その㊾~雨野武チーフマネージャー~
4月からスタートする新アニメ『推しキャラが古事記に登場する神で神社に祀られている事情』、
通称『推し神』。
その主題歌に、AMN-UZM所属・XYZの新曲が起用されることが発表された翌日。
レッスン前、少し時間があったぼくは、キャラランドの事務所オフィスに顔を出した。
マネージャーさんたちは、みんな外出しているらしい。
広いオフィスに残っていたのは、雨野武チーフマネージャーだけだった。
デスクに向かい、黙々とPC作業をしている。
「おはようございます。
そういえば、AMN-UZMのXYZが、新アニメ『推し神』の主題歌、決まりましたね!」
雨野さんに声をかける。
「……そうだなぁ」
返ってきたのは、そっけない一言だけだった。
「ぼく、コミックがスタートした時から『推し神』追ってたんですよ」
そう続けてみたけど――
「……」
雨野さんからは、何の返事もない。
キーボードを打つ音だけが、静かなオフィスに響く。
(忙しいのかなぁ)
ぼくは、心の中でそう呟いた。
そのとき、ふと視界の端に、雨野さんのPC画面が入った。
さりげなく、そっとのぞき込む。
――AMN-UZM 公式サイト。
XYZのアーティストページが表示されていた。
(なんだぁ……)
(雨野さんも、XYZのこと気になってたんだぁ)
心の中で、思わず突っ込む。
その瞬間、雨野さんが、ぼくの視線に気づいた。
カチッ、と素早く画面を閉じる。
「……仕事で見てただけだ」
どこか言い訳がましい言い方だった。
「そ、そうですよね」
ぼくは軽く笑って答えたけど、
胸の奥に、ほんの少し引っかかりが残った。
少しだけ、間が空く。
「そういえば……」
ぼくは、少し言いづらそうに切り出した。
「AMN-UZMの社長さん、雨野功太郎さん、ですよね」
「……ああ」
「“雨野”って、珍しい苗字ですよね」
その瞬間。
雨野さんの表情が、ほんのわずかに変わった。
「……そうだな」
短く、そう答えるだけ。
それ以上、何も言わなかった。
――これ以上、踏み込むのは違う。
ぼくは、そう感じて、話題を切り替えた。
「じゃあ、そろそろレッスン行ってきます」
「ああ。いってこい」
オフィスを出る直前、
雨野さんが、背中越しに言った。
「翔太」
「はい?」
「どんな相手だって……
自分を見失うなよ」
それは、ぼくに向けた言葉のようで、
同時に、雨野さん自身にも言い聞かせているように聞こえた。
XYZ。
AMN-UZM。
そして、雨野功太郎。
ぼくは、まだ何も知らないのかもしれない。
でも、そんなことを気にするより――
今は、目の前のレッスンに全力で臨むだけだ。
そう思いながら、
ぼくはレッスンスタジオの扉を開けた。
*La♪Ra・RISE!キャラクター原案者*
英賀田 雪雄 :日花子
根古島 カノン :日花子
京極 真秀 :茶ばんだライス
折原 千鶴 :夏也 すみ
狭山 那音 :ギフカデ
Daz・Garcia :HUNGRY
赤河 辰煌 :ウニヲ
佐藤 翔太 :niko




