その⑩ ~ギルド567のはじまり~
「ギルドって、なんかゲームみたいですね」
ぼくがそう言うと、椿さんはちょっとだけ笑った。
「でしょ? でも、ちゃんと意味があるの。“同じ仲間”ってことです!」
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『キャラランドギルド567』
それは、今回のオーディションに応募してくれた567人全員が参加できる、ゆるやかなコミュニティ。
最終選考に進む20人だけじゃなくて、応募してくれたすべての人に、つながりの場所をつくりたい──
椿さんは、そんなふうに話してくれた。
「このオーディションは、ただの“選考”じゃない。“出会い”の場でもあるのよ」
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ぼくは、少しだけ考えた。
567人。
その中の7人が、ぼくと一緒にユニットを組むことになる。
でも、残りの560人だって、夢を持ってここに来た人たちだ。
ぼくはオーディションに応募していない。
だから、ぼくは、ギルド567の“メンバー”ではない。
でも──
「同じ夢を見る“仲間”ではあると思います」
椿さんは、うれしそうにうなずいた。
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スタジオの窓から見える空は、少しずつ夏の色になってきていた。
最終選考に進む20人の発表は、もうすぐ。
その向こうに、ぼくと同じ夢を見る“仲間”がいる。
でも、それだけじゃない。
キャラランドギルド567という大きな輪の近くに、ぼくもいるんだ。
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「ひとりじゃ届かない場所まで、みんなで届けるんだ」
ぼくは、そう思った。




