初めての仲間? 3
読んでください。
「・・・・・・・・あ、化け物・・」
「ひ、姫様! 化け物とは酷いではありませんか!」
目を開けたら真っ赤な大きな口に牙を見せびらかす頭が三つの狼みたいな大きな獣。
「やっぱり化け物・・・」
「酷い! 私は魔人族の守護獣としてお仕えする・・」
「ああ、分かってるわよ。ちょっと衝撃の事実を受け止めるのに混乱しただけよ」
「さ、左様でございますか?」
頭が三つある獣は化け物じゃないの?
じゃあ、本当の化け物ってどんなものなんだろう?
ま、それは今重要な事ではないわ。
それよりも・・私が66歳だったと言うことよ!
「私は本当に66歳なのよね? でもこの体は一体?」
どう見ても幼女だよね?
「魔人族は人族の10倍ほどの寿命があります。ですので魔人族の成人は130歳とされておられます」
「なるほど・・・え? つまり私は何事も無ければ800歳くらいまで生きるってこと?」
「いえ、平均の寿命はたしか1200歳ほどだったかと」
なんだか気が遠くなる話ね。
「わかった。私の常識が通じないという事が本当に分かったわ。その上で色々聞かせてもらえるかしら?」
「はっ! 何なりと!」
という事で私はこのケルベロスにようやく色々と聞く事ができた。
当然、街道から離れた森の樹々の中で身を潜めながらでよ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
その話はおおよそ半日程かかり、今はもう日が沈み森の中という事もあってかなり暗くなっていた。
「姫様、今日はもう暗くなりました。私が警護をしておりますので安心してここでお休みください」
ケルベロスの顔が優しく見えた。
色々話を聞くうちにこのケルベロスの話は信用出来ると感じたし、なんの損得勘定無しに私の事を思ってくれているのが伝わってきたせいかも。
「わかったわ。それじゃあお願い」
「はい、では私のお腹の所に身を潜めてくだされば寒さも防げましょう」
そう言って一つの首が私にこちらに来るように促してくれた。
私は促されるままにケルベロスのお腹を背にして寄り掛かった。
「わ! フカフカ! 毛並みが凄く良いわね。外を駆けているわりにもの凄く綺麗じゃない?」
「はい、簡単ではありますが浄化と治癒の魔法が使えますので、常に体表面の汚れを取り除く事ができますから」
「え? な、何それ!! 良いなああ!! 私も使いたい!!」
「え? 姫様気付かれておられませんか? 物凄く身体も髪もお綺麗ですよ?」
「は? そんなはずは・・・・・あれ?」
そう言えば肌、つるつるのプニプニだわ。
自分の肌を摩ったり揉んだりしたけど、全然汚れが見当たらない。
それに髪もサラサラで何故か良い匂いがする。
自分で自分の髪をクンクン嗅ぐのはちょっと変態ポイけど仕方ないじゃない!
「姫様くらいの血の使い手になると、無意識に体内の血液操作で体に付く不純物も中に入る細菌どもも除去されますので」
なんと、そんな便利能力があるんだ!
だったら心配する事ないか。
「分ったわ。じゃあ私は寝るね」
「はい。お任せください」
そしてケルベロスは自分の長い尻尾を私の体にそっと置き、布団替わりをしてくれた。
これはどんな高級ベッドよりも気持ち良いかも!
これなら落ち着いて考え事ができる。
ケルベロスから聞いた話を。
そしてこれからの私の生き方に大きく関わる出来事をもう一度自分なりに整理してみることにした。
読んでもらえましたか? ありがとうございます。