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気づいたら生贄 4

是非一度読んでください。

どう言う事?

何だかケルベロス・・・そう呼んだ方が分かり易い。

そのケルベロスの恐怖が消えた?

さっきまでの圧倒的な威圧と言うか圧力がかなり和らいだ気がする。


「ガ! ガウ、ガアアアアア!!!」


それを隠そうとするかのように私に向かって威嚇の声を放ってくる。

そしてそれを合図の様にして私の足元に近づいてきた。

や、やっぱり怖い!

私の3倍は有るだろう巨体を揺らしながら私の足先に一つの頭が穴先を付ける。

さっきまでの私の怒りの感情はさっぱりと消え、食われるという恐怖に心が支配されて行くのを感じる。

もうどうにもならないの?

一度は覚悟を決めたつもりだったのに、やっぱり生きたいと思ってしまう。

すると余計に恐怖が大きくなり涙が出て来た。


「だ、誰か・・た、助けて・・・・助けて!!」


もう大声もでない。

ようやく喉を振り絞りなんとか声に出して助けを求める。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


助けなんて来ない・・・・・


「ひっつ?!」


獣の大きな赤黒い舌が私の足裏を舐めた。

ただただ気持ち悪い。

吐き気がして来る。

目を背けたい。

でも、もうそれも出来ない。

あまりにもの恐怖で目を瞑る事も視界を外す事も許されない。


「グァアアアア!!」


獣は私が動かないと分かったのか、一吠えするとその三つの牙が生えた口を大きく開き私に向かって来た。

その瞬間目を瞑った私は体を強張らせその瞬間に耐えようとしたのだけど・・・・


「た、食べられる!!」

「チョロ、チョロ・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?」


「何も起こらない?」


そうっと瞼を開ける。


「え? え?」


再び目を開けた私の視線の先で何故かケルベロスが地面に伏せて悶えている姿が目に映った。

一つの頭を自分の鼻を前足で塞いで地面に突っ伏している。

もう一体は目を回してしまったのかぐったりと首が垂れてしまっていた。

そして残る一つの頭は、「げえ、げえ」と胃液を履き出していた。


「な、何? どうなったの?」


別に誰に聞くつもりで言ったわけではないその言葉に、ケルベロス達がビクッと体を震わせ一歩後ろに跳ね退けていった。

あれ? どう見ても私を見て怖がってる?


「ちょ、ちょっと、どう言う事?」


質問しても答えが返ってくれるわけでもないのに無意識にケルベロスに話しかけていた。


「ギャウンンン!! キャン、キャン!!」


怯えきった鳴き声と共に森の奥へとケルベロスは戻って行った、と言うより逃げたの方がしっくりくる移動速さだった。


「な、何? 一体何なの?」


本当に何なの?

何で急に逃げたの?

そう言えば、鼻を塞いでた? それにもう一つの頭は気絶していて、あと一つは吐いていたわね?

それに私を見て怖がってなかった?


「私の何かを怖がったの?」


私はケルベロスが逃げて行った足元の方を頭を持ち上げて見ると、何か湯気の様な物が私の体から立ち昇っているのが見えた。


「何?」


どうも股間辺りから昇って・・・・


「!!?!」


ちょ、ちょっと!! こ、これ・・・・まさか私、し、失禁・・・・・・・・

うわぁあああああああ! し、仕方ないじゃない!! あんな奇怪な獣に食われそうになったのよ!

普通でいられるわけないじゃない!!


「え、じゃあ何? 私のこれを嗅いだから、あの獣は気絶して逃げたって言うの?」


冗談じゃないわ!!

あの獣!! 

獣のぶんざいで私の、私の・・・・何がよ!! 

超絶辱めを受けてこの仕打ち! 


「一体! なんなのよおおおおおお!!!」


満点の星空の下、森の一角で女の子の遠吠えが一晩中響いていた。

読んでいただきありがとうございます。

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