その⑪ ~はじまりの20人最終オーディション発表の瞬間(とき)~
「さあ、いよいよです!キャラランドGNSEKIアイドルオーディション、最終オーディションに進む20名の発表です!」
画面の中で、べにほっぺとガレットたんが並んで立っていた。
キャラランドGENSEKIオーディションのマスコットMCコンビ。いつものふわふわした雰囲気とは違って、今日はちょっとだけ緊張しているように見えた。
「応募総数567名!その中から選ばれた、未来のスター候補たち!」
「この20人の中から、7人が翔太くんと一緒にユニットを組むことになります!」
──そう、ぼくの“仲間”になるかもしれない人たち。
スタジオのモニター越しに、発表を見守る。
名前がひとつずつ読み上げられるたびに、画面のコメント欄がざわつく。
「おめでとう!」
「推しが来た!」
「泣いてる……」
ぼくは、静かにその名前を聞いていた。
知らない名前ばかり。でも、どこかで見たことがあるような気もする。
もしかしたら、すれ違っていたのかもしれない。
「決まったよ。最終オーディションに進む20人」
ぼくの横で、ライブ配信をスタジオの脇から見守る椿さんがそう言った瞬間、ぼくが感じていたスタジオの空気が変わった気がした。
ぼくは、すでにユニット入りが決まっている“ひとり”。
でも、今日からは、“ひとり”じゃなくなるかもしれない。
廊下を歩いていると、最終オーディション20名とすれ違った見慣れない顔が増えていた。
緊張した表情。
静かに呼吸を整えている人。
目を閉じて、何かを思い浮かべている人。
──この中に、ぼくの“仲間”がいる。
「567人の中から、選ばれた20人。この中から、7人がユニットメンバーになる」
椿さんの言葉が、ぼくの胸に響いた。
ぼくは、オーディションに参加していない。
でも、歌を届けたいという気持ちは、きっと同じだ。
だから、ぼくはこの20人を“仲間候補”として迎えたい。
颯太が隣でぼそっと言った。
「なんか、いよいよって感じだな」
「うん。ぼくたちのユニットが、動き出す」
鏡の前に立って、ぼくは自分の顔を見た。
「ぼくは、誰がメンバーになろうと、歌で誰よりも輝いてみせる!このチームをつなぐ」
それが、ぼくのメンバーでの役割だ。




