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猫の墓  作者: 石井春介
4/9

4 隠し事

 










「ノシロ~!」




いつものように手を振り、駆け寄ってくる彼女。





「ねぇねぇ、今日は猫耳見せてくれるっ?」



「ダメだ!」



「~、ケチーっ!」










ウエキはノシロの隣に座ると、小さく伸びをした。





「…男性2人が、斬殺だって。ニュース見た?」


ウエキが空を見上げながら言った。




「ここでニュースが見られると思ってるのか」


「あはは、確かにそうだね!」





ウエキが手のひらを口の横に持ってきて、小さく言う。


「2人とも、猫の一族の殲滅を執行した人なんだって。

…ノシロがやったの?」



「…………」


「殺したんだ?」



「…だとしたら俺を軽蔑するか?」


ノシロは正面を見据えたまま低いトーンで言った。





「ううん。

人を殺しちゃうのは良くないけど、私がもしノシロと同じ境遇になったら、ノシロと同じことをするだろうから。」




「…そうか」




「…………」



「…………」






「良い天気だねぇ」



「だな」



ノシロも空を眺める。






建物の関係で日光は2人に当たらないが、空には雲1つ無かった。










「…あの日も、たしかこんな天気だった」


と、小さく呟くウエキ。





「…あの日?」





 










「…えっ!? あっ、えっ、別に!!

きっ気にしないでっ、ただの独り言だから!!!」




ウエキは無駄に腕を動かす。





「…………ほんとか?」



「えっ?」



「ホントにただの独り言か?」



「なっ、ななな、何言ってんの! 当たり前でしょーっ!」




「…何か俺に隠してるだろう」




「キャアアアアアアアアアアー!


なっ何よ!! わっ、私を疑ってんの!?」



「(なんだよ…今の悲鳴)

疑ってるっていうか、どう考えても挙動不審だろ、お前」



「そっ そ~お~?」





ウエキは吹けもしないのに、唇を尖らせて空気を出す。






「……?」



ノシロは腕を組むと、首をかしげた。







 

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