その⑬~夢のかたち、ぼくの中の迷い~
最終オーディションが終わった翌日。
スタジオの空気は、少しだけ静かだった。
みんながそれぞれの結果を受け止めて、次のステップに向かっているのがわかる。
でも、ぼくの心の中は、ざわざわしていた。
ぼくは、オーディションを受けていない。
最初からユニット入りが決まっていた。
椿社長が「翔太には、オーディションメンバーにも負けない才能と可能性がある」と言ってくれたこと、もちろんうれしかった。
でも、それでも――本当に、ぼくはこのユニットにいていいのかなって、思ってしまった。
オーディションの間、みんながどんどん変わっていくのを見ていた。
歌もダンスも、
表情も、
言葉も。
悩んで、ぶつかって、乗り越えて、成長していく姿がまぶしかった。
ぼくは、そんなみんなの姿を見ながら、心のどこかで焦っていた。
「ぼくは、何も乗り越えてないんじゃないか」って。
椿社長の言葉を信じたい。
でも、自分の中にあるこの迷いを、見ないふりはできなかった。
だから、決めたんだ。
ぼくも、変わっていく。
オーディションを経ていないからこそ、誰よりも努力して、誰よりも成長して、
「翔太がいてよかった」って、みんなに思ってもらえるような存在になる。
ぼくは、ぼくのやり方で、このユニットにふさわしい人間になる。
迷いは、きっと誰にでもある。
でも、それを乗り越えた先にしか、ほんとうの輝きはない。
LoHiのステージに立つその日まで、ぼくは、そしてぼくらは、走り続ける。




