新しい仲間 3
よろしくお願いします。
「きさま! 一体何を企んでいる?!」
ロッティさんが姫さんの前に立ち威嚇して来るんだけど、私はそれを意に介さず二人に近寄る。
「そりゃ企んでるわよ。まずは私のこれからの事よ。はっきり言って今日より前の事を殆ど覚えてないの。一応ケルちゃんからはある程度聞いてるけど、私の両親のこと、どうして奴隷になっていたのかも覚えてないの。つまり身寄りが一人も思いつかないってこと」
「・・・・・つまり私達に身元の引き受けをして欲しいという事?」
「まあ、近いかな?」
「近い?」
「だって、姫さんって今、宿無しでしょ?」
「無礼な! 王女殿下には王都の・・・・・あ!」
「そ、お城に帰れないというより、帰ると二度々外の世界には戻れないんじゃない?」
今、姫さんは王国から気がふれた異常者扱いで手配されているみたいだもの。
真面に帰っても王女としての地位どころか、犯罪者として罰せられる可能性がある。
「それでは私に何をしろと言うのです?」
「取引よ」
「取引?」
「そ、私は身寄りがないしこの見た目だもの。まだ保護者が居た方が良いんじゃないかと思うのよ」
「つまり私にあなたの保護者になれと?」
「そう! そして私の力は見ての通りだから、姫さん達に追手が迫ってきても追っ払ってあげられると思うのよね」
「・・・・・・・・・・・・」
姫さんが俯き加減で考えているのかな?
相変わらずロッティさんは私を睨みつけてるけど・・・でもあまり選択肢はないはず。
まあ、もうどうでも良いや! とか言って死を選ぶなら意味は無いのだろうけど。
「もう死にたいとか思ってる?」
「無礼な! 王女殿下はこの王国の為に力を砕き、よりよい未来を考えられている立派なお方なのだ! この国に必要な大事なお方なのだ! だから私が絶対に死なせはしない!! 必ずお守りして見せる!」
ロッティさんが涙目になりながら私に訴えてくる。
見た目6,7歳の女の子に対しての言葉とは思えない程真剣に訴えて来る。
やっぱりロッティさんも分かっているのだろうね。
このままでは姫さんには死しかないと。
「ロッティ。ありがとう。でも私にはもう国をどうしたいとか言える力は無いのかもしれない・・・」
「そんな、殿下・・・・」
「でも、でもそれでも目の前に王国の間違った考えで人々が苦しい想いをするのは許せない・・・だから私はまだ死にたくない!」
姫さんが顔を上げ、私の目をじっと力強く見て来る。
その目はまだ死んでない。
「それじゃあ契約という事で良いわね?」
「契約?」
「そう、私は一人で生きていける知識と経験を教えてくれること。そのかわり姫さん達を殺めようとする輩や力から私達が守ってあげる・良いわよね? ケルちゃん。フェンリル?」
「私は姫様がよろしければ問題ありません」
「我は姫様に従うだけでございます」
二人? あ、二頭か、問題無いみたいだけど、何故かロッティさんと睨み合っているのは何故かな?
「王女殿下、本当によろしいのですか? 信用するには・・・」
「弟や父王に比べたら信用できると思うのだけど?」
「それは・・・・・」
なんだ、結構最初から身内を信用はしてなかったのかも。
「ロッティも大丈夫みたいだから、契約成立ね」
「分かった。これからよろしく姫さん」
「ええ、そしたらまずロッティもそうだけど、呼び方を改めないといけないわね」
なうほど。
「姫さん名前はえっと・・・」
「フォルテよ、ルテと呼んでもらって良いわ」
「了解。私はエリゼね。この子達は・・・ケルちゃんと、フェル君で」
「はい! 喜んで!」
「ありがたき幸せ!」
大袈裟だな、この子達。
「ロッティさんは・・・」
「ロッティ、こんなお願いするのは傲慢かもしれないけど・・・」
「いえ! 私は王女殿下にどんな事があっても一生を捧げると私自身の意思で誓ったのです。家のことや家族の事はその時に捨てていますので、問題ありません!」
「・・・・ありがとうロッティ」
こら! 二人で見つめ合わない!!
「で! ロッティさんの呼び名は?」
「あ、ああ、ロッティのままで良いだろう。この呼び方は姫様以外はしないからな」
そうなんだ。
「じゃあ、ロッティ、私の名を呼んでちょうだい♪」
「え? あ、えっと・・・ル、ルテ殿下」
「殿下はいらないの! ルテよ!」
「え、あ、はい! ル、ル、ル、ル・・・テ様」
「様もいらない!!」
「え、でも・・・・」
「ル・テ!」
「ル・・テ・・・」
「ありがとう! ロッティ!」
おい! 二人で何いちゃついてるのよ!! 私も混ぜなさいよね!!
どうでしたでしょうか?




