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四方山話  作者: けも
4/5

Men in Black

タイトル詐欺

十数年前の夏…

私、足を骨折して入院したことがあります、

手術が必要で結構長期の入院になりました。


入院していた総合病院には、すぐ近くにコンビニがあり、

(いけないんだけども、良い子は真似したらダメなんだけれども、)

病院を抜け出した入院患者さんが、

こっそりお買い物に通っていました。

入院以前に、私も時々そのコンビニを利用していて、

点滴と共に来店しているパジャマ姿の紳士とか

ガウン姿の淑女とか、ちょくちょく見かけていたんです。


… で、ある夜、

ふと目が覚めて、どうにも寝付けない。

困ったなぁ…

と、考えていたら、無性にコンビニに行きたくなっちゃったんですね。

時間は深夜の2時、

どう考えても無理!

無理なんだけれども、ども、

急いで行って帰ってくればバレないんじゃない?

(ダメです!)


で、行っちゃったんですね 私、

でも、悪いことはできないもので、

病院裏口の段差に引っかかって、

仰向けに転倒しちゃったのでした。

建物内に転んだのと、ふわっと転んだので、

おしりも頭も大丈夫だったのですが、

松葉杖が思ったより遠くに吹っ飛び、

足はギブスでガチガチ、

起き上がれない、移動できない、

けもさんピーンチ!

どーしたものかと思案に暮れていると、

裏口の自動ドアが開きました。


ドアから入ってきたのは、ブラックスーツの紳士二人組、

驚いている私の両脇に手を入れて立ち上がらせると、

松葉杖を拾って手渡してくれました。

あっけにとられつつも、

「ありがとうございました」

と御礼を伝えると、

二人の男性は無言で会釈、院内の奥へと足早に消えていきました。


その後、コンビニに行くのは諦めて、

自販機で午後の紅茶を購入して、おとなしく寝ました。


次の朝、昨夜2時のブラックスーツの紳士は何者なんだろうと考えていて、

あ、

葬儀屋さんだ ! と ……

患者さんが旅立つの深夜が多いですもんね、

お仕事忙しいのに、手間とらせてすみません、

その節は大変お世話になりました、

ありがとうございました。


その後は病院脱走とか悪心は起こさずに

よいこでリハビリして無事に退院しました。




看護師さんに報告されてポコスカに叱られるかも、

と、しばらく怯えていたんですが、特に叱られることもなく、

見舞いに来た友人と家族には ……

めっちゃ怒られました。

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