お兄ちゃんのお陰で崖から落ちないで済んだ、これが他の男の子だったら今頃僕は崖のしたで死んでたよ。


「お兄ちゃん凄い!もう一回やって!」

「馬鹿か!?お前そんなに騒いでばっかりいるとホントに死ぬぞ!夜の山なんだから大人しくしろ!」


お兄ちゃんが怒ってる?何で怒るの?僕悪い事してないじゃん、怖いよお兄ちゃん。


「グスン」

「ツバサが心配なんだよ、暗いんだから大人しくしててくれ」


お兄ちゃんは僕の頭に手を置いてくれた、そっか、僕お兄ちゃんに心配かけちゃったんだ、でもお兄ちゃんの手、大きくてあったかい。


「ごめんなさい」

「よろしい、じゃあ行くぞ」

「うん!」


僕はお兄ちゃんと腕を組んだ。


「お兄ちゃんと離れないように」

「好きにしろ」


ゴメンねコテツ、コテツを忘れた訳じゃないよ、ただお兄ちゃんがカッコイイだけ。


「あれ、何かいるよ」

「………………」


僕はお兄ちゃんから懐中電灯を借りて何かいる所を照らした。


「ヘビだ!お兄ちゃんヘビだよ」

「………………」

「どうしたの?ホラ」


僕はヘビを捕まえてお兄ちゃんの前に差し出した、ヘビって怖そうに見えるけど円らな瞳で可愛いんだよね。


「おい!それ早く捨てろ!」

「何で?ヒンヤリしてて気持良いよ」

「知らねぇよ!何だよそのクネクネしてツルツルして気持悪い生き物、ってか俺は生き物として認めない!」


お兄ちゃんヘビ嫌いなんだ、こんな可愛いのに。


「バイバイヘビ、僕は君の事好きだからね」


ヘビを地面に置いても帰らない、それどころかそんな瞳で見られたら連れて帰りたくなっちゃうよ。


「気持悪い!見るな!」


お兄ちゃんは僕の後に隠れてヘビとにらめっこしてる、お兄ちゃんにも苦手なモノがあるんだ。


「何か僕好かれちゃったのかな?」

「それなら逃げる!」


お兄ちゃんは僕を脇に抱えて走り出した、これはこれで空飛んでるみたいで楽しいから良いな。


「お兄ちゃんヘビが追って来たよ!」

「嘘だ!来るな!」


お兄ちゃんは更にスピードアップする、嘘に決まってるじゃん、ヘビはそんなに速く動けないよ。

お兄ちゃんはあっという間にゴールした、肝試しって楽しい。


「カイはんお疲れ」

「カイ見ろよ、こんなのがいたぞ」


コガネんがお兄ちゃんに見せたのはヘビ、お兄ちゃんはまた僕の後に隠れて震えてる。


「お兄ちゃんヘビが嫌いなんだって」

「だとよコテツさん」

「そうやなコガネはん」

「「妹を盾にするダメな兄には制裁を!」」


コテツとコガネんはヘビを持ってお兄ちゃんを追ってる、お兄ちゃんはありえない速さで逃げる、コレはコレで楽しい。



四色海、僕のお兄ちゃんで万能人間、でもヘビだけは大っ嫌い。

2話目です、これで肝試しも終わりました。

暗い夜の山で暴かれる裏の顔、楽しんでいただけたら幸いです。

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