その㊸~颯太の『のぞき見動画配信スタート!』~
その日、友人からスマホの通知がやけに多かった。
「La♪Ra・RISE!(ララライズ)の動画、もう見た?」
「これ、密着のやつだよね?」
……え?
慌ててリンクを開くと、そこに表示されたタイトルは、見覚えがありすぎた。
《La♪Ra・RISE! のぞき見密着》
(……始まったんだ)
颯太がずっと撮り溜めていた、あの密着動画。
頭では「公開される」って分かっていたはずなのに、
いざ現実になると、心臓が強く跳ねた。
動画の最初に映ったのは、レッスン前のスタジオ。
まだ誰も完璧にスイッチが入っていない。
メンバーが自然体で動画に映っている。
……そして。
ちょっと緊張した顔で、早口ことばで発声練習をしている
ぼく自身。
「うわ……」
思わず声が漏れた。
撮られているのは分かっていた。
でも、こうして“そのままの自分”を見るのは、やっぱり恥ずかしい。
だけど同時に──
胸の奥が、少しだけ嬉しくなった。
(……これが、La♪Ra・RISE!(ララライズ)なんだ)
動画には、上手くいったところだけじゃなくて、
噛み合わなかった瞬間も、ため息も、沈黙も映っていた。
未熟で、未完成で、迷ってばかり。
でも、
だからこそ嘘がない。
「ちゃんと、今の僕たちだ……」
完璧じゃない。
でも確かに前に進もうとしている、その途中。
たくさんの人に知られるのは、正直ちょっと怖い。
でも、知ってもらえるのは、やっぱり嬉しい。
恥ずかしさと嬉しさが、ぐちゃっと混ざって、
どっちが強いのか分からない。
……いや。
ほんの少しだけ、
嬉しい気持ちのほうが勝っていた。
翌日、事務所に行くと、
ロビーで機材を抱えて歩いている颯太を見つけた。
「……あ、いた」
逃げられる前に、声をかける。
「颯太!」
びくっと肩を揺らして、颯太が振り向いた。
「し、翔太!? もう見た?」
「見たよ。……颯太の撮り溜めてた動画」
一瞬、颯太は真剣な顔になって、聞いてきた。
「どうだった?」
ぼくは少し考えてから、正直に答えた。
「……恥ずかしかったけどさ。
でも、嬉しい気持ちの方が、少し勝ってる」
その瞬間、颯太の表情がぱっと明るくなった。
「よかった……!」
颯太は、ぎゅっとカメラを抱え直して言った。
「翔太。La♪Ra・RISE!は、まだスタートもしてない。
完成なんて、全然遠い」
うん、とぼくは頷く。
「でもさ、だからこそだと思ってる。
いいスタートが切れるように、
俺、もっともっと頑張るよ」
その目は、あの企画を提案したときと同じだった。
迷いはあるけど、覚悟がある目。
「……ありがとう、颯太」
気づいたら、そう言っていた。
どんな形であれ、
動画に映るのは、嘘偽りのない僕たち。
未熟で、未完成で、まだ途中。
でも──
だからこそ、残す意味がある。
*La♪Ra・RISE!キャラクター原案者*
英賀田 雪雄 :日花子
根古島 カノン :日花子
京極 真秀 :茶ばんだライス
折原 千鶴 :夏也 すみ
狭山 那音 :ギフカデ
Daz・Garcia :HUNGRY
赤河 辰煌 :ウニヲ
佐藤 翔太 :niko




