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四方山話  作者: けも
2/5

抽斗

それは、子供たちの間で密かに流行り、増殖し…

その夏、ある主婦が違和感に気が付いた、

「最近、コバエ多くない?」

夏に増える害虫としても、

… 何かおかしい?

台所よりも二階に多く飛んでいるのも気になる。

息子たちの様子もおかしい、

御飯が終わるとそそくさと二階の子供部屋に上がっていく。

何か食べ物が古くなったまま放置されているのかしら?

男の子は困っちゃうわねえ …

子供部屋に入る、

意外と片付いているし、変な臭いもしない。

しかし、その時、

「何か気になったのよねぇ」

お母さんのカンよ、と、その主婦は後に語ったのだが、

息子さんの学習机の一番下の抽斗(ひきだし)が妙に気になったそうである。

そして、抽斗を開けた彼女は、

「 なんじゃこりゃあ ! 」

妙齢のご婦人には似つかわしくない声で雄叫(おたけ)んだ、という。



学校から帰宅した息子を問い詰めると、

悪びれる様子もなく、

「大きい水槽がなかったから、ごめんなさい」

と、小学五年生の息子さんは一部始終を語った。



仲良しのA君にカブトムシを貰ったこと、

のびのびした場所で飼ってあげたいので、

抽斗にみっしりと土とおがくずを入れて、

貰ったカブトムシを放したこと、

幼虫もいっぱいもらったので嬉しかったこと、

A君が洋服箪笥の抽斗でカブトムシを育てていること、

このナイスアイディアがクラスの男子の熱烈な支持を受けて、

密かなブームとなっていること …



その後、この情報はお母さんたちの間で共有され、

小学生男子と甲虫たちの蜜月は終了したと伺った。

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