動き出す 2
よろしくお願いします。
まったくケルベロスったら、私の・・・が良い香りだなんて・・・
「考えただけでも恥ずかしいぃいい!!」
「どうかされましたか? 姫様」
「何でもない!!」
その事は一回忘れよう!
「ふう・・・ケルベロス・・」
「はい姫様」
「ロドンの村まであとどれくらい?」
「もうすぐです」
今、私たちはロドンの村に向かっていた。
ちなみに私は走るケルベロスの背中に乗っている。
これがなんと早いこと、早いこと。
生い茂る樹々の間をヒラヒラと交わしながらスピードを落とすことなく進んで行く。
さすが守護獣だけの事はあると言って良いのかな?
おかげで、ロドンの村までそんなに時間が掛からず着けそう。
で、何故私達がロドンの村に向かっているかと言えば、このまま放っておく訳にはいかないと思ったから。
今回私の血? 力を目の当たりにして人族の従魔士の呪縛から解き放たれたケルベロスだけど、それをロドンの村の人間はまだ知らない。
なので、このまま逃げれば良いのかもしれないけど、そのまま野放しというのもどうかと思ったのよ。
だいたい従えている魔獣がケルベロスだけとは限らない。
もしかしたら複数の魔獣を従えている可能性がある。
その魔獣の数だけ従魔の呪縛で縛る為の人の命が必要になってくる。
私みたいな子が沢山犠牲になるかもしれない。
さすがにそんな事見過ごせないもの。
「姫様、ここからは慎重にいきます」
ケルベロスは一旦止まり私は直ぐに降りた。
「この少し先に村を見渡さる高台にでます。そこから様子を伺いましょう」
「わかったわ」
私が返事をすると、ケルベロスが先頭に立ちゆっくりと歩き出す。
しかしこの巨体からすると信じられないくらい足音がしない。
見た目は犬に様相にみえるけど、しなやかな体の動きは猫の様にも思えるわ。
逆に私の足音の方が大きいくらい。
もっと慎重に歩こう。
「着きました。身を屈ませてこの茂みの下から覗いて見てください」
ケルベロスの促されるままに私は茂みに顔を静かに突っ込んだ。
「あ、村がある・・・これがロドンの村ね」
「はい。この付近にはこのような村があと数か所ありますが従魔士の村ここだけです」
「そうなの?」
私は村の様子を伺った。
建物が二十数棟、50人から100人も居ない程度の大きさの村みたい。
周りは森と奥は崖が切り立っていてかなり高いわね。
あと、所々金属製の檻が幾つか見えるけど、それには大型犬くらいの大きさの見た事も無い獣が押し込められているのが見えた。
「あれも魔獣ですね。小型ですが普通の兵士や下級騎士程度なら相手にもならない強さがあります」
なるほど。
魔獣って人の数倍あるのが普通かと思っていたわ。
あんな小さなものまで居るのね。
と、言ってもドーベルマンとかそれくらいの大きさではあるけどね。
「姫様、おかしいです」
「何がおかしいの?」
突然ケルベロスがそんな事を言ってきた。
「人が見当たりません」
「・・・そう言えば、魔獣とかはいたけど・・・・本当に居ないわ」
村のどこを見ても人影が確認出来ない。
全員が家の中に引きこもっているのかしら?
・・・・違う。
「なんだか嫌な感じがする」
ありがとうございます。