青と臨海学校
来るゴールデンウィーク、この学校はゴールデンウィークにもイベントがあるらしい、しかも懐かしの臨海学校。
小学生か俺らは?しかも旅行系好きだなこの学校、1年は親睦キャンプ、2年は修学旅行、そして3年の臨海学校、馬鹿だろ。
この臨海学校は例年じゃ無かったらしい、コテツの生徒会長の権限をフルに使ったワンマンで決定したとのこと、めんどくさいなぁ。
班決めは言わずもがないつもの6人、クラスの奴らが何人か入りたがってたけど断固拒否、去年の修学旅行はあんまり楽しく無かったし、このメンバーが一番落ち着く。
「コテツ、どんなイベントがあるの?」
「主に海でワイワイや、それに夜は肝試しもあるで」
「自分が怖いくせに肝試しなんて作ったのかよ?」
コガネナイスツッコミ、ツバサ情報によるとコテツはお化け屋敷で怖くてお化けをボコボコにしたらしい、お化け役はある意味罰ゲームじゃん。
「ま、まぁ何とかなるやろ」
「ツバサ、コテツのお守り頼んだぞ、これは兄としての命令だ」
「は〜い」
「いや、それが肝試しはくじ引きでペアを決めるんや」
「「はっ!?」」
コイツ無駄なところは律義にこなしやがって、ドキドキワクワク肝試しでコテツを制御出来ない奴とペアになったらどうするんだよ、救急車配備とか?
「チカ、ツバサ、ヒノリからペアが出るのを祈るしかないか」
「ちょっと待て、ヒノが他の奴とペア組む可能性があるんだろ?」
「まぁそうなるな」
「ダメだ、コテツの事だ、手を繋ぐとかいうメチャクチャなルールがあるはずだ、なぁ!?」
「あるで」
さすがコテツ、抜かり無いね、ただしこの調子で行くとヒノリが俺ら以外の奴とペアになったらペアが病院送りか、とことんヤバめだな。
「でもコガネ、お前も他の女の子と手を繋ぐんだぞ」
大きな口を開けながらフリーズした、ある意味コガネもゴール出来ないかも、むしろスタートすら出来ないんじゃない?
「カイは他の女の子に変な事しないよな?」
「大丈夫、チカにしてるから」
「し、してないだろ!」
「じゃあ今からする?」
「………………不純」
「ヒノ、ヤバいって!」
話がまとまらなくなってきた、俺はチカの事信じてるから安心だし、俺もチカ以外は全く関係ないからな。
そんなこんなで始まった臨海学校、コガネはいつも通りヒノリの肩で爆睡、そしてそれを羨ましそうにみる男と女、俺はチカとお話、チカ曰く今から行く海はサーフスポットで有名らしい、しかもおとぉの知り合いがボード貸してくれるとのこと、ってか5月に海?寒くない?
そして何故かツバサは一人、その理由はコテツがスチュワーデスのマイクを奪って仕切ってる。
でも俺は前にいるコテツを見れない、いや、前を見れない、それはミドリちゃんの隣にいるコウさんの視線、何でコウさんが同乗してるんだよ、しかも何気にミドリちゃんと仲良いな、まぁ歳が同じだしテニス部顧問だし、気が合うんだろうな。
「最近兄貴があんまり家にいないんだよな」
「彼女でも出来たんじゃない?」
「やっぱりそう思う!?アタシもそう思ってたんだよな、綺麗な人かな?」
「コウさんは容姿じゃ判断しないと思うけど、やっぱり類は友を呼ぶって言葉もあるし」
「アタシにも綺麗なお姉さんが出来るのかぁ」
気が早いよ、でもあんなワンマンな人を好きになる物好きもいるんだな、あんな自己チューの塊みたいな人を。
臨海学校の殆どは自由時間、俺らは海に、今日は馬鹿みたいに熱いし海も入れない温度じゃないだろ、現に寒いとか騒ぎながら入ってるし。
「「「おまたせ」」」
女3人が登場、とりあえず第一印象はヒノリがヤバい、黒のビキニで完璧に男を誘惑してる、男子全員フリーズ、コガネは理性と戦ってる。
「どう?コガネ?」
「に、似合ってるよ」
「ホントに?嬉しい」
ツバサはマニア向け、俺の口から形容させるな、兄として悲しくなる、チカはデニム地のビキニ、俺はこれが一番だな、適度な刺激もあるし可愛さもある、刺激マックスなヒノリに、可愛さだけを追求したツバサ、適度なチカ、バランス良いな。
「「キャー!烏丸君!」」
コテツ?コテツは少し遅れてコッチに走ってくる、多分騒がれてるのは筋肉質の肉体だな、ソフトマッチョ、確かに男の俺が見ても憧れるな。
「コテツ凄い」
「肉体だけは一人前ね」
「やっぱりコテツは凄いやぁ!」
コテツはいつになくモテモテ、コレでコテツの人気がうなぎ登りだな。
「カイ、ボードはすぐそこにあるって、どうする?」
「まぁ一時間くらい楽しむか」
俺とチカはボードを取りに行った、海から目と鼻の先、おとぉ曰く適当に持っていけだって、さっき店の人と話して了承ももらったし。
「カイとチカちゃんサーフィンするのか?」
「まぁね、少し外れた所とか波あるし」
「またファンを増やしまんの?」
「そうだよカイ!こんな事したらモテちゃうよ!」
嬉しいのか悲しいのかどっちかにしろ、場合によっちゃぁ敵を増やすぞ。
俺とチカがボードを持って歩いてると色々連れた、後ろには大名行列みたいにギャラリーと思われる集団が。
俺らが海に入ると何故か歓声のような声が響き渡る、それに釣られてギャラリーが増える一方。
「うわぁ、凄いなカイ」
「先に行くよ、俺早く乗りたいから」
「行ってらっしゃい」
俺は波待ちしてパドリング、ボードが波を掴むと立ち上がる、それと同時に100mのスタートみたいな賑わい、俺は調子に乗っていろいろ決めてみた、それに合わせてまた歓声、ヤベェ、人前でサーフィンするのってメチャクチャ気持良い、大会とかこんななのかな?
終るとミドリちゃんが走って来た、ヤベェ、やっぱりこんな勝手な事したらどやされるよな。
「四色ぃ!」
「分かった!チカももう来るから終わりにするよ」
「私にもやらせろ」
「はい?」
「お前程じゃないが私もサーフィンが出来る、そのボード貸せ」
「まぁ良いよ」
俺はボードをミドリちゃんに渡して浜にあがった、そこで揉みくちゃになったのは言うまでもない。
俺はミドリちゃんとチカを見る絶好のポイントを探してると、パラソルの下でタバコを吸ってるコウさんを見つけた。
「一応仕事中ですよ」
「うるせぇ、誰も気にしねぇよ」
気にするしないじゃなくてモラルの問題だろ。
「コウさんはサーフィンしないんですか?」
「俺はしない」
「チカとかがしてるのに?」
「別に島にいる奴全員がサーフィンしてる訳じゃない」
確かにそうだけど妹がやってるの見てやりたくならないのかな?
「海には入らないんですか?」
「海は見るモノだ」
「はは〜ん、コウさんかなづちですね」
「ち、違う、泳がないだけだ」
今はそういう事にしといてやるか、確実にかなづちだろうけど。
それにしてもミドリちゃんもサーフィン上手いな、自分に合って無いボードであれだけ波乗り出来るなんて。
「彼女出来たんですか?」
「何でそうなる」
「チカが最近家にいないから彼女が出来たって喜んでましたよ」
「それは部活だ」
さすがコウさん、ポーカーフェイスを崩さないな、でもこの俺は騙せない、俺がコウさんが一人の人を目で追ってるのは分かってるんだよね。
「ミドリちゃんって彼氏いるらしいですよ」
「熱っ!」
タバコの灰落としてやんの、図星か、灰を落とすのを忘れたか、どちらにしろミドリちゃんの事が気になってるのは確かだな。
「コウさんにも春が来たんですね」
「違う」
「ミドリちゃんの何処が良いんですか?」
「あんなガサツ女―――」
「じゃあミドリちゃんに言っときますよ、潤間先生がガサツ女って言ってたってね」
「それは辞めろ、仕事しづらくなる」
そんな話をしてるとミドリちゃんがボードを持って歩いて来た、大胆な水着だな、これもコウさんのタメ?
コウさんは顔を真っ赤にして明後日の方を向いてる。
「四色、ありがとな、それに潤間先生も、こんな所で何してるんですか?」
「ミドリちゃん、潤間先生気分が悪いんだって、ちょっと見ててあげてよ」
「おいガキ!」
そのまま二人を放置して海に入った、あの二人がああなる何て意外だな、コウさんなら本当に『やかましい女は嫌いだ』とか言って嫌いそうなんだけど、遠目でも分かるくらい仲良いじゃん。
俺とチカは目立つだけ目立ってやった、ただ純粋に目立ちたいだけ、色んな意味で最高に気持良いな。