表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/35

阻止 7

ようこそ!

「姫様の言葉が信用できんというのか!!」


ロドンの者の言葉にケルちゃんが我慢できなかったのか、大声で怒鳴り上げた。


「な!? ケルベロスが喋った・・・まさか本当なのか? 魔人族と主従関係を結んだ魔獣は人に匹敵する知能を授かると言われておる・・そんな・・・」


なんとなく理解してきたみたい? でも今は関係ないこと。


「私が魔人族だろうが関係ないわ。ロドンの者は私みたいな子供の奴隷を買ってはケルちゃんの餌にしてたのでしょ? 罪悪感は無いの?」

「は、奴隷は奴隷じゃ。人ではない。しかし人の血肉の代わりにはなるのでな」


こいつらせっかく王国の兵隊から助けた・・・形になってしまったけど、だからちょっとは感謝しなさいよね。

それを、不快な話ばかりして胸糞悪い。


「分かった。これ以上私みたいな子供が出ない様にあなた方には死んでもらいます」

「ふん、ほざけ。死ぬのはお前だ」


「グァアアアアアアアア!!!!」


ロドの者が不敵に笑ったかと思ったら、茂みの奥から獣の咆哮が響き、大地が揺れた。


「フェンリル?」


そこには先程ケルベロスと戦っただろうフェンリルが血まみれの状態で現れた。


「姫様! こやつは私が懲らしめましたので、ほとんど動ける状態ではないはずなのです」

「そうじゃ。我等ロドンの者は死んだ者でさえ従える事ができる唯一の民だ。そいつは手足が契れようが内臓が飛び出そうが、お前達が死ぬまで襲い続けるぞ」


なんてこと。

こんな酷い傷なのに強制的に動かすなんて・・・・・あ、この傷はケルちゃんが付けたのか。

ま、まあそれはそれとして、このままじゃこのフェンリル本当に死んでしまう。


「フェンリル!! 私が見える!!」


叫んでフェンリルに私を認識させた。

すると、何も考えずに私の方へと突っ込んで来た。


「姫様! お逃げ下さい!!」

「ケルちゃん大丈夫よ。見ててなさい」


私は正面かた向かってくるフェンリルに向かって自分の左腕を突き出してみせる。

そのまま、右手で持っていた大剣をその左腕に振り下ろした。


「?!!」


我ながら綺麗に斬れた深い傷から大量の血が噴き出す。

その血はまるで生きているかのように空中を駆け巡ると、大きく口を開けていたフェンリルの中へ飛び込んでいった。


「さあ! フェンリル! その子供を飲み込み力を高めよ!」


ロドンの爺さんの声が聞こえた。

あ、ちょっと目眩が・・・血を出し過ぎた?

よろける私にフェンリルは大きな口を突き出しかぶりつこうとしたのだけど・・・・


「? どうした? おい!! 何故動かん!!」


私の頭がほぼ口の中に入り込んだ状態でフェンリルはその場に止まってしまっていた。

すると、フェンリルの体から蒸気の様な靄が噴き出し、それと共に体についていた血がドンドン無くなっていく。


「よし! これでフェンリルも大丈夫でしょ・・・・どう気分は?」


フェンリルの首元を撫でながら私は声を掛けた。


「・・・・・な、こ、これは・・・・・あなた様は?」


ケルちゃんとは違う、透き通るきりっとした声で、私の事を聞いて来るフェンリル。


「私は、エリゼベリュト・バートリー。あなたの主人になった者よ」

ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ