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解放 5

よろしくお願いいたします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・呆気なかった。

今、私は生きている人間が居ない場所に一人立っている。

その足元には息絶えた二人の兵隊の死体が転がっている。

一つの死体は胴体と首が完全に離れ、もう一つの死体は上半身と下半身が分かれていた。

私はその光景を見て達成感はあるけど、罪悪感は一切感じなかった。

日本で生活していたOLの時ならたぶん、気が狂うほど動揺し正気ではいられなかったはず。

なのに、この悲惨な状況を私は冷静に見ている事が出来ていた。


「これも私の力なのかしら? 例えば耐性? それとも何とか抑制?」


よく異世界ものの話に出て来る、何とか耐性とか何とか抑制とか?

この場合は精神攻撃耐性とか苦痛耐性とか感情抑制とか言うのかしら?


「まあ、これは助かるわね。自分の命を守る為に(ふる)う力を相手の事情を一々考えて躊躇していたら直ぐに殺されてしまうもの。それに王国正規の兵隊が犯罪まがいの行為を平然とするんだもの。こんな奴らに慈悲なんて必要ないでしょ」


一応、自分の行いを正当化しておく。

元日本人としてこれくらいは考えておかないと。

それに、特に罪悪感は無いと言っても、むやみに人を殺していたらそれはただの殺人鬼だもの。

そうして一応気持ちの整理をつけたところで、


「さてと、これからどうする?」


自分自身に尋ねてみる。

だからと言って答えが返ってくるわけじゃないけど。

失敗したわ。

初めて会ったのがこんなろくでもない男共だったからなぁ・・・・でも一人くらい生かしておけば情報を得られたかも?


「ま、今更言っても仕方ない。そうね、まずはそのロドンの村に行ってみようかしら?」


確か最初の男二人が言ってたわ。

ロドンの村は近くにあるって。

そのまま向かうのは危険だけど、何か情報を得なきゃ行動も起こせないし・・・慎重に動いて駄目なら諦めてこの道伝いに歩けば人の集落にいずれは当たるでしょ。


「そうと決まれば行動あるのみ!」


と、行きたいところだけど、もう少し私の状態を正確に把握しておこう。


「えっと、あれ? 剣がボロボロに砕けてる・・・私の血のせい?」


私の見間違いじゃなきゃ、この剣に私の血が覆ってから物凄く扱いやすくなったと思う。

つまり武器とか武具に限らないけど物に私の血を纏わせれば、自分でも信じられないくらいに扱いやすくなるという事かも。

でも、この剣は砕けた・・・・衝撃に耐えられなかった? もしくは私の血に耐えられなかった・・とか?

これは血の性質なのか、武器の耐久力の問題なのか?

・・・・・もう少し考察が必要ね。

取り敢えずこの剣は捨てて他の兵隊の剣を・・・・こんな長剣抱えて歩けない。


「もう少し短い剣はないかしら?」


辺りを見廻す。

特に無いわね・・・そう言えば馬車の中に隊長さんの死体もあった・・・・・・あ、これ良い!

荷台に戻った私は倒れている隊長の腰の所に30センチ程度の中ぐらいの長さの剣があるのに気付いた。


「ミドルソード? これなら背中側に括りつければ問題なさそうね」


それからも、兵隊や最初の男達や荷馬車に在った保存食をみつけ、兵隊経ちが乗って来た馬がまだ近くにいたので、その鞍に括りつけてあった革製のカバン等を物色して身支度を整えた。


「さすがにパンツは無かったわね。生贄だったので下着なんて穿いてなかったから欲しかったんだけど、仕方ない。よし! ここから再スタートよ! 絶対に生き延びてやる!!」


当面の目標を叫んだ私は、ロドンの村を目指して歩き出した・・・


「あ、あれ? 足元がフラフラする」


何? これ・・・あ、これって貧血みたいな目眩がしてる・・・・


「もしかして血が足らなくなったとか?!」


意気込んで再スタートしようと思った矢先に衝撃の事実を突き付けられた。

私の力を使用する為に放出した血は私の体内から出たもの。

つまり大量出血で貧血をおこして真面に歩けなくなったってことね・・・・・・・


「こんな力、使えねぇ~!! わよ!」

またお越し下さい。

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