5話 オレは女子校に行く
月曜日。
悪い意味で待ちに待った日が来てしまった。オレは今日、男にして男子禁制の女子校に登校しなければならないのだ。
オレはまだぎこちなさが残る手つきで支度を済ませると、急いで玄関へ向かった。学校の場所は大体わかるとはいえ、初登校なので少し早めに家を出ることにした。
そんなオレを母が見送りに来てくれた。
「光、いろいろ大変だと思うけど…頑張ってね。」
「うん、ありがとう。…行ってきます!」
いつも世話してくれる母を心配させたくなくて、オレは精一杯の笑顔でそう言った。でも、内心不安だらけだということはきっと読まれているだろう。オレの母親なのだから。
西綾女子高校までの道のりは途中バスに乗る必要があった。それほど遠くないとはいえ、とても歩いて行こうと思える距離ではないのだ。
いくつか町を過ぎたところでオレはバスを止めて運賃を払った。
これからは定期券を買わないと財布がとんでもないことになりそうだ。
バスからはオレ以外の紺服も降りてくる。西綾女子ももうそう遠くない。
何分か歩くとそこはもう学校だった。
どうやら西綾女子は私立校らしく、校舎は広くて新しくて綺麗で、オレの元いた公立の滝高とは雲泥の差だ。
オレは周りの生徒たちに続き、校舎の中へと入っていった。
一年生の教室は三階からで、一階や二階は職員室やらなんちゃら室やらいろいろな教室が続いている。教室までエレベーターで行くなんて公立では考えられないことだ。
生徒手帳を見るとオレは5組らしい。全部で10クラスあるみたいだ。本当に日本が少子化なのか疑わしくなってくる。
オレは教室に入り足を止めた。
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