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その⑨~まだ見ぬメンバーたちへ~
キャラランドのスタジオに、今日はぼくひとりだった。
いつもなら颯太が先に来ていて、やたら元気に話しかけてくるのに。
今日は「別の場所で撮影がある」と言って、朝からいなかった。
静かなスタジオ。
でも、ぼくの中は、なんだかざわざわしていた。
「いよいよ、最終選考だって」椿さんが昨日そう言っていた。
567人の中から、7人が選ばれる。
そして、ぼくと一緒に、8人のユニットになる。
ぼくは、すでに決まっている“ひとり”。
でも、だからこそ、今この瞬間、誰よりも“待っている”立場でもある。
「どんな人たちが来るんだろう」
思わず、声に出していた。
歌が得意な人? ダンスがすごい人?
明るい人? 静かな人?
──それとも、ぼくみたいに、歌が“生きる理由”みたいな人?
想像しても、答えは出ない。
でも、ひとつだけ確かなことがある。
「ぼくは、歌で迎えたい」
誰が来てもいい。
どんな人でもいい。
ぼくは、ぼくの歌で、メンバーを迎えたい。
ぼくの声が、誰かの励ましになるのなら。
ぼくの歌が、「ここにいてよかった」って思わせられるなら。
スタジオの鏡に映る自分に、そっと言ってみた。
「もうすぐ会えるね、まだ見ぬメンバーたち」




