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気づいたら生贄 3

投稿いたしました。

是非読んでいただければ幸いです。

「ガサガサ」


音がされに近づいてくるのが分かる。

く、来るなら来なさい! 


「グルルルルル・・・ハッ、ハッ、ハッ」

「え?」


覚悟を決めた私の耳に予想もしていない変な鳴き声と息遣いが聞こえた。


見、見えない!!


その鳴き声の主は私の頭の方から来たみたい。

おかげでその姿を見る事が出来ない。

でもその存在は確実にそこに居るとはっきりと認識出来る。

息遣い、臭い、気配。

その姿が見えないから余計にはっきりと感じられた。


「これって人間じゃあない?」


この息遣い、臭い・・・これって昔感じた事がある。

子供の頃、生前の親と一緒に行った思い出の場所。

動物園。

その中でも猛獣エリアで感じたあの臭い。

子供の頃だったけどあの強烈な臭いはなかなか忘れる事はできない。

その時の臭いが私の直ぐ傍で感じる。

あの時は檻を挟んでいたし、動物好きな私にとってはなんともなかったけど、今のこの臭いは不快としか思えなかった。

とても嫌な感覚。


「ガサ、ガサガサ」


歩いている?

私の周りを歩いているの?

ずしりと思い足音がする。

でもドシン、ドシンとかじゃなく軽やかな足取り。

それが私の右側へ回り込んでくる。

もう少しで視界に入って来る。

私はその得体の知れない物を確認するべく恐る恐る首を曲げそれを視界に捉えた。


「み、見えた!」


闇の中に佇むその物体。

夜とはいえ月が出ているのかその姿をはっきりと捉える事ができた。


「あ、あれは!? 何・・・いったい何なのよ?!!」


私は自分の目を疑った。

もしくは恐怖と怒りのせいで頭がおかしくなったのかと思った。

そこには獣が居た。

そう獣なのは間違いない。


「ハッ、ハッ、ガウ! ガウウ!」


鋭い眼球に荒い息遣い、口から洩れる臭いと牙、大型のドーベルマンの様な大型の四足歩行の獣。

ただ大きく違うものが私をジーっと見つめていた。


「頭がやっぱり3つある・・・」


確かに私の目には一つの体から三つの頭が生えている様に見えた。


「ケルベロス?」


そんな名前が自然と口から出た。

確か伝説の聖獣? 魔獣? 神話の中に出て来る様なバケモノ。

これは夢?

そうか! そうに違いない・・・って! 臭っ!

獣特有の生臭い息が、私の顔をなでてくる・・・こんな強烈な臭いを嗅いでしまったら現実逃避なんて許してもらえるはずがない。

これは紛れもない現実。

その奇怪な三つ頭の獣が、私を品定めするかの様にくんか、くんかと鼻をならし体の臭いを嗅いできくる。

初めは足先から始まり膝、内腿、股間、腹、胸となり。そしてとうとう・・・。

顔にべちゃっと生温かく臭い唾液が大量に降り注いだ。


「?××!△?!△□×!!!」


く、口に、は、鼻!!

「ぐぇええええ!! ゲホ! ゴホ! ゴホ!!」


呼吸が一瞬できなかった!

何て事しやがるのよ!! この馬鹿犬!!

死ぬかと思ったわ!!

いや、どのみち私は死ぬのだろう。

こいつどう見ても私を食べようとしているもの?


・・・なんでこんな事に・・・・

私が何をしたって言うのよ。

こんなバケモノの餌になる為に誘拐されたって言うの?

どうみてもこれって


「さあ、この生贄を捧げます」


ていう状況よね?


「こんな理不尽な話があってたまるもんですか!!」


何故か恐怖より怒りが先にきた。

絶対に死んだら私をさらってこんな獣の餌にした奴らを呪ってやる!

死霊になって地の果てまで追ってやるんだから!!

私はその怒りをぶつける相手もいなかったので目の前で、ハアハア言ってるバケモノに向かってその全ての気持ちをぶつけてやった。


「!? キュ、キュゥウン・・・」


キュウン?

読んでいただきありがとうござます。

またお越しください。

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