その㉘~歌を楽しもう!~
レッスンが始まってから、ずっとダンスの練習が中心だった。
最初は不安だったけど、SARUさんとKABAさんの指導はとても楽しくて、ぼくでも自然に体を動かせるようになってきた。
それに、なおとくんと雪雄さんが、先生がいない時も丁寧に教えてくれるから、日に日にダンスがうまくなっている実感がある。
「ぼく、踊れてるかも」
そんなふうに思えるようになったのは、きっとみんなのおかげだ。
でも、来週から始まるのは「歌」のレッスン。
どんな先生が来るのか、どんなレッスンになるのかはまだ知らされていない。
それでも、ぼくの心はすでにざわついていた。
ダンスは初心者だったから、素直に教えてもらえた。
でも「歌うこと」は違う。
ぼくの強みであり、「歌うこと」では誰にも負けられない。
特に、オーディションの時から歌でオーディエンスを魅了していたカノンくんと真秀には、負けたくない。
そう思うと、自然と肩に力が入ってしまう。
「ぼく、ちゃんと歌えるかな……」
そんな不安が、心の奥にじわじわと広がっていく。
本当は、誰にも悩んでいることを見せずに、強気でいたい。
でも、性格上そんなことはできない。
ぼくは、隠すのが苦手だ。
だから、ダンスのレッスンでいつも相談に乗ってくれるなおとくんに、今の気持ちを話してみようと思った。
「なおとくん、ちょっと話してもいい?」
ぼくは、スタジオの隅でそっと声をかけた。
なおとくんは、いつもの優しい笑顔で「うん、どうした?」と答えてくれた。
ぼくは、歌への不安、負けたくない気持ち、でも怖い気持ちも全部、正直に話した。
なおとくんは、黙って聞いてくれたあと、こう言った。
「翔太くんが歌に本気なの、みんなわかってるよ。だからこそ、楽しんでほしい。
ダンスのときみたいに、まずは自分が楽しむことから始めようよ」
その言葉に、ぼくの肩の力が少し抜けた気がした。
「うん、ありがとう。ぼく、楽しんでみるよ」
歌のレッスンはまだ始まっていない。
でも、ぼくの中ではもう始まっていた。
自分と向き合う準備が、少しずつ整ってきた気がする。
*La♪Ra・RISE!キャラクター原案者*
英賀田 雪雄 :日花子
根古島 カノン :日花子
京極 真秀 :茶ばんだライス
折原 千鶴 :夏也 すみ
狭山 那音 :ギフカデ
Daz・Garcia :HUNGRY
赤河 辰煌 :ウニヲ
佐藤 翔太 :niko




